はぐれオーガさん本気だす

KMR

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オーガさん弓を撃ち返す。

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「やばいな…こりゃあ早く町に知らせないと町が壊滅しちまうかもしれん」

ある男が森の中から呟いた。その男は森で猟をしていた猟師である。目が良いことが自慢の彼はその視力を買われ、時々冒険者ギルドで偵察や高品質素材の依頼を受けている。今回もその一環でこの遠方まで足を伸ばしたのだが……

「こりゃあ大変だ」

彼は踵を返し、来た道を全速力で駆け抜ける。近くの町までどう見積もっても4~5時間はかかりそうな距離であったが、彼は
「自分がここで走り抜けなければ沢山の人が血の海に沈む」
と直感していた。
猟師としての経験からか、彼は自分の直感に対して全幅の信頼を置いている。

「しかし、こんなに冷や汗が出たのはいつ振りだ…?」

彼は自分の額に流れる冷たい汗に対して愕然としていた。走っているのにも関わらず汗がまだ冷たいからだ。それなのに自分のチロリアンハットはもう汗塗れで縁の色が濃くなっている…

「~っ!??!!」

その時彼の背筋に緊張が走った。「ヤバい!!」
彼の脳裏に危険信号が走った瞬間、彼は180度身体をひねりながら矢をつがえ弦を引き絞った。


「よう」

「~~~っっっつ!???」

振り向いた方向の前には、白銀の魔物が佇んでいた。男は矢から手を離し射出……


出来なかった。

何故なら、グランツは猟師の放った矢が弦から離れる前に摘まんでいたからだ。

「返すぞ」

グランツは猟師の手首ごと弓を反転させ摘まんでいた矢を離した。

「ぬぅあっっ!!!」

猟師は渾身の力で下にしゃがもうとしたが、人間は下に加速する事は出来ない。目を見開いた瞬間、猟師の眉間には深々と矢が突き刺さりエビぞりになって地面に吹き飛んだ。

「あちゃー、鏃の返しが頭蓋骨に噛んで抜けない……」

グランツが矢を引き抜こうとすると死体のオマケが付いて来た。

「……しょうがない。この矢は諦めるか」

グランツは頭から飛び出た分をへし折りそこらへ放り投げる。

「えーっと、弓は張力弱いし矢は脆い。山刀はなぜか錆だらけだし服は鞣しが弱いのか柔々……うん。ゴミだな」


猟師の名誉にかけて説明しておくが、彼の持っていた弓は動物の弓から作られている物で張力も35キロ程はある上、矢もその張力で裂けないような高品質の物であった。
山刀の錆にも、ワザと錆させることで鋸のような刃になり動物の皮や猟に使う縄を切りやすくするという歴とした理由があったのだ。

「っと。こいつのプレートは猟師って打刻されてるな……って、これには棒線が刻まれてないのか」

理由は前話の通りである。

「……おっ、前盒に財布と…やった薬瓶がある!」

財布の中は国の銅色の硬貨が数枚入っていたのみだったが、薬瓶は五種類もありグランツは大いに喜んだ。

その内二つは大きな口の瓶に入った蜂蜜を主な原材料にした塗り薬と毒々しい色の塗布毒。
残りの三つの内一つは薬草、香草、木の根を混ぜて溶かした一種の鎮痛剤。
そして残った二つは消毒薬の類だった。

「よしよし、後で俺の毒と調合しておくか」


グランツは猟師の後盒に入った食糧を全て口の中に放り込み遺体を後にした。






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