イタコスタントマンは転生して亡国騎士団長になり獣人王の番になりました

ももっけ

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「王の首が惜しければ、今すぐ撤退しろ」

にやっと笑う俺に兵士たちは戦慄し、悲鳴を上げて逃げ出した。
しばらくすると天幕の外が騒がしくなり、血に塗れたツェリが突入してきた。

「王よ、お主の首はいただ……ラヴァン?」
「遅いじゃないかツェリ。王ならここでちびってるぜ」

俺は恐怖に下半身を濡らしている王をツェリの方に投げ捨てた。
それを慌ててツェリの後を追ってきた獣人たちが拾い上げる。

「だからなぁ、帰ったら二人で……」

俺は突然自意識が揺らぐのを感じた。
これは英霊が目的を果たして対価をいただく時の反応だ。

「ごめんツェリ、ちょっと寝るわ」
「なんだと!? 待て、ここで寝るな!」

ツェリの叫び声を最後に、俺は意識を失った。



目覚めると、そこは王城の寝室だった。
俺はふかふかのベッドに寝かされている。
窓の外は明るく、昼間のようだ。

「っ……!」

脳の血管が拡張されているような痛みに襲われて、思わず頭を抱えた。
そうしていると、自分が英霊と同化していた時の記憶を思い出してきた。
ふと、自分が前世、なぜ事故で死んだのか思い出した。

あれは撮影中のミスなんかじゃない。
父の借金を返すために、俺はスタントマンの仕事の中でも高額で難易度の高い仕事をいくつもこなしていた。

もちろんそんなことを繰り返していたら身が持たないので、代わりに魂の一部を対価にイタコ能力を使って無茶な仕事をこなしていた。
結果、借金は無事完済されて俺もスタントマンとして名が広まった。

そして、これで引退しようと決めた最後の仕事で、イタコを繰り返していた俺は英霊に魂を全て吸われ切って、天に召されたのだ。
それがどうしてこんな異世界で転生しているのかはわからないから、運命としかいいようがない。

イタコ能力を、人を傷つけるためになど使ったことは無かった。
今でも王の脇腹を指した時の感覚が手に残っている。
俺は、自分の手を見つめた。
金色の輝きはそこにはない。

ぐっと拳を握った時、誰かが部屋をノックした。

「ラヴァン、入るぞ」

扉を開けてツェリが入ってきた。
ベッドに座る俺の姿を見ると、ツェリは目を輝かせて走って抱きついてきた。
彼の尻尾は風を感じるほど激しく振られている。

「ああ、ラヴァン、目を覚ましてよかった。俺の女神よ」
「女神?」
「全身から金の鱗粉を放つ姿は、戦場に舞い降りた女神そのものだった」
「俺はただのヒトだっつーの」

ツェリの額にデコピンをすると、彼は目を白黒させて耳を動かした。

「ところでラヴァン、最後になにを言おうとしたんだ? 帰ったら、二人で……?」
「帰ったら二人で、初夜くらいは済まそーぜって言おうと思ったんだよ。ったく、まさか自分が倒れちまうなんてな」

にっと歯を見せて笑うと、ツェリは顔中舐めながら押し倒した。

「ラヴァン、今すぐしよう」
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