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第2章

12話 真凛と逢えない日々

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その後…真凛とは全く逢えない日々が続いていた。
 
私の仕事が忙しい時期で、連休を取ることも休日に一日丸々休む事も出来ずだった。
 
真凛から夜に、「逢いたいの……」
 
「俺もだよ」
 
「いつ逢えるの?」と訊かれても日時は言えなかった。
 
逢おうと思えば、仕事が終わってからでも良いが、その終わる時間も予想ができないほどの多忙な時期だった。
 
「だったら、真凛の家の近くでも行くから」と、何度も言ったが、元々逢う事に対しての価値観の違いがあって、私は仕事をやり切ってからで、彼女は毎日、逢いたい人との違いだった。
 
「できたら、週末は一緒に過ごしたいし、どこかへお出掛けもしたいから」
 
私もその気持ちに応えたいのは山々だったが、仕事を疎かにするのは男として一番やってはいけない事なので辛い所だった。
 
「私は、先生と違う事をしていても良いから同じ空間にいたい人なの」
 
そんな事で何度も意見は食い違って喧嘩みたいになったりもしていた。
 
最初それを聞いた時に、私は(若いから毎日逢いたいんだろうな)と思っていたが、歳は六つしか変わらない訳で性格の問題だった。
 
私は仕事が忙しい時は一ヶ月に一回くらい逢えば良い人だった。
 
別に悪気はないが仕事が一番だからだ。
 
真凛は両親に頼んで私との結婚を早急に進めてほしいと頼んだ。

「先生が中々、結婚の話を出してくれなかったから」と電話でその理由を言った。
 
「たった数回のデートで結婚は流石に決められないよ」
 
「そうだよね」
 
私の父はサラリーマンでありながら山手線の内側の不動産を持って大家で、年子の弟は、父から創業資金を出してもらい建築業の社長になっていて、一番下の弟も一緒に働いていた。
 
私は子子供の頃から弟たちと差別されて生きて来たので、結婚は絶対に失敗する訳にはいかない事を真凛にも話していた。
 
子どもの頃から特に父からはバカにされて生きて来たから、余計に結婚には慎重だった。

つづく
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