泡のように、生きる

しらかわからし

文字の大きさ
62 / 68
第2章 若さは武器だった。だが老いは、物語になる

第25話 狂わせた若さ、置き去りにされた情念

しおりを挟む
遅い時間に来店し、アタシを指名したのは悠人くんだった。

「いけないわ。スタッフがいるのよ、すぐ隣のボックスに」

口ではそう告げながら、アタシの胸は早鐘のように打ち続けていた。

理性は「駄目」と叫ぶ。

けれど、身体はすでに答えを知っている。

悠人くんの指先が、そっとアタシの手を取った。

その瞬間、全身に電流が走る。

拒む代わりに、アタシは自らその手を握り返していた。

──スタッフと客が隣のブースにいるのに。

隣では若いスタッフが接客をしている。

その音がむしろ背徳を際立たせ、欲望に火をつけた。

「圭子さん……」

名を呼ぶ声に、アタシは抗うように首を振りながらも、唇を重ねていた。

押し殺した吐息が重なり、舌が絡み合う。

「ダメ……声を出しちゃ……」

囁くほど、悠人くんの動きは激しくなる。

隣に聞こえてはいけないという恐怖が、逆に快感を鋭く尖らせていく。

そこに散らばる衣擦れの音。

アタシは「もう直ぐ、店が終わるから」と言って控室から自宅の鍵を持ってきて彼に渡す。

彼は会計をしてアタシの自宅へ。

◇◆◇

そして終礼をせずにアタシは足早に帰宅した。

ドアには施錠されてなく開けた直ぐに悠人くんはアタシを抱き寄せ唇を重ね、胸を弄る。

玄関で抱き寄せられるだけで、アタシはその場で身体を開いてしまう。

背徳の震えと甘美な熱に支配されながら──再び、悠人くんを迎え入れてしまった。

若い客とアタシは密やかに結ばれている。

その禁断の事実が、アタシを狂わせていた。

「圭子さん……」

低く熱を帯びた声。

その響きに、身体の奥から欲望があふれ出す。

玄関の上がり框の上で、アタシはバックの体勢で着衣のままショーツとストッキングだけを脱がされた、はしたない姿で彼を受け入れてしまった。

「はぁっ……あぁ……もっと……激しく……」

喉を押さえて声を殺しながらも、突き上げられるたびに背中が反り返る。

汗に濡れた互いの下腹部の肌が重なり、床がきしむ音がやけに大きく響いた。

二人は一気に絶頂へと駆け上がった。

◇◆◇

その後は悠人くんに肩を抱かれ、寝室の布団に押し倒された。

「恵子さん……」

抑えた声に、アタシは笑みを作りながら頷いた。

悠人くんはアタシの服を脱がし、彼も慌てて脱ぎ捨て重なった。

「……あっ、あぁ……」

思わず声が漏れる。

自分でも驚くほど、敏感に反応していた。

悠人くんの指が触れるたび、若い熱い熱を感じていた。

「はぁっ……あぁ……もっと……」

喉を押さえて声を殺しながらも、突き上げられるたびに背中が反り返る。

汗に濡れた肌が重なり、畳がきしむ音がやけに大きく響いた。

悠人くんは満足したのか、アタシに布団を被せて、枕元に鍵を置いて帰って行った。

その後、彼はアタシの家にも店にも来る事はなかった。

つづく
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜

小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。 でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。 就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。 そこには玲央がいる。 それなのに、私は玲央に選ばれない…… そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。 瀬川真冬 25歳 一ノ瀬玲央 25歳 ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。 表紙は簡単表紙メーカーにて作成。 アルファポリス公開日 2024/10/21 作品の無断転載はご遠慮ください。

甘い束縛

はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。 ※小説家なろうサイト様にも載せています。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

Blue Bird ―初恋の人に再会したのに奔放な同級生が甘すぎるっ‼【完結】

remo
恋愛
「…溶けろよ」 甘く響くかすれた声と奔放な舌にどこまでも落とされた。 本宮 のい。新社会人1年目。 永遠に出来そうもない彼氏を夢見つつ、目の前の仕事に奮闘中。 なんだけど。 青井 奏。 高校時代の同級生に再会した。 と思う間もなく、 和泉 碧。 初恋の相手らしき人も現れた。 幸せの青い鳥は一体どこに。 【完結】 ありがとうございました‼︎

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

25年の後悔の結末

専業プウタ
恋愛
結婚直前の婚約破棄。親の介護に友人と恋人の裏切り。過労で倒れていた私が見た夢は25年前に諦めた好きだった人の記憶。もう一度出会えたら私はきっと迷わない。

処理中です...