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あれから二十日。
そろそろ赤い夜が訪れる頃だ。
僕は赤い夜が来る前になにか出来ることはないかと思い、城の地下に眠る古い文献を掘り返した。
すると、紙がすっかり茶色に変色している年代物の本が見つかった。
そこには魔物たちはこの世界に渡るために玄関を設置したと書かれていた。
もしかしたらその玄関とやらを壊せば襲撃が収まるのかもしれない。
僕はさっそく竜騎士を呼び、魔物の玄関探しに向かうことにした。
この国唯一のドラゴン・ロン吉の背中に乗せてもらい、僕とアルンは上空から玄関を探した。
小さな国の端から端まで注意深く探していると、深い森の奥に怪しい鏡が浮かび上がっていることに気付いた。
「きっとあれが玄関だ! あれを壊せば国が平和になるはずだ!」
興奮して喜ぶ僕に反応して、ロン吉も嬉しそうな鳴き声を上げた。
「ロン吉、あそこに向かうぞ!」
「ピギャー!」
早速、怪しい鏡の元へと降り立つと、それが遠くから見るよりも随分大きなものだと気付いた。
「壊せそうか?」
アルンは剣を抜いて、何度か鏡を切りつけた。
しかし、それは一筋の傷もつかず刃を跳ね返しただけだった。
「ご先祖さまがこの玄関に気付きながらも放置していたのは、なにをしてもこいつを壊せなかったからだろうな。しかし今は文明も進んでいる。どこかにこれを壊せる武器があるはずだ。帰ったらさっそく作戦を練ろう」
再び二人はドラゴンにまたがり、城の方角へ飛び立っていった。
「まずは商人を呼んで、大きな鏡を壊せる武器を探させる。商人が探している間、僕らは金貨をためてそれを買えるよう準備する。おそらく赤い夜には間に合わないだろうな」
「必ず私が陛下をお守りします」
「信じているぞ、アルン」
僕が拳を掲げると、アルンも笑顔で拳を掲げた。
「魔物の夜を、僕たちの手で終わらせよう」
「はい、陛下!」
赤い夜が訪れた。
もうすぐこの城には大量の魔物が押し寄せるだろう。
僕は寝室にアルンを呼び出し、彼に精液をたっぷり飲ませてから戦いに行かせた。
きっとこの戦いで、兵士の大半は亡くなる。
それほど赤い夜というのは恐ろしいのだ。
僕は城の最上階にある王座で静かに両手を組んでいた。
この日ばかりはうかつにバルコニーで観戦というわけにはいかない。
ただひたすら彼らの無事と勝利を祈るだけだ。
やがて階下のほうが騒がしくなってくる。
魔物が城内まで侵入してきたのだろう。
僕は震える手で王座の横に立て掛けていた剣を手に取った。
幼い頃から剣術は習っていたが、あまり得意ではなかった。
しかし今はそんなことも言ってられない。
純金の王冠が頭にしっかりと固定されていることを確認して、僕は王座から立ち上がった。
そろそろ赤い夜が訪れる頃だ。
僕は赤い夜が来る前になにか出来ることはないかと思い、城の地下に眠る古い文献を掘り返した。
すると、紙がすっかり茶色に変色している年代物の本が見つかった。
そこには魔物たちはこの世界に渡るために玄関を設置したと書かれていた。
もしかしたらその玄関とやらを壊せば襲撃が収まるのかもしれない。
僕はさっそく竜騎士を呼び、魔物の玄関探しに向かうことにした。
この国唯一のドラゴン・ロン吉の背中に乗せてもらい、僕とアルンは上空から玄関を探した。
小さな国の端から端まで注意深く探していると、深い森の奥に怪しい鏡が浮かび上がっていることに気付いた。
「きっとあれが玄関だ! あれを壊せば国が平和になるはずだ!」
興奮して喜ぶ僕に反応して、ロン吉も嬉しそうな鳴き声を上げた。
「ロン吉、あそこに向かうぞ!」
「ピギャー!」
早速、怪しい鏡の元へと降り立つと、それが遠くから見るよりも随分大きなものだと気付いた。
「壊せそうか?」
アルンは剣を抜いて、何度か鏡を切りつけた。
しかし、それは一筋の傷もつかず刃を跳ね返しただけだった。
「ご先祖さまがこの玄関に気付きながらも放置していたのは、なにをしてもこいつを壊せなかったからだろうな。しかし今は文明も進んでいる。どこかにこれを壊せる武器があるはずだ。帰ったらさっそく作戦を練ろう」
再び二人はドラゴンにまたがり、城の方角へ飛び立っていった。
「まずは商人を呼んで、大きな鏡を壊せる武器を探させる。商人が探している間、僕らは金貨をためてそれを買えるよう準備する。おそらく赤い夜には間に合わないだろうな」
「必ず私が陛下をお守りします」
「信じているぞ、アルン」
僕が拳を掲げると、アルンも笑顔で拳を掲げた。
「魔物の夜を、僕たちの手で終わらせよう」
「はい、陛下!」
赤い夜が訪れた。
もうすぐこの城には大量の魔物が押し寄せるだろう。
僕は寝室にアルンを呼び出し、彼に精液をたっぷり飲ませてから戦いに行かせた。
きっとこの戦いで、兵士の大半は亡くなる。
それほど赤い夜というのは恐ろしいのだ。
僕は城の最上階にある王座で静かに両手を組んでいた。
この日ばかりはうかつにバルコニーで観戦というわけにはいかない。
ただひたすら彼らの無事と勝利を祈るだけだ。
やがて階下のほうが騒がしくなってくる。
魔物が城内まで侵入してきたのだろう。
僕は震える手で王座の横に立て掛けていた剣を手に取った。
幼い頃から剣術は習っていたが、あまり得意ではなかった。
しかし今はそんなことも言ってられない。
純金の王冠が頭にしっかりと固定されていることを確認して、僕は王座から立ち上がった。
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