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第三章 南へ
02 バーナード(1)
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「ここはどこ? どうして僕が研究室の外にいるんだ!?」
一体何があったんだ!?
話がしたいとライオネルが来て、一緒にお茶を飲んだ事まで覚えているが、ここはどう考えても僕の研究室では無い。
「煩いぞ、まだ明け方なんだから騒ぐなよ」
「ウルフ!?」
「大きな声を出していると、声を聞きつけて魔物が寄って来るぞ」
「ええっ??」
「大丈夫だよ、声だけで魔物が来るわけじゃ無い。ウルフもいい加減な事、言っちゃダメだよ」
「ファーレン!」
「嘘では無いだろう? こんなに大声で叫べば、寄ってくる奴だっているさ」
「もう、脅さない」
「バードが知らな過ぎなんだ」
「本当に来ないよね?」
「火を焚いているし、人の匂いを消す薬草もあるから大丈夫だよ」
バーナードは魔物が苦手だった。
魔力を持つ貴族なのだから、魔具を使って魔物を狩るのは当たり前なのだが、どうしても好きになれない。
20歳になると言うのに屋敷の隅に作られた部屋で、色々な魔道具の事ばかり考えていて、特にここ数年は屋敷からも出なくなっていた。
「それでここはどこ? どうして僕がこんな所にいるのさ」
「もうすぐリニュスに着く」
「リニュス? どうしてリニュス? 何故僕が?」
「俺が連れて来たからに決まっているだろう?」
「ウルフが? ちゃんと説明してよ、どうして僕がリニュスに行くんだ」
「俺が南に行くからな、ファーとオル、それにバードも一緒に行く事にした、分かったか?」
「全然分からないよ、どうして僕まで行かなくちゃならないのさ」
「部屋に籠って役に立たない物ばかり作っているからだ」
「僕が作った魔道具達は、ちゃんと使えるものだよ」
「皿洗いや湯沸かしの魔道具か?」
「うん、便利だろ?」
「知らん」
「何が?」
「使った事など無いからな、便利かどうか分からん」
「酷いや、せっかく作ったのに使ってもいないなんて!」
「アレを動かせるくらい魔力を持つ人間が、ウエストリアの屋敷に何人いると思う」
「僕は動かせるよ?」
「あのなぁ、お前が皿を洗う訳ではないだろう」
「そうだけど、、、」
「使用人達が使える物で無いなら、無い方がマシだ。そんな魔道具を俺は屋敷に入れるつもりは無いからな」
「そんなぁ」
「もっと単純な物を考えろ。火を付けるだけ、湯を沸かすだけの誰でも簡単に使える魔道具だ」
「そんな物考えても面白く無いよ」
「なら、お前の嫌いな魔物達が近寄って来ない魔具を作れ」
「魔物を狩る魔具も好きじゃないよ」
「狩る必要は無い。近づかないようになればいい」
「そんな魔具は無いだろう?」
「当たり前だ、無いから考えろと言っている」
「そんな魔具を作ってどうするのさ」
「あれば便利だぞ」
「そうかなぁ」
「お前だって、夜、魔物が近くに来ない方がいいだろう?」
「家の中にいれば大丈夫じゃないか」
「お前、少し外で寝てみろ」
ウルフレッドに話をしても埒があかないので、ファーレンに話かける。
「外で寝ている農民達なんて、ウエストリアにはいないだろ?」
「そうだね、ウルフは最近王都に行っているみたいだから、、、」
「それこそ必要無いじゃないか、王都にまで現れる魔物なんていないだろう?」
熟れたポロやネロの実でもあればその匂いに釣られて昼間でも寄ってくる魔物もいるが、暗くなっても篝火があれば余程の場所に行かない限り、魔物に襲われる事は無いと聞いている。
バーナードは、新しい物を作るが好きだった。
新しいもの、思いも付かないもの、それらを考えるのが好きなのに、篝火の代わりになる魔道具が欲しいなんて意味が分からない。
一体何があったんだ!?
