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生徒会①
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折人にめちゃくちゃに犯された翌日。
流石に何日も学校を休むわけに行かなかった俺は、痛む腰を抑えながら登校した。
折人は今頃、俺のベッドで二度寝中だろう。
あいつは学校に朝から登校という習慣が無いからな。
うだうだ考えているうちに教室に着いた。
俺は教室に友人の顔を見つけて挨拶した。
「おはよう、幹太(かんた)」
「うわぁ! しーくん久しぶり」
幹太は俺の友人で、アルファとは思えないほど地味な男だ。
将来の夢は、可愛いオメガのお嫁さんをもらって幸せにすることらしい。
俺も同じ夢を持つことから自然と仲良くなった。
「あれ、しーくん首のところどうしたの?」
幹太は俺の首に巻かれた包帯を指差した。
「怪我しちゃって、昨日病院いってたんだ」
「そっか! 俺てっきりオメガかアルファに噛まれたのかと思っちゃったよ」
笑顔で言った幹太に、心の中で「そうだよ、アルファに噛まれたんだよ!」と返しながら席に座った。
ああ、胃が痛い。
「なんか今日のしーくん、色っぽいね。やっぱり何かあった?」
幹太の言葉に俺はギクリとする。
今はアルファだからオメガフェロモンは出ていないはずだが、自分では気付けないような変化があったのだろうか。
「やめろよ、セクハラだぞ」
「ちぇーっ」
その日も折人は午後になってから学校に来た。
「しーちゃん、おはよ~」
金髪のチャラチャラした男が呑気に手を振りながら教室に入ってきた。
「お前なぁ、もう昼休みだぞ? そんなんで単位大丈夫なのか」
俺がため息をつくと、横で幹太が言った。
「あれれ、しーくん知らないの? 折人が生徒会入ったの」
「はあっ!?」
この学校の生徒会というのは特別な意味を持つ。
全ての役職が生徒の推薦という名の人気投票で決まり、選ばれし彼らは文武両道・才色兼備なアルファの頂点とされている。
そして彼らは大抵、授業なんて受ける必要もないほど頭の出来がよろしいのでほとんどの授業を免除されているのだ。
「折人、いつのまに生徒会なんて入ったんだ」
「あはは~、だから僕ちん本当は学校なんて来なくていいのさ~。でも……」
折人は俺の腰に腕を回すと、怪しく尻を撫でて囁いた。
「番の体が心配で、わざわざ来てやったのさ」
「なっ……! やめろ変態レイプ魔が」
「元気そうで良かった」
「はーなーせー!」
俺たちが小声で言い合っていると、突然、教室に先輩らしき男がずかずかと入ってきた。
「てめぇ折人! いつになったら生徒会室に来るんだよ! 今日こそ連行してやるからな」
俺はその先輩に見覚えがあった。
彼は確か、俺たちが中等部にいた頃に生徒会長を務めていた八千尾(やちお)先輩だ。
なんか地元で暴走族の頭をやってるとか、他校のヤンキーを一人で百人倒したとか、出どころ不明の噂がよく流れている怖い人だ。
「げっ、八千尾!」
折人は悲鳴をあげると俺を盾にして隠れた。
「生徒会の仕事ならこのしーちゃんに任せてよ。僕は帰るから!」
後ろから突き飛ばされ、俺は八千尾先輩の方に倒れ込んだ。
いきなり胸に飛び込んできた俺を、筋肉質な先輩の腕が受け止める。
その隙に折人はダッシュで教室を飛び出した。
「てめぇ逃げてんじゃねえぞ! 働けぇえええ!」
耳元で大声を上げた先輩に、俺は思わず耳を塞いだ。
「八千尾先輩……折人には言い聞かせておくので怒鳴らないでください……」
恐怖に震え上がりながら先輩を見上げると、腕の中にいる俺を見て彼は眉をしかめた。
「ん? なんかてめぇ、オメガくさいな」
そう言って八千尾先輩は俺の首筋に鼻を埋めた。
やばい、オメガフェロモンが残ってたか?
