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終わりと始まり
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衝撃的事実を聞いてから、梨壺に戻ってきた私は、ひとまず汚れた着物を脱ぎ袿に着替えた。
雪華も事情は知っているらしく少し困ったような表情をされた。
そうだよね、私が安倍一族の存続を握っているのだから。
重くのしかかった事実に、ため息を何度もついてしまう。
「・・・やっと、素直に自覚したばかりなのにな・・・・。」
ポツリと呟いた言葉は誰にも届かず静かに溢れた。
元々惹かれていたのは分かっていた。
それを自覚したのはつい最近で、やっと気持ちに向き合えると思っていたこのタイミングで・・・。
恋心を貫くなら、残る道。
だけど、私は父様も母さまも、兄様もちぃ兄様だって大好きで大切な存在だ。
それは、神将達や春仁様も同様に当てはまる。
梨壺の簀子に座り、高欄に肘をつき頭をのせる。
春仁さまと離れるのは嫌だ。
元々春仁さまと生きる時代が違うのだと思えば納得してしまう。
そんな理由で、自分の気持ちを納得させるほど大人じゃない。
好きな人の傍に触れ合える距離にいたいと思うのは、本音。
だけど同じ様に、家族とサヨナラする覚悟も一族を終わらせる勇気も今の私にもない。
そのまま俯けば、涙があふれた。
だから、当主就任の儀式は苦痛を伴うのだろう。
心の強さを、想いの強さを試されるから。
残ることを選んだとしても、それは逃げではない。
分かってる。
自分の気持ちに素直に従っただけだ。
分かってる。
言葉が溢れる。
知らないようで知っていた祝詞を。
ーーーー伏して願い奉る。
ーーーー穢れを祓いたまえ、地の嘆きを聞き給え。
ーーーー祈りを聞き給え、神の慈悲とその息吹にて地を清め給え。
ふわりふわりと風が巻き起こる。
私の霊力に気づいた神将達が傍までやってきた。
顔を上げれば、春仁様の姿もあった。
笑え。
ーーーー平けし平けし、鎮まり過し給え。
ーーーー伏して請願奉る。
ーーーー神より拝しこの地を、血を、力を
ーーーー愛し給え、許し給え
ぱぁぁぁあんと、柏手を鳴らすと風がさらに強く吹き荒れる。
大好き。愛している。
春仁さまを思いっきり抱きしめると涙はさらに溢れる。
「菊華??」
どこか焦ったような声音の春仁さまを見上げる。
「春仁さま。」
きっと先延ばしにすれば、決心が鈍る。
心のどこかでは知っていた。
決めていた。
自分の時代に戻ると。
好きになっちゃダメな人、愛しちゃダメな人。
だけど、好きになったの。
「・・・・お慕い申し上げております。」
笑え。
頬に両手を添え、少し背伸びをして唇を重ねる。
首に腕を回し、きつく抱きしめる。
別れを惜しむように。
温もりを忘れないように。
「菊華・・・?・・嫌だ!!」
察したように、春仁さまが私を抱き寄せる。
「青龍・・・・・。」
差し出した手に渡されたのは、安倍一族に伝わる小太刀。
私がこの時代にやってきた原因となるモノ。
刃先が触れれば、光が穏やかに揺れる。
「菊華!!!」
「春仁さま。私の本当の名前は‘皐月’と申します。きっと見つけます。私の生きている時代で。貴方を。だから、忘れないで下さい。そしたら、きっと・・・・。」
考えたのだ。
私はこの時代より遥か先の未来から来た。
なら、春仁さまの生まれ変わりが居てもおかしくない。
わずかな望みに私は、願いをかける。
きっと、幸せになれると。
「この時代で、幸せになってください。」
閃光が梨壷に、内裏に行き渡る。
来た時と同じ。
忘れまいと、見えなくなるその瞬間まで春仁さまを見つめていた。
雪華も事情は知っているらしく少し困ったような表情をされた。
そうだよね、私が安倍一族の存続を握っているのだから。
重くのしかかった事実に、ため息を何度もついてしまう。
「・・・やっと、素直に自覚したばかりなのにな・・・・。」
ポツリと呟いた言葉は誰にも届かず静かに溢れた。
元々惹かれていたのは分かっていた。
それを自覚したのはつい最近で、やっと気持ちに向き合えると思っていたこのタイミングで・・・。
恋心を貫くなら、残る道。
だけど、私は父様も母さまも、兄様もちぃ兄様だって大好きで大切な存在だ。
それは、神将達や春仁様も同様に当てはまる。
梨壺の簀子に座り、高欄に肘をつき頭をのせる。
春仁さまと離れるのは嫌だ。
元々春仁さまと生きる時代が違うのだと思えば納得してしまう。
そんな理由で、自分の気持ちを納得させるほど大人じゃない。
好きな人の傍に触れ合える距離にいたいと思うのは、本音。
だけど同じ様に、家族とサヨナラする覚悟も一族を終わらせる勇気も今の私にもない。
そのまま俯けば、涙があふれた。
だから、当主就任の儀式は苦痛を伴うのだろう。
心の強さを、想いの強さを試されるから。
残ることを選んだとしても、それは逃げではない。
分かってる。
自分の気持ちに素直に従っただけだ。
分かってる。
言葉が溢れる。
知らないようで知っていた祝詞を。
ーーーー伏して願い奉る。
ーーーー穢れを祓いたまえ、地の嘆きを聞き給え。
ーーーー祈りを聞き給え、神の慈悲とその息吹にて地を清め給え。
ふわりふわりと風が巻き起こる。
私の霊力に気づいた神将達が傍までやってきた。
顔を上げれば、春仁様の姿もあった。
笑え。
ーーーー平けし平けし、鎮まり過し給え。
ーーーー伏して請願奉る。
ーーーー神より拝しこの地を、血を、力を
ーーーー愛し給え、許し給え
ぱぁぁぁあんと、柏手を鳴らすと風がさらに強く吹き荒れる。
大好き。愛している。
春仁さまを思いっきり抱きしめると涙はさらに溢れる。
「菊華??」
どこか焦ったような声音の春仁さまを見上げる。
「春仁さま。」
きっと先延ばしにすれば、決心が鈍る。
心のどこかでは知っていた。
決めていた。
自分の時代に戻ると。
好きになっちゃダメな人、愛しちゃダメな人。
だけど、好きになったの。
「・・・・お慕い申し上げております。」
笑え。
頬に両手を添え、少し背伸びをして唇を重ねる。
首に腕を回し、きつく抱きしめる。
別れを惜しむように。
温もりを忘れないように。
「菊華・・・?・・嫌だ!!」
察したように、春仁さまが私を抱き寄せる。
「青龍・・・・・。」
差し出した手に渡されたのは、安倍一族に伝わる小太刀。
私がこの時代にやってきた原因となるモノ。
刃先が触れれば、光が穏やかに揺れる。
「菊華!!!」
「春仁さま。私の本当の名前は‘皐月’と申します。きっと見つけます。私の生きている時代で。貴方を。だから、忘れないで下さい。そしたら、きっと・・・・。」
考えたのだ。
私はこの時代より遥か先の未来から来た。
なら、春仁さまの生まれ変わりが居てもおかしくない。
わずかな望みに私は、願いをかける。
きっと、幸せになれると。
「この時代で、幸せになってください。」
閃光が梨壷に、内裏に行き渡る。
来た時と同じ。
忘れまいと、見えなくなるその瞬間まで春仁さまを見つめていた。
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