現(うつつ)の夢

しらかわからし

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第2章 静かなまなざしで、未来を見守る

第45-1話:昇進と新たな挑戦

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五年の歳月を経て、龍児はついに会社の総支配人兼営業部長に就任した。十六歳から地道に働き続け、風俗店や外国人クラブ、マンション管理など、あらゆる現場で誠実に貢献してきた実績が認められた結果だった。

この頃、社長は七十四歳になっており、会社の実務はほぼ龍児に任せるようになっていた。龍児は日々の業務報告を欠かさず、社長との信頼関係は揺るぎないものとなっていた。社長の奥様からも厚い信頼を得ており、龍児の働きぶりは社長の耳にも常に好意的に届いていた。

売上は年々右肩上がりで、社長と奥様はその成長を喜び、龍児をまるで家族のように可愛がった。社長の専用車には運転手が付き、龍児は常に社長の隣に座るほどの存在感を持つようになっていた。

一九七四年の日本社会は、石油危機の影響で電力・石油消費規制が敷かれ、国鉄では昼間の暖房が停止され、百貨店では照明が間引かれるなど、厳しい状況が続いていた。伊豆半島地震や台風による多摩川の決壊、長嶋茂雄氏の引退、田中首相の退陣など、暗いニュースが目立つ年だった。

しかしその中で、東京・江東区にセブン・イレブンの日本一号店が開業したという明るい話題もあった。アメリカ発祥のこのコンビニチェーンが日本に進出したことで、龍児は「日本経済はこれから確実に上向く」と確信した。

その流れを受けて、龍児は社長に新たな業種の展開を提案した。すでに成功を収めていた「身体障害者専門の出張サービス」に続き、今度は「女性専門の人材派遣業」に着目したのだ。特に、接客業やサービス業に特化した女性の派遣を軸に据えた。

社長は龍児の提案に即座に賛同し、「龍児、すぐに始めろ!」と力強く背中を押した。龍児は姉・美奈子に「体を売ることなく働きたい女性を集めてほしい」と依頼した。美奈子はこれまでの経験と人脈を活かし、風俗業界で働く女性たちからの紹介を通じて、短期間で多くの人材を集めることに成功した。

新たな事業の指導者には、外国人クラブのママを抜擢した。ママはチーママを昇格させ、現場の管理を任せる体制を整えた。ママ自身が直接指導するのではなく、CA(キャビンアテンダント)やホテルの給仕経験者など、接客のプロフェッショナルを募集し、前職よりも高い報酬で採用した。

彼女たちはママの下で勤務し、責任者として新人スタッフの教育にも携わった。こうして、龍児の新たな事業は、社会的な意義と実務の両面で着実に形を成していった。
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