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第三章 南へ
05 出会い
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ウルフレッドと始めて会ったのは、7歳の頃だった。
その日ウエストリア屋敷では、5歳になる緋色の瞳を持った少年のお披露目が行われていた。
領主であるルベス様も、先代の領主であったテリス様も緋色の瞳を持っていなかった。
次期領主と言われているセリス様も同様で、ウエストリアの緋色と呼ばれる瞳を持って生まれた彼を、ウエストリアの貴族達はみな歓迎していた。
緋色の瞳は、西方辺境伯にとって無くてはならないもので、百年近くその誕生が無かった為に、王都ではウエストリア家に辺境伯の資格が無いのではと言う者さえ現れていた。
領主であるルベス様が、アッタリアを何度か退けていなければ、ウエストリア領が分割され、他の貴族に領主が変わっていたかもしれない。
領民と同様、貴族も領主と約定を結んでいる。
ウエストリア家との約定に不満が無ければ、領主が変わる事を望む者はいないが、領主の交代により、理を得られると考えればそれを望む者もいる。
緋色の瞳を持った彼が、どの位の魔力を持ちどの様な人間なのか、多くの思惑と共に人々は集まっていた。
ウエストリア中の貴族が集まったその場に、子どもと呼べるのは、お披露目される少年といずれ彼のリグになる森の落とし子、そして年も近く剣の相手として考えられていたファーレンの三人だけだった。
その為、ファーレンは彼がどんな剣を使うのだろうと、少し離れた所から大人達とは違う興味を持って、彼を目で追っていた。
それは一つのゲームを見ているようだった。
盤上は、屋敷。
駒は、多くの貴族達。
ゲームが開始された時、貴族達は彼に対する期待に溢れていた。
その中を誰に意識されること無く移動し、彼らと言葉を交わし、たわいもない姿を見せる事で、貴族達の中にあった大きな期待は多少の落胆と共に消え、緋色の瞳を持っていても、彼は5歳の少年でしか無く、それ以上でも、それ以下でも無いのだと思わせられている。
そうして貴族達の期待を、まるでゲームの駒を裏返して行くように少しずつ変えて行く作業を、確実に一つ一つ続ける彼はとても楽しそうだった。
ゲームが終わった頃、彼がファーレンに近づいて話しかける。
「お前、ローエンの親父に余計な事を言うなよ」
「どうして?」
「面白くない」
面白くないとはどう言う事なんだろう?
家督争いに巻き込まれるのが面倒だと言う意味なら多少理解できるが、今までゲームを楽しんでいた様に、彼はそれさえも楽しむのではないだろうか?
彼の言葉の意味が理解できず言葉を返す。
「、、、嘘をつくのは嫌だな」
「なら、何か聞かれたら『よく分からなかった』と答えればいい」
「よく分からなかった?」
「嘘では無いだろう?」
「そうだね、それは確かに嘘では無い」
彼が何を考えているのかは、確かに今でもよく分からない。
バーナードとは違うが、彼の頭の中には、自分とは違う何かが見えていて、それによって彼は動く。
「どうして僕には見せたの?」
彼がやっている事にファーレンが気付いている事を、彼は知っていたはずだった。
「今日は、兄上がいたからな、オルが兄上とお前の両方に気が回らなかった」
「かれ、この屋敷の中にいる人の位置を全て把握していたの?」
「当たり前だろ?」
「僕は彼を知らないから」
「なら知っておけ、オルがいれば俺の望まない相手は、誰も俺に近づけない」
「分かった」
「、、、お前、変わっているな」
「そうかな?」
「理由を聞かないのか?」
「それには余り興味は無いよ、、、でも君がどんな剣を使うかは興味がある」
ファーレンは、政治にどうも興味が持てない。
相手の腹の中を探りあい、自分が優位になるように立ち回るなど、自分に出来るとは思えない。
それに相手がどう言った人間かは剣を合わせた方が分かるのだから、その方が簡単で分かりやすく、自分にも合っている。
呆れられるかと思ったが、それを聞いて彼がとても楽しそうに笑って答える。
「後二年、待っていろよ」
「二年?」
「今やっても俺はお前の相手にはならん」
「ふ~ん、なら二年後に」
