陰陽師と結ばれた縁

サクサク

文字の大きさ
67 / 76
終わりと始まり

3

しおりを挟む
正直春仁さまは何かいいタゲだったけれど、陰陽寮までついてこられては色々と説明がめんどくさい。
春宮妃がなぜ鎮魂をする必要があるのだとか。
姫君はそのようなことをする必要がないだとか。
なので、人目になるべくつかず陰陽頭に会う必要がある。
陰陽寮の屋根に一度着地してもらうと中の様子を蒼月に見てきてもらう。
今居るのは、章平さまと陰陽頭、先日イチャモンを付けてきた陰陽生だという。
どうしたものか。
蒼月だけに頼むのもありだけれど、誰が取り仕切るのかが問題に出るだろうから私も行った方がいいだろう。
うーんと悩んでいると、敦成さまが陰陽寮にやって来るのが見えたので、一度下に降りた。

「敦成さま。」

突然降りてきた私と青龍に驚きつつも安堵の表情を浮かべた敦成さまに首を傾げる。

「春宮妃、宮様をあまり拗ねさせないようにお願いいたします。あまり関わらせたくないと思う、貴方さまのお気持ちも分からなくはありませんが。」
「宮さまはお忙しいから、私で対応できることは致します。」

お手を煩わせるわけにはいかないと暗に言っているのだが、とても複雑そうな表情を敦成さまはされた。
何も間違っていないと思うのだけれど・・・?

〈ひぃさま、間違っているというより、普通は「嫁の心配をするだろう?藤香だって成親の心配をするだろう?〉
〈母さまは心配性ってのもあるけれど・・・・。そうね、私でも父様や兄様たちが危険な時は心配する。〉
〈敦成が言いたいのはそういうことだ。〉
「敦成さまは宮さまのお使いですか?」
「えぇ。春宮妃が滞りなくやるべき事に集中できるよう、主上などに許可は取っておられますよ。あとは、陰陽頭のみです。」
「ありがとうございます。」
「それは是非、宮さまに伝えてください。」

そうですね。とくりと笑った。
そのまま敦成さまと共に陰陽寮に正面から訪ねていく事になった。
ちゃんと顔を隠してくださいね。と、言われてちゃんと檜扇で顔を隠しつつも、室内を見まわす。
いきなり、春宮殿下の側近とその正妃(仮)がきたのだ。
前回絡んできた連中も何も言えないだろう。
敦成さまと一緒に陰陽頭が居る部屋に入室すると、筵座へ案内された。
私は青龍に抱えられたままだったので、入室後床に下ろしてもらい円座に座る。
しばらくして、バタバタと足音が聞こえてきて部屋の前で止まる。
この足音、章平さまだな~。と思っていたら、案の定本人だった。

「失礼致します。陰陽頭お呼びで・・・・・、姫さん?!と、青龍殿。どういう状況でしょうか?!」
「章平さま、お邪魔しております。」
「早く座りなさい。」
「はい!」

陰陽頭に促され、章平さまは私達の近くに腰を下ろした。

「まずこちらを。」

と敦成さまが文を手渡してくれる。
読み終わる頃を目処に、私は頭を下げた。

「先日は急なご要望を汲み取って頂いて、ありがとうございました。」
「頭を上げてください、春宮妃さまに頭を下げていただく必要はございません。私がある協力をしたのは、遠縁の‘時平’からの要望であった為、受けたに過ぎません。」

そうでしたね。
と顔を上げる。

「簡易の鎮魂祭を行うと言うのは?」
「先日のガシャ髑髏の副産物的なものですが、輪廻の環に戻れずにいるもの達を送ってやりたいのです。悪しきモノたちに再び囚われる前に。その為、物理的に火が必要となりますので、木材を分けて頂けましたら。」
「春宮妃さまが行うのですか?」
「えぇ。私の魂とそのモノの魂が引き付けられておりますので、私が最適かと。」
「陰陽寮のモノを付けさせてもよろしいでしょうか?」
「それは構いませんが、私に随行しているモノを視える者が好ましいのですが。」
「それは、そちらの青龍殿が見える者と解釈してもよろしいでしょうか?」
「お話が早くて助かります。見えた方が、真実がわかりますから。」

にっこりと微笑み、見えない者など必要ないと私は簡単に言っている。
正直、陰陽寮でどのくらいの人間が見えているのだろうか?
先日の者達をみても正直疑問を抱いている。
安倍一族でも得意不得意があるから仕方がない部分ではあるのだが・・・・。

