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オーガさん拠点に着く
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女性達を埋葬し終えたグランツは地図の通り中継地点へ向かう。
このような魔族領前線地域は魔物の出現率も高く、道の整備どころか確立された補給路すらないのが普通であった。
そのため、建築した中継地点が偶々居座った大型の魔物一匹の為に放棄しなけばならないのは日常茶飯事。悪ければ山賊や盗賊達の根城に使われ、逆に国の脅威になることも少なくなかった。
そのため人間は冒険者という職業を新たに作り、跡を継げない弟、次男三男四男達に仕事を与え治安の向上と国に対する不満の解消を図った。
その甲斐もあり盗賊や山賊を初めとする、いわゆる賊へと落ちる者は少なくなり、各国の治安は向上、安定していった。
が、先の戦闘ように少なからず賊へと身を落とす者も少なくない。魔物という未知の生物を相手にするよりも、爪や牙もなく皮膚も柔い人間相手に悪事を働く方が安全で高収入なのは確かであったからだ。
しかし、根本の違いは国に対する不満を魔物に向けるか人に向けるかの違いでしか無く、未だに国同士の戦争が至る所で勃発している。しかも農家の跡を継ぐ長男が農業に専念し、次男以降が戦争に専念するというのが常識化されていき、今までは作物の収穫時期には戦争をしないという国同士の暗黙の了解すら無くなり、一年の内に戦争が二回ある。なんて事も少なく無くなっていた。
「…あそこが中継地点だな」
グランツが見つけたのは申し訳程度の木の柵で囲われた中継地点だった。
周囲に掘りを掘ってその土砂を堤に成形して木の柵を挿した防御壁。堤の天辺から掘った掘りの底辺までの高さこそ二メートル以上はあるものの、太めの木で建てた、門とは間違っても言えないようなゲートに、開拓者の中からジャンケンで選んだかのような虚弱な老人の門番を窺うに防衛機能は0に等しいのは明らかだった。
「あんなのが拠点と呼ばれていいのか?」
堤に刺されたネズミ返しも掘りを抜けるための手掛かりにしかされないような作りであった。
更に拠点の外側を全て畑に開墾していた為作物が実ると背の低い魔物や狼などの獣が発見しにくいという致命的な欠点もあった。
「まぁいいか。俺には関係の無い事だ。さて…蹂躙といきますか」
二秒。
グランツが拠点を壊滅させるのに所要した時間である。
幅跳びの要領で堤を超え拠点の中央にその一トン超の体を衝突させ周囲の建物を倒壊させる。次に裏拳の要領で周囲の倒壊した建物の瓦礫を拳圧により全方位に吹き飛ばす。
以上だ。この二秒で人間が必死に築いた拠点は瓦礫の山と肉片の集積場と化した。
それ程までに人間とグランツの力の差は歴然だった。蟻が象に挑むように。赤ん坊が横綱と同じ土俵に上がるように、やる前から分かり切っていたのだ。しかしグランツと人間の場合、誰も止めようとしないし止め方を知らない。まさに蹂躙の名に相応しい二秒間だった。
「何も知らない内に死ねたのは運が良かったな。獣に四肢を喰われながら恐怖の内に痛みと失血で死ぬよりかは断然マシだろ?」
「……」
「君に聞いているんだけどなぁ?地下扉の中の君にね」
「……」
「……しょうがない。この瓦礫を退かせたら逃げな。もっとも、この匂いの濃度じゃ食糧も3日分かそこらだろ?発狂からの餓死か窒息死か選ばせてやるよ」
グランツはそう言って瓦礫を積み重ねてそこから立ち去った。グランツの足音と重なるように地下扉の上の瓦礫を叩く音が彼の姿が地平線に消えるまで鳴り響いたという。
「弱い奴は死に方も選べないってよく言うし、それを選ばせてあげる俺はなんて優しいのだろう」
このような魔族領前線地域は魔物の出現率も高く、道の整備どころか確立された補給路すらないのが普通であった。
そのため、建築した中継地点が偶々居座った大型の魔物一匹の為に放棄しなけばならないのは日常茶飯事。悪ければ山賊や盗賊達の根城に使われ、逆に国の脅威になることも少なくなかった。
そのため人間は冒険者という職業を新たに作り、跡を継げない弟、次男三男四男達に仕事を与え治安の向上と国に対する不満の解消を図った。
その甲斐もあり盗賊や山賊を初めとする、いわゆる賊へと落ちる者は少なくなり、各国の治安は向上、安定していった。
が、先の戦闘ように少なからず賊へと身を落とす者も少なくない。魔物という未知の生物を相手にするよりも、爪や牙もなく皮膚も柔い人間相手に悪事を働く方が安全で高収入なのは確かであったからだ。
しかし、根本の違いは国に対する不満を魔物に向けるか人に向けるかの違いでしか無く、未だに国同士の戦争が至る所で勃発している。しかも農家の跡を継ぐ長男が農業に専念し、次男以降が戦争に専念するというのが常識化されていき、今までは作物の収穫時期には戦争をしないという国同士の暗黙の了解すら無くなり、一年の内に戦争が二回ある。なんて事も少なく無くなっていた。
「…あそこが中継地点だな」
グランツが見つけたのは申し訳程度の木の柵で囲われた中継地点だった。
周囲に掘りを掘ってその土砂を堤に成形して木の柵を挿した防御壁。堤の天辺から掘った掘りの底辺までの高さこそ二メートル以上はあるものの、太めの木で建てた、門とは間違っても言えないようなゲートに、開拓者の中からジャンケンで選んだかのような虚弱な老人の門番を窺うに防衛機能は0に等しいのは明らかだった。
「あんなのが拠点と呼ばれていいのか?」
堤に刺されたネズミ返しも掘りを抜けるための手掛かりにしかされないような作りであった。
更に拠点の外側を全て畑に開墾していた為作物が実ると背の低い魔物や狼などの獣が発見しにくいという致命的な欠点もあった。
「まぁいいか。俺には関係の無い事だ。さて…蹂躙といきますか」
二秒。
グランツが拠点を壊滅させるのに所要した時間である。
幅跳びの要領で堤を超え拠点の中央にその一トン超の体を衝突させ周囲の建物を倒壊させる。次に裏拳の要領で周囲の倒壊した建物の瓦礫を拳圧により全方位に吹き飛ばす。
以上だ。この二秒で人間が必死に築いた拠点は瓦礫の山と肉片の集積場と化した。
それ程までに人間とグランツの力の差は歴然だった。蟻が象に挑むように。赤ん坊が横綱と同じ土俵に上がるように、やる前から分かり切っていたのだ。しかしグランツと人間の場合、誰も止めようとしないし止め方を知らない。まさに蹂躙の名に相応しい二秒間だった。
「何も知らない内に死ねたのは運が良かったな。獣に四肢を喰われながら恐怖の内に痛みと失血で死ぬよりかは断然マシだろ?」
「……」
「君に聞いているんだけどなぁ?地下扉の中の君にね」
「……」
「……しょうがない。この瓦礫を退かせたら逃げな。もっとも、この匂いの濃度じゃ食糧も3日分かそこらだろ?発狂からの餓死か窒息死か選ばせてやるよ」
グランツはそう言って瓦礫を積み重ねてそこから立ち去った。グランツの足音と重なるように地下扉の上の瓦礫を叩く音が彼の姿が地平線に消えるまで鳴り響いたという。
「弱い奴は死に方も選べないってよく言うし、それを選ばせてあげる俺はなんて優しいのだろう」
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