「そうだな、二年後に」
そしてその約束から二年後、彼とはローエングルグの馬屋で再会する事になった。
その日ウエストリア屋敷では、5歳になる緋色の瞳を持った少年のお披露目が行われていた。
領主であるルベス様も、先代の領主であったテリス様も緋色の瞳を持っていなかった。
次期領主と言われているセリス様も同様で、ウエストリアの緋色と呼ばれる瞳を持って生まれた彼を、ウエストリアの貴族達はみな歓迎していた。
緋色の瞳は、西方辺境伯にとって無くてはならないもので、百年近くその誕生が無かった為に、王都ではウエストリア家に辺境伯の資格が無いのではと言う者さえ現れていた。
領主であるルベス様が、アッタリアを何度か退けていなければ、ウエストリア領が分割され、他の貴族に領主が変わっていたかもしれない。
領民と同様、貴族も領主と約定を結んでいる。
ウエストリア家との約定に不満が無ければ、領主が変わる事を望む者はいないが、領主の交代により、理を得られると考えればそれを望む者もいる。
緋色の瞳を持った彼が、どの位の魔力を持ちどの様な人間なのか、多くの思惑と共に人々は集まっていた。
ウエストリア中の貴族が集まったその場に、子どもと呼べるのは、お披露目される少年といずれ彼のリグになる森の落とし子、そして年も近く剣の相手として考えられていたファーレンの三人だけだった。
その為、ファーレンは彼がどんな剣を使うのだろうと、少し離れた所から大人達とは違う興味を持って、彼を目で追っていた。
それは一つのゲームを見ているようだった。
盤上は、屋敷。
駒は、多くの貴族達。
ゲームが開始された時、貴族達は彼に対する期待に溢れていた。
その中を誰に意識されること無く移動し、彼らと言葉を交わし、たわいもない姿を見せる事で、貴族達の中にあった大きな期待は多少の落胆と共に消え、緋色の瞳を持っていても、彼は5歳の少年でしか無く、それ以上でも、それ以下でも無いのだと思わせられている。
そうして貴族達の期待を、まるでゲームの駒を裏返して行くように少しずつ変えて行く作業を、確実に一つ一つ続ける彼はとても楽しそうだった。
ゲームが終わった頃、彼がファーレンに近づいて話しかける。
「お前、ローエンの親父に余計な事を言うなよ」
「どうして?」
「面白くない」
面白くないとはどう言う事なんだろう?
家督争いに巻き込まれるのが面倒だと言う意味なら多少理解できるが、今までゲームを楽しんでいた様に、彼はそれさえも楽しむのではないだろうか?
彼の言葉の意味が理解できず言葉を返す。
「、、、嘘をつくのは嫌だな」
「なら、何か聞かれたら『よく分からなかった』と答えればいい」
「よく分からなかった?」
「嘘では無いだろう?」
「そうだね、それは確かに嘘では無い」
彼が何を考えているのかは、確かに今でもよく分からない。
バーナードとは違うが、彼の頭の中には、自分とは違う何かが見えていて、それによって彼は動く。
「どうして僕には見せたの?」
彼がやっている事にファーレンが気付いている事を、彼は知っていたはずだった。
「今日は、兄上がいたからな、オルが兄上とお前の両方に気が回らなかった」
「かれ、この屋敷の中にいる人の位置を全て把握していたの?」
「当たり前だろ?」
「僕は彼を知らないから」
「なら知っておけ、オルがいれば俺の望まない相手は、誰も俺に近づけない」
「分かった」
「、、、お前、変わっているな」
「そうかな?」
「理由を聞かないのか?」
「それには余り興味は無いよ、、、でも君がどんな剣を使うかは興味がある」
ファーレンは、政治にどうも興味が持てない。
相手の腹の中を探りあい、自分が優位になるように立ち回るなど、自分に出来るとは思えない。
それに相手がどう言った人間かは剣を合わせた方が分かるのだから、その方が簡単で分かりやすく、自分にも合っている。
呆れられるかと思ったが、それを聞いて彼がとても楽しそうに笑って答える。
「後二年、待っていろよ」
「二年?」
「今やっても俺はお前の相手にはならん」
「ふ~ん、なら二年後に」
「そうだな、二年後に」
そしてその約束から二年後、彼とはローエングルグの馬屋で再会する事になった。
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