スキル「奴隷化」をはね返され、ヤンデレなスライムの奴隷になった!

倉持コウスケ

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第26話 ギャルナ

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 夜の海にダッシュで移動した。

 あんまり長い間こいつと一緒にいて、サイコ大福に嫉妬されても面倒だからな。

「さ、早くギャルナってやつを見つけて、消そう!」

「ちょっと、待ってくださいって。ギャルナは思ってるほど簡単ゃないですよ」

 シースヤは戸惑った顔で言う。
 意外に背が高く、165センチはある。すらっとしていて美しい女だ。

「いたいた、あいつじゃないか?」

 月光が照らす砂浜を、小柄な骸骨の群れを連れた、三メートル近いスケルトンが歩いていた。鑑定グラスをかけてみる。


名前:ギャルナ
HP    :8000
攻撃力  :10000
守備力  :9000
魔法攻撃力:9000
魔法防御力:7000
スキル  :水剣Lv9 不死Lv5


「なんだ、あの程度か。魔法反射はない。楽勝だな」

「楽勝!? 頭おかしんじゃないですか? 不死のスキルがあるので、ドラゴン以上です」

 従える。
 あの巨大な骨野郎を俺の配下にする!
 あいつが俺にひざまずくイメージ!

「奴隷化!」

 バカでかいスケルトンのギャルナのもとに、紫色の星のマークが現れた。

 それが光り輝く。

 ギャルナは立ち止った。

「成功した。ギャルナを俺の配下にした」

「なに寝言を言ってるんですか! ギャルナは人になつくようなモンスターじゃないですよ!」

「ギャルナ! そこで三回回って、ひざまずけ」

「ちょっとォォォ! なにやってるんですか! 私は床に落ちたパンのごみ以下ですが、ヌカタさんもそのレベルですよ! って、ええェェェェェッ! ギャルナが三回回ってる! ひざまずいたァァァ!? 夢?」

「現実だよ。おい、ギャルナ、来い」

 ギャルナは俺の前に来て、ペコっと頭を下げた。

「こいつとは仲良くやれそうだな、結構礼儀正しい」

「一体何が起こってるんですか!?」

「シースヤ、落ち着け」

「落ち着いていられるわけないでしょうが! これはとんでもない状況ですよ!」

「いいか、俺には特別な力がある。その力のため、ギャルナを配下にできた」

「ちょ、その力で私を配下にして、好き放題するとか考えてないですよね? いや、しょうがないです! いいですよ!」

「そんなことしないって。俺でも対処できないモンスターの、スキルを封じてほしいんだ」

「私にできるかどうか。スキル封じは、成功率が高いものじゃないんです。失敗するときは失敗します。私は成功率が高い、と言われてはいますが」

「頼む。シースヤしか頼る人がいないんだよ」

「私しか? ありがとうございます、そんな言葉をかけていただいて。でも」

「『でも』は禁止だ。シースヤは、かわいくて、優秀なんだ。自分を卑下するな」

「ありがとうございます。わかりました、ヌカタさんの力になります!」

 シースヤは笑顔で言った。

「なんだ、笑った顔すっごくかわいいじゃないか」

「えっ? そんなこと、ないですよ」

 シースヤは顔を赤らめた。
 まずいまずい、好意を持たれたら困る。大いに困る。

 病んでる女は苦手だし、あのバカスライムが何をしでかすかわからん!

「スキル封じについて聞かせてくれ。モンスターを見れば、すぐできるのか?」

「モンスターによるんですよ。鑑定グラスでは見えない情報を利用します。モンスターには、封じられにくさってものがあって、その度合いによってかわります」

「ギャルナは、封じられにくい?」

「ギャルナも、ドラゴンも、封じられにくいですね」

「封じるのに失敗した場合、相手のモンスターに気づかれるのか?」

「いえ、気づかれないところが、この技の特徴なんです」

 天は俺に味方している!
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