陰陽師と結ばれた縁

サクサク

文字の大きさ
73 / 76
終わりと始まり

2

しおりを挟む
目を覚ました日から10日後の秋晴れの日曜日。
父さまと母さまと一緒に私は京都御所へと来ていた。
伯父さまと叔母さまへのご機嫌伺い等名目ではあるが、私の婚約者候補の方との顔合わせがメインの様な気がする。
目が覚めたあと、父様にお願いをして蔵へ入り、蒼月たちと春仁さまの資料が何か残っていないか探した。
見つけ出したのは、春仁さまから私に宛てた手紙。
晴明さま、章平さまからの手紙も一緒に保管してあった。
しかも特定の人物、魂を持った人しか開けることが出来ないように術で細工がしてあった。
そして、この手紙は京都御所にも保管してある状態らしく、春仁さまの魂を持った者しか開くことが出来ないと書いてあった。

「ご無沙汰しております。伯父さま。伯母さまもお元気そうで何よりです。」
「久しぶりね、皐月ちゃん。無事に成人の儀を終えられて私達も嬉しく思います。」
「ありがとうございます。」
「お兄様、私顔合わせも兼ねていると伺っているのだけれど?」
「あぁ、彼の子も病み上がりでね。10日程前に急に頭痛を伴った熱を出して、熱が下がったと思ったら、急に探し物がある!といい出して、侍従と目的のものを探していたのだよ。その侍従に呼びに行かせたからそろそろやってくると思うよ。」

私が回復した日と同じ位に体調を崩されて、探し物がある。
と、内心思いながらも、両親や伯父さまたちがお茶とお茶菓子に口をつけたのを確認して、香りを堪能してゆっくりと口に含む。
うん、美味しい。
美味しいお菓子とお茶を楽しんでいると、殿下がご到着です。
と声がかかった。
茶器を置き、両親共々後ろを振り向く。
生まれて初めて会う婚約者筆頭の方に、酷く動揺してしまった。
やはり、血筋というか系譜というか・・・・。
早くなる鼓動を落ち着かせようと、気付かれないようにゆっくりとした呼吸を繰り返した。
婚約者筆頭候補の第一印象は‘似ている’だった。

「叔父上、叔母上、ご無沙汰しております。」
「ご無沙汰しております、春仁親王殿下。」

名前まで同じ。
織仁さま、春仁さま、敦仁さま、莉仁さま。
宮中行事は基本的に強制参加でない限り、拒絶をしていたので、顔と名前は従兄弟ながら一致はしていなかった。
何より、神将たちが私を邸宅から外へ連れ出すのを非常に嫌がったからだ。
下2人が双子という事しか知らない。
あとはニュース番組で取り上げられた時に、耳にするくらいだ。
それ位母方の親族とは関わらないようにしていた。
何せ当時は、力が最も弱い直系の娘。
という認識だったからだ。
なので、名前と顔が一致して、春仁さまにお会いした私としては少なからず動揺している。

「初めまして、春仁さま。安倍成親の娘、皐月と申します。」
初めまして・・・・・皐月さん。」

にっこりと笑みを浮かべた春仁さまと握手をした。

「すごく、すごく会いたかったよ、菊華・・。」

菊華と呼ばれて、一瞬思考が止まる。
それと同時に、春仁さまに強く抱きしめられた。
私の事を‘菊華’と呼ぶのは、限られている。
あの時代の両陛下、春仁さま、敦成さま、晴明さま、章平さま。
大人たちは、皆驚いた表情をしている。
ただ1人、私の父様を除いて。
さすが当主。察しがいったらしく1人納得している。

「・・・宮さま・・??」
「ふふ。懐かしいね。これを探していたんだ。き・・・皐月さんも見つけたんでしょう?」

見せてくれたのは、春仁さまが私に宛てた手紙と同じ術が施してある和紙。
それが開けたというのであれば、彼は間違いなく、春仁さまの魂の生まれ変わりだ。
でも、なぜ記憶まであるのだろうか?

