現(うつつ)の夢

しらかわからし

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第2章 静かなまなざしで、未来を見守る

第10話:静かな努力と見えない強さ

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龍児は、風俗店と外国人クラブで働く女性たちの姿を日々見ながら、彼女たちの仕事に対する姿勢や苦労に思いを巡らせていた。

姉の美奈子が勤務する風俗店には、彼女が特に仲良くしていた同僚がいた。しかし、その女性はここ一ヶ月ほど、連絡もなく店を休み続けているという。美奈子も心配していたが、連絡が取れず、理由も分からないままだった。

一方、龍児が夜に働く外国人クラブでも、同じようなことが起きていた。ある女性スタッフが一週間前から無断で休んでおり、社長もママも「本当に困ったものだ」と憤慨していた。だが、龍児は少し違う視点でその状況を見ていた。

風俗店では、客が来なかった日は報酬がゼロになる。業界では「お茶引き」や「坊主」と呼ばれるが、実際にはその日一日を無給で過ごすことになる。精神的にも経済的にも負担が大きく、無断欠勤の背景にはそうした事情があるのではないかと龍児は考えていた。

シフトは支配人やママと相談して決めるが、翌日の出勤が当日になって決まることも多く、人気のある女性が優先されるため、出勤できないこともある。美奈子のように指名が多い女性は安定して働けるが、そうでない人は不安定な状況に置かれてしまう。

龍児は、「出勤したら基本給を支給し、無断欠勤にはペナルティを設けるような仕組みにすれば、もっと連絡がきちんとされるのでは」と思い、手帳にその考えを記していた。生意気かもしれないが、現場を見ているからこそ感じることだった。

美奈子は、前月に休日を決めておき、翌月はその予定通りにしか休まなかった。その姿勢は支配人や客にも信頼され、指名の多さにもつながっていた。具合が悪い日でも出勤し、客にはいつも通りのサービスをしていた姿を見て、龍児は何度も「代われるなら代わってあげたい」と思ったほどだった。

そんな姉の姿勢を間近で見ていた龍児は、自分も会社の休日以外は一切休まず働いていた。彼は美奈子を心から尊敬していた。

そして、風俗店やクラブで働く女性たちの中には、精神的に繊細な人も多かった。知らない人との会話が苦手だったり、人前に出ることに不安を感じる人もいたりだった。現代で言えば「対人恐怖症」や「コミュニケーション障害」と呼ばれるような傾向だ。

それでも彼女たちは、初対面の客と笑顔で会話をし、時には深い話まで交わしている。その姿を見て、龍児は「本当にすごい」と感じていた。表に出ない努力が、そこには確かに存在していた。

外国クラブのママにそのことを尋ねると、「みんな、会話の糸口を探すために、男性向けの雑誌や新聞を読んで勉強しているのよ」と教えた。龍児はその言葉に深く頷いた。どんな仕事にも準備と努力が必要であり、彼女たちはその裏側で静かに頑張っているのだ。

龍児は、そんな彼女たちの姿を見て、自分ももっと誠実に働こうと思った。人は見えないところで努力している——そのことを、彼はこの職場で学び続けていた。
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