現(うつつ)の夢

しらかわからし

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第2章 静かなまなざしで、未来を見守る

第45-2話:広がる信頼と人材の力

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龍児が立ち上げた女性専用の人材派遣業は、彼の読み通り大きな成功を収めた。接客やサービスに特化した女性コンパニオンの派遣は、かつてないほどの需要を生み、会社は瞬く間に拡大。十年後には関東最大規模の派遣事業へと成長していた。

地元・品川区にある東京卸売センター(TOC)で働いていた中学時代の先輩から、「テレビ局主催の輸入家具展示会で売り子を派遣してほしい」との依頼が舞い込んだ。龍児はすぐに百名のコンパニオンを集め、定期的に派遣を開始。これをきっかけに、TOCの上層部にも龍児の名前と会社の存在が知られるようになった。

事業が軌道に乗ると、次々と新たな依頼が舞い込んできた。地方の大手レストランからはウェイトレスの派遣、ホテルや旅館からは仲居の派遣依頼が届き、龍児はその都度、姉・美奈子に募集と育成を依頼した。

やがて、宴会用のコンパニオンの派遣も求められるようになり、龍児は再び百名規模の女性を集めて対応。会社は宣伝を一切せず、口コミだけで関西地方にまで広がっていった。

この頃には、出張型の風俗部隊を半分に縮小し、報酬を引き上げた上で、地方のホテルや旅館にコンパニオンとして派遣するスタイルへと移行。現場での丁寧な対応と信頼が、オーナーたちの口コミを通じてさらに広がり、週末には一日三百人、繁忙期には五百人ものコンパニオンが稼働するまでになった。

他業者の参入も増えてきたが、龍児は競合がすでに関係を築いている場所には決して入り込まず、業界内の仁義を守った。その姿勢が、さらなる信頼を呼び込む結果となった。

東京からは毎週末、大型バス十台でコンパニオンを各地へ送り届ける体制を整え、現場はまさに“戦場”のような忙しさだった。年商は十億円から十三億円にまで達し、龍児はこの十年間、一日も休まず現場を支え続けた。

業界内の情報は、現場で働くコンパニオンたちから自然と集まってきた。ある時、他社の報酬体系を聞いた龍児は驚いた。ホテルや旅館から支払われる日当一万円のうち、半分を会社が取り、残りをコンパニオンに渡しているという。

龍児はその仕組みに疑問を持ち、自社では日当を全額会社に入れ、コンパニオンが客から得る報酬一万円をすべて本人に渡す方式に切り替えた。これにより、女性たちは自分の努力がそのまま収入に繋がることを実感し、より意欲的に働くようになった。

派遣先がない時には、東京の風俗店五十店舗と連携し、コンパニオンを雇用して活用。無駄なく人材を循環させる仕組みも整えていった。

この頃には、業界にブローカーの存在も現れ始めた。彼らは間に入り、報酬の一部をピンハネしようとする動きを見せたが、龍児の会社で働く女性たちは、待遇の良さと信頼関係からブローカーに流れることはほとんどなかった。

龍児の読みは、またしても的中していた。人を大切にする経営が、結果として事業の安定と拡大をもたらしていた。
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