「皐月、全員に分かるように話そうか。」
「はい。父さま。」

再びふかふかのソファに座った私達は儀式の内容を話せる範囲で話すことにした。
成人の儀式で、晴明さまの時代に行った事、時の春宮殿下の妃(仮)として入内をした事。
自宅の蔵で、私宛の手紙を三通見つけたこと。
春仁さまは、私が帰ったあと、晴明さまと章平さまにお願いをして手紙を残してくれた事。
探される前に探しに行くと決めていた事。
そして、私が生きている時代で私が儀式を終えこの時代に戻ってきた時点で記憶が戻るように術を掛けてもらったことを話してくれた。

「・・・・晴明さまと章平さまならやりかねない・・・・。」

あの2人は私が使っていた術や舞に強く興味を示していた。
話ツィという異分子があの時代に現れたものだから余計に、だ。
でも、私が帰ったあと、私に関わった人たちは記憶がなくなるはずだ。

「当時の父上、母上、藤壺、梨壺、妹たちあと、敦成も記憶をなくしていた。なぜか、私と安倍一族の者だけが覚えていた。だからこうして文も残し術を掛けてもらった。」

特例の何かが起きたのだろうけれど、なんとなく思い当たる節がある私は黙っている事にした。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~

ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。 休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。 啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。 異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。 これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。

ゴミ鑑定だと追放された元研究者、神眼と植物知識で異世界最高の商会を立ち上げます

黒崎隼人
ファンタジー
元植物学の研究者、相川慧(あいかわ けい)が転生して得たのは【素材鑑定】スキル。――しかし、その効果は素材の名前しか分からず「ゴミ鑑定」と蔑まれる日々。所属ギルド「紅蓮の牙」では、ギルドマスターの息子・ダリオに無能と罵られ、ついには濡れ衣を着せられて追放されてしまう。 だが、それは全ての始まりだった! 誰にも理解されなかったゴミスキルは、慧の知識と経験によって【神眼鑑定】へと進化! それは、素材に隠された真の効果や、奇跡の組み合わせ(レシピ)すら見抜く超チートスキルだったのだ! 捨てられていたガラクタ素材から伝説級ポーションを錬金し、瞬く間に大金持ちに! 慕ってくれる仲間と大商会を立ち上げ、追放された男が、今、圧倒的な知識と生産力で成り上がる! 一方、慧を追い出した元ギルドは、偽物の薬草のせいで自滅の道をたどり……? 無能と蔑まれた生産職の、痛快無比なざまぁ&成り上がりファンタジー、ここに開幕!

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

見捨ててくれてありがとうございます。あとはご勝手に。

有賀冬馬
恋愛
「君のような女は俺の格を下げる」――そう言って、侯爵家嫡男の婚約者は、わたしを社交界で公然と捨てた。 選んだのは、華やかで高慢な伯爵令嬢。 涙に暮れるわたしを慰めてくれたのは、王国最強の騎士団副団長だった。 彼に守られ、真実の愛を知ったとき、地味で陰気だったわたしは、もういなかった。 やがて、彼は新妻の悪行によって失脚。復縁を求めて縋りつく元婚約者に、わたしは冷たく告げる。

悪役女王アウラの休日 ~処刑した女王が名君だったかもなんて、もう遅い~

オレンジ方解石
ファンタジー
 恋人に裏切られ、嘘の噂を立てられ、契約も打ち切られた二十七歳の派遣社員、雨井桜子。  世界に絶望した彼女は、むかし読んだ少女漫画『聖なる乙女の祈りの伝説』の悪役女王アウラと魂が入れ替わる。  アウラは二年後に処刑されるキャラ。  桜子は処刑を回避して、今度こそ幸せになろうと奮闘するが、その時は迫りーーーー

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。

潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。

婚約を奪った義妹は王太子妃になりましたが、王子が廃嫡され“廃嫡王子の妻”になりました

鷹 綾
恋愛
「お姉様には、こちらの方がお似合いですわ」 そう言って私の婚約者を奪ったのは、可憐で愛らしい義妹でした。 王子に見初められ、王太子妃となり、誰もが彼女の勝利を疑わなかった――あの日までは。 私は“代わり”の婚約者を押し付けられ、笑いものにされ、社交界の端に追いやられました。 けれど、選ばれなかったことは、終わりではありませんでした。 華やかな王宮。 厳しい王妃許育。 揺らぐ王家の威信。 そして――王子の重大な過ち。 王太子の座は失われ、運命は静かに反転していく。 離縁を望んでも叶わない義妹。 肩書きを失ってなお歩き直す王子。 そして、奪われたはずの私が最後に選び取った人生。 ざまあは、怒鳴り声ではなく、選択の積み重ねで訪れる。 婚約を奪われた姉が、静かに価値を積み上げていく王宮逆転劇。

処理中です...