「では、私は準備がありますので、あの者を捕らえている前庭に牛二つ時正午に。」
「承りました。」
「よろしくお願いいたします。陰陽頭と章平さまは余裕かと思いますが。あの神将達が本気で怒った時の神気って、なんとなくお分かりでしょうか?」
「・・・・・はい。何度か・・・・。」
「あれで、気を失わないだろうと思われている方でしたら大丈夫です。私、同業者には身内以外にとても厳しいらしいので。あぁ、特に先日の勘違い3人組は速攻で気を失うかと思いますので、除外でお願い致します。逆に鈍すぎて、平気かも知れませんが。」

んふふふ。と笑みをこぼしたところで‘禊’をする為、梨壺に戻る事にした。
章平さま曰く、目が笑っていなかったところ、ビビられた。
章平さまは身内ですから、私はかなり甘いですよ?
と付け加えはしたが、果たして信じてもらえたかどうかは謎な所である。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~

ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。 休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。 啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。 異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。 これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。

ゴミ鑑定だと追放された元研究者、神眼と植物知識で異世界最高の商会を立ち上げます

黒崎隼人
ファンタジー
元植物学の研究者、相川慧(あいかわ けい)が転生して得たのは【素材鑑定】スキル。――しかし、その効果は素材の名前しか分からず「ゴミ鑑定」と蔑まれる日々。所属ギルド「紅蓮の牙」では、ギルドマスターの息子・ダリオに無能と罵られ、ついには濡れ衣を着せられて追放されてしまう。 だが、それは全ての始まりだった! 誰にも理解されなかったゴミスキルは、慧の知識と経験によって【神眼鑑定】へと進化! それは、素材に隠された真の効果や、奇跡の組み合わせ(レシピ)すら見抜く超チートスキルだったのだ! 捨てられていたガラクタ素材から伝説級ポーションを錬金し、瞬く間に大金持ちに! 慕ってくれる仲間と大商会を立ち上げ、追放された男が、今、圧倒的な知識と生産力で成り上がる! 一方、慧を追い出した元ギルドは、偽物の薬草のせいで自滅の道をたどり……? 無能と蔑まれた生産職の、痛快無比なざまぁ&成り上がりファンタジー、ここに開幕!

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

見捨ててくれてありがとうございます。あとはご勝手に。

有賀冬馬
恋愛
「君のような女は俺の格を下げる」――そう言って、侯爵家嫡男の婚約者は、わたしを社交界で公然と捨てた。 選んだのは、華やかで高慢な伯爵令嬢。 涙に暮れるわたしを慰めてくれたのは、王国最強の騎士団副団長だった。 彼に守られ、真実の愛を知ったとき、地味で陰気だったわたしは、もういなかった。 やがて、彼は新妻の悪行によって失脚。復縁を求めて縋りつく元婚約者に、わたしは冷たく告げる。

悪役女王アウラの休日 ~処刑した女王が名君だったかもなんて、もう遅い~

オレンジ方解石
ファンタジー
 恋人に裏切られ、嘘の噂を立てられ、契約も打ち切られた二十七歳の派遣社員、雨井桜子。  世界に絶望した彼女は、むかし読んだ少女漫画『聖なる乙女の祈りの伝説』の悪役女王アウラと魂が入れ替わる。  アウラは二年後に処刑されるキャラ。  桜子は処刑を回避して、今度こそ幸せになろうと奮闘するが、その時は迫りーーーー

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。

潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。

婚約を奪った義妹は王太子妃になりましたが、王子が廃嫡され“廃嫡王子の妻”になりました

鷹 綾
恋愛
「お姉様には、こちらの方がお似合いですわ」 そう言って私の婚約者を奪ったのは、可憐で愛らしい義妹でした。 王子に見初められ、王太子妃となり、誰もが彼女の勝利を疑わなかった――あの日までは。 私は“代わり”の婚約者を押し付けられ、笑いものにされ、社交界の端に追いやられました。 けれど、選ばれなかったことは、終わりではありませんでした。 華やかな王宮。 厳しい王妃許育。 揺らぐ王家の威信。 そして――王子の重大な過ち。 王太子の座は失われ、運命は静かに反転していく。 離縁を望んでも叶わない義妹。 肩書きを失ってなお歩き直す王子。 そして、奪われたはずの私が最後に選び取った人生。 ざまあは、怒鳴り声ではなく、選択の積み重ねで訪れる。 婚約を奪われた姉が、静かに価値を積み上げていく王宮逆転劇。

処理中です...