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第3章 過ぎゆく温もり:王の側室となった彼女へ
1-1話 アリーナとの出逢い(故郷の先輩)
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ベルリンの街を、グレッグは今日も歩いていた。
目的は、捨てられた屑を拾い集めて、取引場で金に換えること。
だが、この日は朝から何も食べておらず、空腹で足取りが重かった。
水飲み場を見つけると、彼は腹いっぱい水を飲んだ。
それが災いした。
水は洗濯用だったのか、腹を壊してしまい、いつもの寝床まで戻ることもできなかった。
人家の軒先に身を横たえ、うずくまっていると、ふと女性の声がした。
「グレッグじゃない? こんなところでどうしたの?」
目を開けると、そこには懐かしい顔があった。
地元の小学校時代、高校生だった先輩――アリーナだった。
彼女もグレッグのことを覚えていたらしく、驚いた様子で声をかけてきた。
「腹が減って、お金も使い果たしてしまって……。水飲み場で水を飲んだら、腹が痛くなってしまって……ここで横になっていたんです」
グレッグがそう答えると、アリーナは眉をひそめた。
「あそこの水は洗濯用よ。飲んじゃダメ。とにかく、中に入って!」
彼女は迷うことなく、グレッグを家の中へ招き入れた。
トイレを借りて、ようやく腹の痛みが落ち着いたグレッグは、お礼を言って帰ろうとした。
だが、アリーナは彼を呼び止めた。
「どうしてベルリンに来たの?」
グレッグは一瞬、言葉に詰まった。
ミリヤムのことは話さず、こう答えた。
「親と喧嘩して、家出してきたんです。どうせなら大都市の方が仕事もあると思って、ベルリンを選びました」
「今まではどこで寝てたの?」
「スラム街に寝床を見つけて……外です」
「だったら、しばらく家にいたら?」
「えっ……でも、小父さんと小母さんは?」
「親戚の叔父が亡くなって、両親はザールブリュッケンに行ってるの。たぶん一ヶ月は帰ってこないわ」
「アリーナさんは仕事があるでしょ?」
「グレッグとは幼馴染みたいなものだから。鍵を渡すから、好きな時に出かけて、好きな時に帰ってくればいいのよ」
「……タダでいいんですか?」
「もちろんよ」
「ありがとうございます」
その日から、グレッグはアリーナの家で居候することになった。
それは、彼にとって本当にありがたい申し出だった。
夕食には、アリーナが野菜スープとパンを用意してくれた。
温かい食事と、誰かの気遣い。
それは、グレッグにとって久しく忘れていた感覚だった。
正に、一宿一飯の恩義。
グレッグは、アリーナに深く感謝していた。
つづく
目的は、捨てられた屑を拾い集めて、取引場で金に換えること。
だが、この日は朝から何も食べておらず、空腹で足取りが重かった。
水飲み場を見つけると、彼は腹いっぱい水を飲んだ。
それが災いした。
水は洗濯用だったのか、腹を壊してしまい、いつもの寝床まで戻ることもできなかった。
人家の軒先に身を横たえ、うずくまっていると、ふと女性の声がした。
「グレッグじゃない? こんなところでどうしたの?」
目を開けると、そこには懐かしい顔があった。
地元の小学校時代、高校生だった先輩――アリーナだった。
彼女もグレッグのことを覚えていたらしく、驚いた様子で声をかけてきた。
「腹が減って、お金も使い果たしてしまって……。水飲み場で水を飲んだら、腹が痛くなってしまって……ここで横になっていたんです」
グレッグがそう答えると、アリーナは眉をひそめた。
「あそこの水は洗濯用よ。飲んじゃダメ。とにかく、中に入って!」
彼女は迷うことなく、グレッグを家の中へ招き入れた。
トイレを借りて、ようやく腹の痛みが落ち着いたグレッグは、お礼を言って帰ろうとした。
だが、アリーナは彼を呼び止めた。
「どうしてベルリンに来たの?」
グレッグは一瞬、言葉に詰まった。
ミリヤムのことは話さず、こう答えた。
「親と喧嘩して、家出してきたんです。どうせなら大都市の方が仕事もあると思って、ベルリンを選びました」
「今まではどこで寝てたの?」
「スラム街に寝床を見つけて……外です」
「だったら、しばらく家にいたら?」
「えっ……でも、小父さんと小母さんは?」
「親戚の叔父が亡くなって、両親はザールブリュッケンに行ってるの。たぶん一ヶ月は帰ってこないわ」
「アリーナさんは仕事があるでしょ?」
「グレッグとは幼馴染みたいなものだから。鍵を渡すから、好きな時に出かけて、好きな時に帰ってくればいいのよ」
「……タダでいいんですか?」
「もちろんよ」
「ありがとうございます」
その日から、グレッグはアリーナの家で居候することになった。
それは、彼にとって本当にありがたい申し出だった。
夕食には、アリーナが野菜スープとパンを用意してくれた。
温かい食事と、誰かの気遣い。
それは、グレッグにとって久しく忘れていた感覚だった。
正に、一宿一飯の恩義。
グレッグは、アリーナに深く感謝していた。
つづく
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