250 / 291
第4章
16話-4 夕食の賄い
しおりを挟む
山形と二人で食べた。
「さっきの久留実野さん、とてもカッコ良かったわよ」
「何だっけ?」
「副社長ったら格好付けていて最後にはワインの瓶を股に挟んだ時にあの料理長が『えぇ……!』と声を上げた時には私、傍にいたから吹き出したもの」
「あれね」
「面白かったよね、久留実野さんが助け舟を断ってね」
「最近、特に副社長が社長に俺の事で嘘の報告をしているのが良く有ってさ。社長から濡れ衣を被されて注意される事が多くなってきて、だから今日は暫く傍観していたんですよ」
「副社長は昔から仕事ができる人が嫌いだから、久留実野さんを苛めているんだと思うわよ。前も仕事のできる人に意地悪していて、その人は頭に来て社長と副社長に面と向かって怒鳴り付けて辞めたから」
「何でそんな事をするんですかね?」
「社長もそうだけど副社長も自分が中心でないと嫌なのよ。二人とも精神的にはお子ちゃまだから、自分より仕事ができる人がホテルに居たら、その人が中心になっちゃうでしょ。だからよ」
「分かるような気がしますよ」
「もう既に久留実野さんが中心で、このホテルを回している感じが私から見てもそう見えるから、副社長なんかはそれが嫌なんじゃないのかな?」
「だからってわざと仕事ができないようにはできないですからね」
「そんな事をする必要なんかないわよ。仕事ができない人が悪いんだから、努力不足なのよ」
「そうですよね。わざと失敗するのは難しいから」
そこに品川が来て「久留実野さん、あの後、ワインを開けてくれたんだってね。ありがとう」
「指の方は大丈夫ですか?」
「うん、あの後、労災の指定病院に行って縫ってもらったから」
「深かったのですか?」
「恥ずかしいけどちょっとね」
「でも大事にならないで良かったですね」
「うん、ところで次の休みは、いつが良いか考えておいて、うちの会社は月に六日休むことができるから、前もって言ってくれればシフト組むからさ」
「ありがとうございます。明日にでもご報告します」
「じゃぁ、お疲れ様!」と品川。
私と山形は「お疲れ様でした」と言った。
品川がレストランから出て行くと山形が、「品川さんは仕事ができないし、家を買う時に社長から借金をして保証人にもなってもらっているから、社長と副社長には頭が上がらないのよ」
「社長も言っていましたから知っていましたけど、サラリーマンは三年以上その会社に勤務していれば保証人なしでも家のローンは借りられると思いますが」と私。
「そうなんだけど、その時の品川さんはこのホテルに入ったばかりだったみたいよ」と山形。
「でも俺はあの品川さんは人として好きなんですよね」
「どこが?」
「おっとりしているでしょ。一緒に居て何だか安心ができるって言うか……」
「わかる気がするわ。その安心感って。久留実野さんは、表向きは優しそうだけど、いざ仕事になるとプロになって凄みが出るものね。そこが私も含めたここのパートのオバチャンたちは、そのギャップで参っているんだと思うわよ。今まで久留実野さんのような社員は居なかったからね」
食べ終えてから、洗い場の巨乳の目黒に電話してデートの日時をいつにするか訊いた。
「明後日が良い」と言った。
私の休日を、深夜勤務の品川に伝えると「分かりました」と言ってくれた。
つづく
「さっきの久留実野さん、とてもカッコ良かったわよ」
「何だっけ?」
「副社長ったら格好付けていて最後にはワインの瓶を股に挟んだ時にあの料理長が『えぇ……!』と声を上げた時には私、傍にいたから吹き出したもの」
「あれね」
「面白かったよね、久留実野さんが助け舟を断ってね」
「最近、特に副社長が社長に俺の事で嘘の報告をしているのが良く有ってさ。社長から濡れ衣を被されて注意される事が多くなってきて、だから今日は暫く傍観していたんですよ」
「副社長は昔から仕事ができる人が嫌いだから、久留実野さんを苛めているんだと思うわよ。前も仕事のできる人に意地悪していて、その人は頭に来て社長と副社長に面と向かって怒鳴り付けて辞めたから」
「何でそんな事をするんですかね?」
「社長もそうだけど副社長も自分が中心でないと嫌なのよ。二人とも精神的にはお子ちゃまだから、自分より仕事ができる人がホテルに居たら、その人が中心になっちゃうでしょ。だからよ」
「分かるような気がしますよ」
「もう既に久留実野さんが中心で、このホテルを回している感じが私から見てもそう見えるから、副社長なんかはそれが嫌なんじゃないのかな?」
「だからってわざと仕事ができないようにはできないですからね」
「そんな事をする必要なんかないわよ。仕事ができない人が悪いんだから、努力不足なのよ」
「そうですよね。わざと失敗するのは難しいから」
そこに品川が来て「久留実野さん、あの後、ワインを開けてくれたんだってね。ありがとう」
「指の方は大丈夫ですか?」
「うん、あの後、労災の指定病院に行って縫ってもらったから」
「深かったのですか?」
「恥ずかしいけどちょっとね」
「でも大事にならないで良かったですね」
「うん、ところで次の休みは、いつが良いか考えておいて、うちの会社は月に六日休むことができるから、前もって言ってくれればシフト組むからさ」
「ありがとうございます。明日にでもご報告します」
「じゃぁ、お疲れ様!」と品川。
私と山形は「お疲れ様でした」と言った。
品川がレストランから出て行くと山形が、「品川さんは仕事ができないし、家を買う時に社長から借金をして保証人にもなってもらっているから、社長と副社長には頭が上がらないのよ」
「社長も言っていましたから知っていましたけど、サラリーマンは三年以上その会社に勤務していれば保証人なしでも家のローンは借りられると思いますが」と私。
「そうなんだけど、その時の品川さんはこのホテルに入ったばかりだったみたいよ」と山形。
「でも俺はあの品川さんは人として好きなんですよね」
「どこが?」
「おっとりしているでしょ。一緒に居て何だか安心ができるって言うか……」
「わかる気がするわ。その安心感って。久留実野さんは、表向きは優しそうだけど、いざ仕事になるとプロになって凄みが出るものね。そこが私も含めたここのパートのオバチャンたちは、そのギャップで参っているんだと思うわよ。今まで久留実野さんのような社員は居なかったからね」
食べ終えてから、洗い場の巨乳の目黒に電話してデートの日時をいつにするか訊いた。
「明後日が良い」と言った。
私の休日を、深夜勤務の品川に伝えると「分かりました」と言ってくれた。
つづく
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる