陰陽師と結ばれた縁

サクサク

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目覚めと、自覚と、狙う者

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五節舞はそんなに早い舞ではない。どちらかというとゆっくりとした動作で舞っていく。
私自身のオリジナルの舞のテンポが、ただただ早すぎるだけということだ。
それぞれの舞姫には春夏秋冬のそれぞれの季節の名前で呼ばれる。
春の舞姫、夏の舞姫とか。
あれ?そういえば、五節舞に選ばれる姫君たちって、次期帝・・・つまり春宮さまの奥さん候補になるんじゃなかったかな?
教育の一環でそんな話を聞いた事があった気もするけれど・・・もしそれが正解だったとしたら、今、春宮さまの北の方が本来座る場所にいる私は、もれなくドロっとした後宮の争いに参加をしたという事なのだろうか?
私にそんなつもりはなくても、周りは勝手にそういう風に解釈をする。
しかも春宮さま直々に連れてきた姫君、筆頭の婚約者だと思われているだろう。
それは勘弁してほしいなぁ~。
状況を9割理解した私は、小さくため息をついた。
まぁ、直接陛下たちに話しちゃったしね。陛下って言っても向こうの癖で親戚の叔父さん的感覚なのだ。
あまり緊張もしない。

〈姫さま、あまりため息つきませんと、春宮さまがご心配そうに事らを振り返ってるえ?〉
〈それはため息つきたくなるよ~。〉

そもそも心配するような事があるのだろうか?
うん、今更な気がする。本当に。

〈それよりも、今は舞を全力で楽しもうかな。〉
〈それがよかろう。〉

雪華の言葉に春宮さまの方を見れば、ばっちり視線があった。
相手からどのくらい見えているのかわからないけれども、とりあえず笑みを浮かべてみた。
しばらくして楽の音が聞こえ、舞が始まった。
火桶も近くに置いてあり、暖かさは十分だ。
4人の舞姫たちは優雅に舞を舞う。
衣装も豪華で、華やかだ。
心地よい楽の音に耳を傾けながらも、のんびりとした気持ちで舞を眺めていた。
舞は滞りなく終え、この後は宴へと切り替わる。
私は宴よりも、舞が終わってしまえば梨壺の状態が気がかりだ。
そろそろ朱桜も帰ってくるだろう。
主上が4人の舞姫に労いの言葉をかけ、そして宴への準備が始まる。
私は雪華に目配せをすると同時に姿を消した状態の朱桜が帰ってきた。

〈皐月、梨壺の殿舎に異常物はなかった。が、確かにあそこだけ空気が淀んでいる。呪い系ではないな。まるで皐月が梨壺にいる前提のモノだ。〉
〈というと?〉
〈直接、宮がいない時にあの何者かが殿舎に来てる〉
〈元は辿れる?〉
〈それは俺でも難しい。綺麗に痕跡が消されている〉
〈ありがとう朱桜。そのままそばに控えてくれる??〉
〈あぁ。〉

さて、問題はこの場所からどう退出するか、どう梨壺に向かうか。
の二つだ。
やっぱり時平で来るべきだったような気がして仕方がない。
自由に話しかけられないのも、動けないのももどかしい。
すると、春宮さまが御簾の前に降り移動してきた。

「菊華の君、少し抜け出さぬか?」
「えぇ、喜んで。」

小声で話しかけ、御簾の下から手を握っている状態で私は返事をする。
両陛下へは事前に報告済みだったのか、何も言わずに笑顔で送り出してくれた。
渡殿まで、扇で顔を隠しながら春宮さまに手を引かれながらも内裏内、つまりは後宮の妃達と姫君、宮さましか入れぬ場所へと向かう。
今日昇殿が許されているのは、紫宸殿のみだ。
その後ろの殿舎へは誰も入れない。
護衛をしている武官なら問題ないだろうが、それ以外は女であろうと入れない。
その領域までは顔を隠し、恥じらいを見せながら歩いて行った。
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