魔物の夜~少年王はお馬鹿竜騎士にえっちな嘘をついてみた~

ももっけ

文字の大きさ
3 / 6

3

しおりを挟む
 あれから二十日。
 そろそろ赤い夜が訪れる頃だ。
 僕は赤い夜が来る前になにか出来ることはないかと思い、城の地下に眠る古い文献を掘り返した。
 すると、紙がすっかり茶色に変色している年代物の本が見つかった。
 そこには魔物たちはこの世界に渡るために玄関を設置したと書かれていた。
 もしかしたらその玄関とやらを壊せば襲撃が収まるのかもしれない。
 僕はさっそく竜騎士を呼び、魔物の玄関探しに向かうことにした。

 この国唯一のドラゴン・ロン吉の背中に乗せてもらい、僕とアルンは上空から玄関を探した。
 小さな国の端から端まで注意深く探していると、深い森の奥に怪しい鏡が浮かび上がっていることに気付いた。

「きっとあれが玄関だ! あれを壊せば国が平和になるはずだ!」

 興奮して喜ぶ僕に反応して、ロン吉も嬉しそうな鳴き声を上げた。

「ロン吉、あそこに向かうぞ!」
「ピギャー!」

 早速、怪しい鏡の元へと降り立つと、それが遠くから見るよりも随分大きなものだと気付いた。

「壊せそうか?」

 アルンは剣を抜いて、何度か鏡を切りつけた。
 しかし、それは一筋の傷もつかず刃を跳ね返しただけだった。

「ご先祖さまがこの玄関に気付きながらも放置していたのは、なにをしてもこいつを壊せなかったからだろうな。しかし今は文明も進んでいる。どこかにこれを壊せる武器があるはずだ。帰ったらさっそく作戦を練ろう」

 再び二人はドラゴンにまたがり、城の方角へ飛び立っていった。



「まずは商人を呼んで、大きな鏡を壊せる武器を探させる。商人が探している間、僕らは金貨をためてそれを買えるよう準備する。おそらく赤い夜には間に合わないだろうな」
「必ず私が陛下をお守りします」
「信じているぞ、アルン」

 僕が拳を掲げると、アルンも笑顔で拳を掲げた。

「魔物の夜を、僕たちの手で終わらせよう」
「はい、陛下!」



 赤い夜が訪れた。
 もうすぐこの城には大量の魔物が押し寄せるだろう。
 僕は寝室にアルンを呼び出し、彼に精液をたっぷり飲ませてから戦いに行かせた。
 きっとこの戦いで、兵士の大半は亡くなる。
 それほど赤い夜というのは恐ろしいのだ。

 僕は城の最上階にある王座で静かに両手を組んでいた。
 この日ばかりはうかつにバルコニーで観戦というわけにはいかない。
 ただひたすら彼らの無事と勝利を祈るだけだ。

 やがて階下のほうが騒がしくなってくる。
 魔物が城内まで侵入してきたのだろう。
 僕は震える手で王座の横に立て掛けていた剣を手に取った。
 幼い頃から剣術は習っていたが、あまり得意ではなかった。
 しかし今はそんなことも言ってられない。
 純金の王冠が頭にしっかりと固定されていることを確認して、僕は王座から立ち上がった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

俺にだけ厳しい幼馴染とストーカー事件を調査した結果、結果、とんでもない事実が判明した

あと
BL
「また物が置かれてる!」 最近ポストやバイト先に物が贈られるなどストーカー行為に悩まされている主人公。物理的被害はないため、警察は動かないだろうから、自分にだけ厳しいチャラ男幼馴染を味方につけ、自分たちだけで調査することに。なんとかストーカーを捕まえるが、違和感は残り、物語は意外な方向に…? ⚠️ヤンデレ、ストーカー要素が含まれています。 攻めが重度のヤンデレです。自衛してください。 ちょっと怖い場面が含まれています。 ミステリー要素があります。 一応ハピエンです。 主人公:七瀬明 幼馴染:月城颯 ストーカー:不明 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 内容も時々サイレント修正するかもです。 定期的にタグ整理します。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

処理中です...