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第三章 南へ
10 魔力
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サウストリアでは、船を動かすために沢山の人を必要とする。
“風使い”や“波使い”と呼ばれる騎士がいるので、大きな船を人力だけで動かす訳ではないが、“使い手”だけでは船は動かない。
サウストリアは、海に添って街がいくつもあったので、何度か船に乗って移動する間に、すっかりバーナードは船に夢中になっていた。
「バード、そんなに船の設計図を書いてどうするつもりなんだ!?」
「ウエストリアに船があってもいいだろ?」
「造船なんて出来る訳がないだろ?」
ウエストリア領には、船を使って移動するような場所がほとんど無いので、今まで造られてもいないし、船を造るような場所も無い。
一応、海に面した場所はあるが、人が住んでいるのはメートリア辺りまでで、それもサウストリアの船が警備を請け負っているからで、メートリアから西にあるラビトアやアンカラ島などは魔物が多くて、人が住める様な場所ではない。
「あったら楽しいと思うんだけど、、、」
「船があっても動かす事が出来ないだろ?」
ウエストリアのラングロア家は、優れた“風使い”の家だが、“風使い”だけで船が動かせる訳ではない。
「海の上は無理でも、湖の上なら大丈夫じゃないかな」
「ウルフが湖の上に船を浮かべて喜ぶと思う?」
「モロ湖に真っ白な船があったら、いいと思わない?」
「それ、絶対認めないと思うよ?」
「モロ湖には魔物がいないし、とっても綺麗だ。客船があったら沢山の人が楽しめるのに、、、」
バーナードは、ここ数年、干ばつで作物の出来が良く無かった事を知らない。
やっと農作業が安定し始めたばかりの人々に、船旅を楽しめる余裕があるとは思えない。
「バード、いきなり船を造るなんて無理だよ、ノーブルにあった造船所を見ただろう?」
「そうなんだよなぁ、確かにあれだけの設備を揃えて貰うのは無理かなぁ」
サウストリアのランドトリア島にあるノーブルの街は、島の入り江を利用した造船の街で、サウストリア領内の船は全てこの街で造られていた。
「それに“守りの魔道具”を作って欲しいって言われていただろ?」
「それも考えてみたんだけどさ、要するに決められた範囲を守ればいいんだろ? なら、真ん中に核になる魔道具を置いて、その周りに、、、」
バーナードが別の設計図を持ち出して説明を始める。
机の上には、船や魔道具の設計図が積み上げられていくが、こういった事が苦手なファーレンにはさっぱり理解出来ない。
「範囲の魔具は、作るのが難しいだろ?」
通常、魔物を相手にした場合、剣や斧、弓など武器の形をした魔具に魔力を込めて使う。
武具に似せた方が使い易いからで、武具では無い範囲攻撃する魔具を使用している人はあまり見ない。
「作るのは難しくないよ、“風使い”や“波使い“が使っているだろ?」
「あぁ、そうか」
「魔力は“力”だからね、魔物を狩るためだけにある訳じゃない」
「“魔物狩り”で使われないのはどうしてなんだ?」
「そうだなぁ、自分の周りに炎や風の壁を作ったりするにはイメージが必要だからね」
「イメージ?」
「そう、どの位の魔力をどんな風に使うか、炎を使うにしても風を起こすにしても、その使い方を自分で決めないといけない。やり過ぎれば味方を傷つけるし、自分の魔力も枯渇するから加減も難しいだろ?」
「僕は剣以外に使った事が無いからなぁ」
「ファーみたいに魔力を剣に込めるのは単純で分かりやすい」
「そうだな」
「炎刃を飛ばすと言っても、あくまで剣の延長上でしか無いし、、、」
「誉められている気がしないなぁ」
「そんなつもりは無いよ、違いを話しているだけなんだ。形が無いものは想像するのが難しいって話さ」
「なるほどな」
「サウストリアの船を動かす場合も単純だったよね、船が真っ直ぐ進む時は、“風使い”が風を操って船の航行を助けて、進路を変える場合は、漕ぎ手が対応する。口で言う程簡単では無いけど、上手い魔力の使い方だと思うよ」
「なら、上手くイメージ出来れば、“風使い”や“波使い”だけでも船がうごかせるのか?」
「理論的にはね。只、魔力の量とかも関係するから、それ程単純な話では無いけどね」
バーナードは魔力や魔道具の話では饒舌になる。
「ウルフか使ってる火炎はどうなってるんだ? 弓矢の変形だと思っていたけど、、、」
「火矢の変形だと思うよ。違うのは、弓矢は目標を決めて射るけど、ウルフの火炎は放った後で対象を決めている所だろうね」
「数を変えているのも火炎だからなのか?」
「それは使う方の力量だから、火矢でも出来ると思うよ」
「武術大会などで、炎矢や水の形を変えているの人を見かけるけど、、、あれもイメージなのか?」
「そうそう、魔物に対しては意味が無いけど、人の場合は見た目も大切だからね」
「ウルフの火炎でも?」
「もちろん出来るさ」
「へぇ、ちょっと見てみたいな」
「ウルフはしないよ、火炎を分割するときも凄く効率的なんだ」
「効率的?」
「等倍に増えるんだよ、1、2、4、8、16、32、64、、、って具合にね、一度に分割した方が早いように思えるけど、実はこっちの方がずっと効率がいい」