ちゃんとシャワー浴びてきたはずなんだけど。
先輩の吐息が首元にかかって何だかくすぐったい。
「……てめぇでいいや。生徒会室に連れて行くぞ」
八千尾先輩はいきなり俺を肩に担ぎ上げて歩き出した。
「先輩!? ちょっと!? 助けて幹太!」
慌てて幹太に手を伸ばすが、事なかれ主義の彼は無情にも笑顔で手を振って言った。
「頑張れしーくん」
「幹太ぁあああ!」
俺は絶叫を残して昼休みの教室から連れ去られていった。
流石に何日も学校を休むわけに行かなかった俺は、痛む腰を抑えながら登校した。
折人は今頃、俺のベッドで二度寝中だろう。
あいつは学校に朝から登校という習慣が無いからな。
うだうだ考えているうちに教室に着いた。
俺は教室に友人の顔を見つけて挨拶した。
「おはよう、幹太(かんた)」
「うわぁ! しーくん久しぶり」
幹太は俺の友人で、アルファとは思えないほど地味な男だ。
将来の夢は、可愛いオメガのお嫁さんをもらって幸せにすることらしい。
俺も同じ夢を持つことから自然と仲良くなった。
「あれ、しーくん首のところどうしたの?」
幹太は俺の首に巻かれた包帯を指差した。
「怪我しちゃって、昨日病院いってたんだ」
「そっか! 俺てっきりオメガかアルファに噛まれたのかと思っちゃったよ」
笑顔で言った幹太に、心の中で「そうだよ、アルファに噛まれたんだよ!」と返しながら席に座った。
ああ、胃が痛い。
「なんか今日のしーくん、色っぽいね。やっぱり何かあった?」
幹太の言葉に俺はギクリとする。
今はアルファだからオメガフェロモンは出ていないはずだが、自分では気付けないような変化があったのだろうか。
「やめろよ、セクハラだぞ」
「ちぇーっ」
その日も折人は午後になってから学校に来た。
「しーちゃん、おはよ~」
金髪のチャラチャラした男が呑気に手を振りながら教室に入ってきた。
「お前なぁ、もう昼休みだぞ? そんなんで単位大丈夫なのか」
俺がため息をつくと、横で幹太が言った。
「あれれ、しーくん知らないの? 折人が生徒会入ったの」
「はあっ!?」
この学校の生徒会というのは特別な意味を持つ。
全ての役職が生徒の推薦という名の人気投票で決まり、選ばれし彼らは文武両道・才色兼備なアルファの頂点とされている。
そして彼らは大抵、授業なんて受ける必要もないほど頭の出来がよろしいのでほとんどの授業を免除されているのだ。
「折人、いつのまに生徒会なんて入ったんだ」
「あはは~、だから僕ちん本当は学校なんて来なくていいのさ~。でも……」
折人は俺の腰に腕を回すと、怪しく尻を撫でて囁いた。
「番の体が心配で、わざわざ来てやったのさ」
「なっ……! やめろ変態レイプ魔が」
「元気そうで良かった」
「はーなーせー!」
俺たちが小声で言い合っていると、突然、教室に先輩らしき男がずかずかと入ってきた。
「てめぇ折人! いつになったら生徒会室に来るんだよ! 今日こそ連行してやるからな」
俺はその先輩に見覚えがあった。
彼は確か、俺たちが中等部にいた頃に生徒会長を務めていた八千尾(やちお)先輩だ。
なんか地元で暴走族の頭をやってるとか、他校のヤンキーを一人で百人倒したとか、出どころ不明の噂がよく流れている怖い人だ。
「げっ、八千尾!」
折人は悲鳴をあげると俺を盾にして隠れた。
「生徒会の仕事ならこのしーちゃんに任せてよ。僕は帰るから!」
後ろから突き飛ばされ、俺は八千尾先輩の方に倒れ込んだ。
いきなり胸に飛び込んできた俺を、筋肉質な先輩の腕が受け止める。
その隙に折人はダッシュで教室を飛び出した。
「てめぇ逃げてんじゃねえぞ! 働けぇえええ!」
耳元で大声を上げた先輩に、俺は思わず耳を塞いだ。
「八千尾先輩……折人には言い聞かせておくので怒鳴らないでください……」
恐怖に震え上がりながら先輩を見上げると、腕の中にいる俺を見て彼は眉をしかめた。
「ん? なんかてめぇ、オメガくさいな」
そう言って八千尾先輩は俺の首筋に鼻を埋めた。
やばい、オメガフェロモンが残ってたか?
ちゃんとシャワー浴びてきたはずなんだけど。
先輩の吐息が首元にかかって何だかくすぐったい。
「……てめぇでいいや。生徒会室に連れて行くぞ」
八千尾先輩はいきなり俺を肩に担ぎ上げて歩き出した。
「先輩!? ちょっと!? 助けて幹太!」
慌てて幹太に手を伸ばすが、事なかれ主義の彼は無情にも笑顔で手を振って言った。
「頑張れしーくん」
「幹太ぁあああ!」
俺は絶叫を残して昼休みの教室から連れ去られていった。
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