泡のように、生きる

しらかわからし

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第1章 パラサイトな二人の人生模様

第20話 圭子の独白:終わった愛

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部屋の一点を見つめながら、圭子は心の中で静かに言葉を紡いでいた。  
誰にも届かない、誰にも聞かせない、ただ自分だけの独り言。

「私は、以前の悟志が本当に好きだった。結婚したいというよりも、この人の子供を産みたいと思っていた。そして、誰もが羨むような、あたたかくて穏やかな家庭を築きたかった」

「でも、彼とは結婚できなかった。好きで、好きで、どうしようもないほど惹かれていたから、別れたあとも彼が帰ってくると、私は抱かれてしまっていた」

「最初は、彼の『教師になる』という夢を応援していた。その夢に向かって、真っすぐに生きている姿が、眩しくて、素敵だと思っていた」

「だけど、少しずつ分かってきた。彼の人間としての薄っぺらさ。だから、彼が『結婚したい』って言えば言うほど、『この人でいいのかな……?』って、心の中で問いかける自分がいた」

「実は、彼と出会う前から、私はもう一度、自分の人生を新しい街でやり直そうと決めていた。都会に出てみようと思っていたの」

「そんな時に彼と出会って、迷ってしまった。そして、彼の赴任先がその都会の近くの町だと分かった時、私も一緒に行こうと思った」

「でも、その後に、彼のことを大嫌いになる出来事が起こった。私は、もう彼のことを終わりにしたかった。それでも、まだ別れていない」

「私はこの街を出た。新しい職場に就職して、新しい街で、私はもう一度やり直したいから」

つづく

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