話がしたいとライオネルが来て、一緒にお茶を飲んだ事まで覚えているが、ここはどう考えても僕の研究室では無い。
「煩いぞ、まだ明け方なんだから騒ぐなよ」
「ウルフ!?」
「大きな声を出していると、声を聞きつけて魔物が寄って来るぞ」
「ええっ??」
「大丈夫だよ、声だけで魔物が来るわけじゃ無い。ウルフもいい加減な事、言っちゃダメだよ」
「ファーレン!」
「嘘では無いだろう? こんなに大声で叫べば、寄ってくる奴だっているさ」
「もう、脅さない」
「バードが知らな過ぎなんだ」
「本当に来ないよね?」
「火を焚いているし、人の匂いを消す薬草もあるから大丈夫だよ」
バーナードは魔物が苦手だった。
魔力を持つ貴族なのだから、魔具を使って魔物を狩るのは当たり前なのだが、どうしても好きになれない。
20歳になると言うのに屋敷の隅に作られた部屋で、色々な魔道具の事ばかり考えていて、特にここ数年は屋敷からも出なくなっていた。
「それでここはどこ? どうして僕がこんな所にいるのさ」
「もうすぐリニュスに着く」
「リニュス? どうしてリニュス? 何故僕が?」
「俺が連れて来たからに決まっているだろう?」
「ウルフが? ちゃんと説明してよ、どうして僕がリニュスに行くんだ」
「俺が南に行くからな、ファーとオル、それにバードも一緒に行く事にした、分かったか?」
「全然分からないよ、どうして僕まで行かなくちゃならないのさ」
「部屋に籠って役に立たない物ばかり作っているからだ」
「僕が作った魔道具達は、ちゃんと使えるものだよ」
「皿洗いや湯沸かしの魔道具か?」
「うん、便利だろ?」
「知らん」
「何が?」
「使った事など無いからな、便利かどうか分からん」
「酷いや、せっかく作ったのに使ってもいないなんて!」
「アレを動かせるくらい魔力を持つ人間が、ウエストリアの屋敷に何人いると思う」
「僕は動かせるよ?」
「あのなぁ、お前が皿を洗う訳ではないだろう」
「そうだけど、、、」
「使用人達が使える物で無いなら、無い方がマシだ。そんな魔道具を俺は屋敷に入れるつもりは無いからな」
「そんなぁ」
「もっと単純な物を考えろ。火を付けるだけ、湯を沸かすだけの誰でも簡単に使える魔道具だ」
「そんな物考えても面白く無いよ」
「なら、お前の嫌いな魔物達が近寄って来ない魔具を作れ」
「魔物を狩る魔具も好きじゃないよ」
「狩る必要は無い。近づかないようになればいい」
「そんな魔具は無いだろう?」
「当たり前だ、無いから考えろと言っている」
「そんな魔具を作ってどうするのさ」
「あれば便利だぞ」
「そうかなぁ」
「お前だって、夜、魔物が近くに来ない方がいいだろう?」
「家の中にいれば大丈夫じゃないか」
「お前、少し外で寝てみろ」
ウルフレッドに話をしても埒があかないので、ファーレンに話かける。
「外で寝ている農民達なんて、ウエストリアにはいないだろ?」
「そうだね、ウルフは最近王都に行っているみたいだから、、、」
「それこそ必要無いじゃないか、王都にまで現れる魔物なんていないだろう?」
熟れたポロやネロの実でもあればその匂いに釣られて昼間でも寄ってくる魔物もいるが、暗くなっても篝火があれば余程の場所に行かない限り、魔物に襲われる事は無いと聞いている。
バーナードは、新しい物を作るが好きだった。
新しいもの、思いも付かないもの、それらを考えるのが好きなのに、篝火の代わりになる魔道具が欲しいなんて意味が分からない。
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