「ウルフらしいな」
「うん、ウルフは視野も広いしイメージするのが上手いからね、相手との距離や数はオルグに全振りで、確実な方法を選んでる。彼が炎の形を変えたりするとは思えないね」
“風使い”や“波使い”と呼ばれる騎士がいるので、大きな船を人力だけで動かす訳ではないが、“使い手”だけでは船は動かない。
サウストリアは、海に添って街がいくつもあったので、何度か船に乗って移動する間に、すっかりバーナードは船に夢中になっていた。
「バード、そんなに船の設計図を書いてどうするつもりなんだ!?」
「ウエストリアに船があってもいいだろ?」
「造船なんて出来る訳がないだろ?」
ウエストリア領には、船を使って移動するような場所がほとんど無いので、今まで造られてもいないし、船を造るような場所も無い。
一応、海に面した場所はあるが、人が住んでいるのはメートリア辺りまでで、それもサウストリアの船が警備を請け負っているからで、メートリアから西にあるラビトアやアンカラ島などは魔物が多くて、人が住める様な場所ではない。
「あったら楽しいと思うんだけど、、、」
「船があっても動かす事が出来ないだろ?」
ウエストリアのラングロア家は、優れた“風使い”の家だが、“風使い”だけで船が動かせる訳ではない。
「海の上は無理でも、湖の上なら大丈夫じゃないかな」
「ウルフが湖の上に船を浮かべて喜ぶと思う?」
「モロ湖に真っ白な船があったら、いいと思わない?」
「それ、絶対認めないと思うよ?」
「モロ湖には魔物がいないし、とっても綺麗だ。客船があったら沢山の人が楽しめるのに、、、」
バーナードは、ここ数年、干ばつで作物の出来が良く無かった事を知らない。
やっと農作業が安定し始めたばかりの人々に、船旅を楽しめる余裕があるとは思えない。
「バード、いきなり船を造るなんて無理だよ、ノーブルにあった造船所を見ただろう?」
「そうなんだよなぁ、確かにあれだけの設備を揃えて貰うのは無理かなぁ」
サウストリアのランドトリア島にあるノーブルの街は、島の入り江を利用した造船の街で、サウストリア領内の船は全てこの街で造られていた。
「それに“守りの魔道具”を作って欲しいって言われていただろ?」
「それも考えてみたんだけどさ、要するに決められた範囲を守ればいいんだろ? なら、真ん中に核になる魔道具を置いて、その周りに、、、」
バーナードが別の設計図を持ち出して説明を始める。
机の上には、船や魔道具の設計図が積み上げられていくが、こういった事が苦手なファーレンにはさっぱり理解出来ない。
「範囲の魔具は、作るのが難しいだろ?」
通常、魔物を相手にした場合、剣や斧、弓など武器の形をした魔具に魔力を込めて使う。
武具に似せた方が使い易いからで、武具では無い範囲攻撃する魔具を使用している人はあまり見ない。
「作るのは難しくないよ、“風使い”や“波使い“が使っているだろ?」
「あぁ、そうか」
「魔力は“力”だからね、魔物を狩るためだけにある訳じゃない」
「“魔物狩り”で使われないのはどうしてなんだ?」
「そうだなぁ、自分の周りに炎や風の壁を作ったりするにはイメージが必要だからね」
「イメージ?」
「そう、どの位の魔力をどんな風に使うか、炎を使うにしても風を起こすにしても、その使い方を自分で決めないといけない。やり過ぎれば味方を傷つけるし、自分の魔力も枯渇するから加減も難しいだろ?」
「僕は剣以外に使った事が無いからなぁ」
「ファーみたいに魔力を剣に込めるのは単純で分かりやすい」
「そうだな」
「炎刃を飛ばすと言っても、あくまで剣の延長上でしか無いし、、、」
「誉められている気がしないなぁ」
「そんなつもりは無いよ、違いを話しているだけなんだ。形が無いものは想像するのが難しいって話さ」
「なるほどな」
「サウストリアの船を動かす場合も単純だったよね、船が真っ直ぐ進む時は、“風使い”が風を操って船の航行を助けて、進路を変える場合は、漕ぎ手が対応する。口で言う程簡単では無いけど、上手い魔力の使い方だと思うよ」
「なら、上手くイメージ出来れば、“風使い”や“波使い”だけでも船がうごかせるのか?」
「理論的にはね。只、魔力の量とかも関係するから、それ程単純な話では無いけどね」
バーナードは魔力や魔道具の話では饒舌になる。
「ウルフか使ってる火炎はどうなってるんだ? 弓矢の変形だと思っていたけど、、、」
「火矢の変形だと思うよ。違うのは、弓矢は目標を決めて射るけど、ウルフの火炎は放った後で対象を決めている所だろうね」
「数を変えているのも火炎だからなのか?」
「それは使う方の力量だから、火矢でも出来ると思うよ」
「武術大会などで、炎矢や水の形を変えているの人を見かけるけど、、、あれもイメージなのか?」
「そうそう、魔物に対しては意味が無いけど、人の場合は見た目も大切だからね」
「ウルフの火炎でも?」
「もちろん出来るさ」
「へぇ、ちょっと見てみたいな」
「ウルフはしないよ、火炎を分割するときも凄く効率的なんだ」
「効率的?」
「等倍に増えるんだよ、1、2、4、8、16、32、64、、、って具合にね、一度に分割した方が早いように思えるけど、実はこっちの方がずっと効率がいい」
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