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第27話 解放
しおりを挟むシースヤにこっそりアンズを確認してもらったところ「ものすごい化け物ですね。でも、スキル封じはしやすいモンスターです」と言う。
なんとかできるかもしれない!
俺はアンズの機嫌を取るため、ひたすら優しくして海で遊んでやった。
アンズはずっと人間に化けていた。
色白で目がぱっちりしていて、胸が大きい童顔の女だ。
今日は真っ赤なワンピースを着ている。
「これがヌカタの好みでしょ? 視線を追ってたから、すぐわかったよ」
確かに俺の好みなんだよ! そこが怖いんだよなあ。
だがこの恐怖の日々ももうすぐ終わる。
ナーセとレイアが協力してくれれば、俺の奴隷状態は解除される。スキル封じで魔法反射を封じ込めれば全部解決だ!
俺はアンズと出会った森のそばの町・ユーシャンに戻った。
すぐナーセに連絡し、奴隷状態を解除してくれるよう頼む。
「急いでくれ。頼む! 一分でも早い方がいい!」
「わかりましたよ。じゃあレイアに連絡を取りますから、待っていてください」
「いつ来る? 俺はすぐにでもあのサイコ大福から解放されたいんだ!」
「落ち着いてください。奴隷状態じゃなくなっても、すぐには逃れられないでしょう」
「優秀なスキル封じ師が協力してくれることになった!」
「なるほど。ドラゴンも奴隷にできるのですから、魔法反射を封じられればいけるかもしれませんね」
「頼むぞ! 成功したら、たくさん働いて、いくらでも金は払う!」
「お金には困ってませんから結構です」
茶髪のレイアは、何を遊んでいるのか、翌週になってようやくやってきた。
その間、俺は早く早くと焦りながらも「もうすぐ解放される」という思いから、アンズに、ホトケのように優しくできた。
アンズはすっかり満足して、俺を信頼しきっているように見える。よしよし、いけるぞ。解放はすぐだ!
呪術師ナーセの木造二階建ての奥の部屋に案内される。
二十畳ほどもある広々とした和室だ。
俺と、美女モードのアンズの向かいに、ナーセとレイアが座った。
「目がぱっちりしてて、色白で、すっごくかわいいね」
茶髪の呪術師・レイアが能天気に言う。
バカ女が。きれいに見えても、人を食うんだぞ。
「レイア、ありがとう。アンズは確かに素敵なスライムだよね。俺はアンズと、ちゃんとした関係になりたい。頼むよ」
「わかったよ」
レイアは面倒くさそうに言った。
ナーセが「では、お二方の状態の欄を真っ白にします。よろしいですか?」と質問する。
「はい! お願いします! アンズと、ちゃんとした関係になりたいんです!」
「別に、私は今のままでもいいけどさ、ヌカタがそれを望むならいいよ」
ナーセとレイアは目をつむった。
二人の周りを神聖な魔力が渦巻く。
俺は「奴隷化」ってスキルくらいしか使えないが、二人が優れた魔法の使い手ってことはわかった。
これだけ神聖な魔力を作り出し、それを操ることは簡単じゃないだろう。
ガタガタガタとテーブルや、畳や、家自体が揺れ始めた。
ぴたっとその揺れがとまる。
自分のステータスを確認する。
消えている。
アンズの奴隷という項目はない。
鑑定グラスをかける。
化け物大福のステータスにも、ヌカタの主の文字はない。
「やったー!」
思わず声が出た。
まずい、気をつけろ。
「こ、これでアンズと本当に恋人同士だ! ごめんな、アンズ。こんな面倒なことに巻き込んで!」
「もう、ヌカタは本当にまじめだなあ」
美女モードのアンズが俺をつつく。
いつもなら、めっちゃくちゃ腹が立つが、今日はあまり気にならない。
よかった。
いや、まだだ。
封じ師のシースヤに、アンズの魔法反射を封じてもらい、奴隷化を成功させて、初めて俺は解放される。
「じゃあヌカタ、行こう? おいしいおにぎり屋さんができた、ってこの前言ってたじゃん」
「そうだな。じゃあ、ありがとうございました!」
アンズは「早く早く」と俺をひっぱる。
不思議だ。解放が間近なせいで、本当に腹が立たない。
アンズは人を食うが、童顔な美女モードのときには、人間と同じものを食べる。
「もうモンスターは食べなくてもいいんじゃないの?」
と鮭のおにぎりをほおばるアンズに言う。
「いや、やっぱりモンスターの死骸も食べておきたいんだよね。そうしないと、どうも満足感がないんだよ」
「そっか」
と笑顔で言っておいた。
別にいいさ。どうせもうすぐ、俺の奴隷になるのだから。
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