冬とシュトレン

寝るネコ

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冬とシュトレン続き

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「今食べる分だけカットしちゃうね。」そう言うとカウンターの下の戸棚から包丁とまな板を取り出してカットし始めた。
「ねえ、君って彼女とか居ないの?」いきなりの質問に危うくコーヒーを吹き出しそうになった。「うっ、それは…」年齢=恋人が居ない俺には友達作りの次に問題かもしれない。と思い始めていたのにこの店主は堂々と聞いてきた。 

「あっ、もしかしてこっち系だったりする?」それにいつもの笑顔で。
「はい? ふざけてるんですか?」
この状況を理解したのか「違うのかっ!ごめん、返事に詰まっていたから、てっきりそうなのかなーと思ってつい口に出ちゃったよ。」爽やかな微笑みを残してカットしたシュトレンを持って来た。
「チーズ…。」
皿の上にはチーズが塗られたのが2、3枚と何も塗られてないシュトレン2、3枚があった。
「チーズ嫌いだった?」
少し引きっつた表情が戻らない。
「いや、別に嫌いなわけじゃないけど…。なんとなく嫌な事を思い出したから…。」
気まずい。ものすごく気まずい。言わなければよかった、後悔しても時遅い。
「あー、そっか、ごめん、そんな気は全くなかったんだけど…。」
空調の音がその場を埋めるように鳴り響く。
「元カノがチーズが好きで、よくこの食べ方してたんですっ、もう、終わった話ですからっ!
気にしないでくださいっ!」
俺、なんで、こんな過去の傷口を暴露しなきゃならなくなってんだろう…。
嗚呼、泣きそう。
ベンジャミンは悲しそうな表情を隠せてないし…。
「もうっ、そんな悲しそうな顔しないでください。食べましょっ!」
目の前のシュトレンにかぶりつく。過去をも忘れる勢いでかぶりついた。
その様子を呆然とみて「うん、そうだね…。」呟き食べ始めた。

壁がけ時計を見ると12時過ぎをさしていた。前なら急いで帰っていたが今はする事がない。
「少し気になったんだけど、どんな仕事をしているの?」
「パン屋で働いていましたけど…。」
「パン屋線なのっ!パン大好きなんだ、どこのパン屋なの?」
「とても辺鄙なところでしたよ。」
「へえ、かなり辺鄙な所なんだ。なんで、さっきから過去形で話してろの?」
コーヒーを一口飲み口の中を潤す。
「俺、仕事辞めたんですよ。にしてもここのコーヒー美味しですね、どこの」
かなり動揺したのか持っていたカップを落としかけていた。
「えっ、辞めたってこれからどうするんですか?!次の仕事はもう探さないとじゃないですか?!
ここに来るより先にやる事がたくさんあるますよっ!?」
興奮してるのか変な日本語になっていた。まあ、普通ならそんな反応するよな…。
早速、スマホを取り出しパン屋の求人サイトを見せてきた。
「こことかどうですか?時給がいいですよ!あっ、他にも」
一緒にシュトレンを食べに来ただけのはずがいつの間にか仕事を探す話になってしまった。
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