泡のように、生きる

(第1章 あらすじ)
音大卒の悟志は定職に就かず、ピアノ講師と家庭教師で生活を繋ぎながら、怠惰な日々を送っていた。カラオケ居酒屋で介護士の圭子と出会い、恋に落ちる。彼女の優しさと歌声に惹かれ、教員採用試験を目指すが、努力はせず自己陶酔に浸る。
やがて二人は半同棲状態となり、悟志は試験に合格。結婚を申し込むが、浮気と暴力が発覚し、圭子は彼に別れを告げる。悟志は自暴自棄になり、転勤で実家の街へ戻る。
一方、圭子は外科医と出会い、再び愛を信じようとするが、彼の死と中絶を経験し、精神的に崩壊。介護士を辞め、ホステスとして生きる道を選ぶ。
打算と依存、偽善と欲望に満ちた二人の人生は、それぞれの終着点へと向かっていく。
『身の丈に合った幸福』とは何か――それを問いかける物語です。
幸せになりたかっただけなのに――それが一番難しかった

(第2章 あらすじ)
あれから四半世紀が経った。関東の地方都市にあるクラブ「ファーストクラス」で働く圭子は、52歳。かつてはバブルの残り香を纏い、店のNO.1として君臨していたが、今は『賞味期限切れ』を自認しながらも夜の街に立ち続けている。炭酸泉に癒され、若いスタッフとの衝突や別れを経験しながら、彼女は過去の恋、母との記憶、老後の不安と向き合っていく。
ある日、若い客との火遊びをして、捨てられる。そしてまた昔の客から届いた手紙が、彼女の心に静かな波紋を広げる。停電の夜には、仮面を外した本音の会話が交わされ、店の閉店が決まった時、圭子は『終わり』を受け入れる覚悟を決める。
最後の夜、常連客たちとグラスを交わし、感謝を伝えた圭子は、自分の人生をノートに綴り始める。それは、誰かに読まれるかもしれない『物語』として。泡のように儚く、でも確かに誰かの胸に残る記録として。

※この作品は他の小説投稿サイトに分割して公開しましたが、本来の作品として公開いたします。
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