泡のように、生きる

しらかわからし

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第1章 パラサイトな二人の人生模様

第27話 それぞれの終着点

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悟志は、圭子との別れをどうしても許すことができなかった。
彼女が他の男の腕に抱かれ、全裸で気をやっている―― その姿と声を想像するだけで、胸が締めつけられた。

だが、それがすべて自分の責任だということも、悟志は分かっていた。
自分から別れを告げるならまだしも、相手からの別れは絶対に認めたくなかった。
プライドが、それを許さなかった。

自己中心的な性格だと自覚してはいた。
それでも、その気持ちを止めることはできなかった。
圭子に別れを告げられてから、悟志は自暴自棄になり、何人かの女性と関係を持った。
だが、本気にはなれなかった。
圭子が一番素晴らしい存在だったことは、変わらず胸に残っていた。
そして、彼女がもう戻ってこないことも、悟志は理解していた。

そんな時、ふと彼は思った。
もう一度、自分を産んでくれた街に戻りたい――
圭子の近くにいて、彼女が知らない男と幸せになる姿を想像し続ける苦しみから逃れたかった。

悟志は転勤の道を選んだ。
3月、圭子にそのことを告げた。

「どこに転勤になったの?」
感情のこもらない声で、彼女はそう尋ねた。
実家のある地域に帰ることに、彼女は何の興味も示さなかった。

そして、3月末日。
悟志は静かに、実家のある街へと旅立った。

一方、圭子――
あれほど悟志のことを冷静に批判していた彼女だったが、新たな外科医の彼は、あっという間に他界してしまった。

彼の癌はすでに不治のステージに達していて、余命宣告を受けた時に、圭子と出会っただけだった。

彼は、圭子と結婚する意思があった。
だが、したくてもできなかった。
結婚を約束した矢先の他界。
その時、圭子の腹の中には、彼の子が宿っていた。

だが、彼女はシングルで育てる意思を持てなかった。
中絶を選んだ。

圭子は、悟志に傷つけられた時以上に、深く心を病んでしまっていた。
介護士を辞め、関東地方のある街へ一人で引っ越した。

そして、高級クラブのホステスになった。
その店で、伝説に残るほどのNo.1になったが、酒を浴びるように飲み、多くの男に抱かれながら、賞味期限を過ぎた女として、そんな人生を歩んでいる。

打算的で、偽善的で、似た者同士。
パラサイトな二人だった。

人生を、細やかな幸せに感謝しながら、質素に、そして平凡に生き抜くこと―― それが、何よりも難しい。

そして、それこそが、本当の意味で『身の丈にあった幸福』なのかもしれない。

つづく

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