エルメニア物語 - 黄金の狼は退屈な日常を満喫する -

小豆こまめ

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第三章  南へ

11 船

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「ちょっと待てよ、魔具を使うために人のイメージが必要なら、守りの魔具を使ってどうイメージするんだ?」
「道具の場合は、、、目標かな?」
「目標?」

「中心を決めて、その周りを点で結ぶ。範囲や強さを最初から決めて置けばいいと思うんだよね。
 移動する場合には使えないけど、固定された場所なら難しく無いと思うんだ」
「へぇ、よく分からないけど凄いな」

「これも理論的な話だからね、魔具を作って、何度も実験しないと使える形になるか分からないよ」
「いや、やっぱりバードは凄いよ」
「これが出来たらウルフは船を作らせてくれるかなぁ、モロ湖をゆっくり進む漕ぎ手を必要としない船、、、いいと思わない?」

 バーナードは、ウルフレッドに言われていた魔具より、どうやら始めて乗った船に夢中だ。
 “守りの魔具”は、今まであった魔具の使い方を変えれば出来そうなので、余り興味を惹かれないらしい。

「バード、火をつけたり、水を温める魔道具も作れるの?」
「そんなの簡単だと思うけど、誰か使うのさ」
「ウルフが欲しいって」

「ウルフは炎の使い手なんだから、魔道具なんていらないと思うけど、、、」
「彼が魔力を使ったら、水が蒸発しちゃうだろ?」

 ウルフレッドは魔力が強すぎて、魔具にしても力を抑える様に作られている。

「加減の問題だと思うけど、、、そういう所、確かにウルフは面倒だって思いそうだなぁ」
「その辺りを道具で調整して欲しいんだと思うよ」

 それに使用人もお湯より水を用意する方がずっと楽になるのは確かだ。

「あぁ、そうか、、、ね、それ作ったら船を造ってもいいと思う?」
「船に興味を持つのはいいけど、、、もう少し現実的な物にしないと」

「現実的?」
「そうだなぁ、、、湖に浮かぶ船には興味を持たなくても、トレ川を行き来する舟なら興味を持ちそうじゃないか?」

「川を舟で移動してどうするのさ」
「陸を移動するより早いし、、、荷物を運ぶ事が出来れば効率もいい」
「確かにウルフが好きそうだ」

「そうだよ、まず使えるものを作らないと」
「湖の客船も使えるのに、、、」

「使用人の仕事が減って、荷運びが楽になれば客船を楽しみたい人達が増えるよ、バードだって貴族達だけの船を作りたい訳では無いだろ?」
「そりゃ、そうさ」
「なら、まず人が使いたいと思うものを作らないと」

「使いたい?」
「誰でも、簡単に使える魔道具。そんな魔道具があれは、沢山の人が使いたいと思ってくれるだろ?」
「そうか、、、使いたくなるような道具かぁ」

「そうそう、上手くいけば舟だって造れるかも知れないよ?」
「でもなぁ、川を下る舟は、海で使う船と全く違うものになるからなぁ」
「ウルフが気に入ったら、今度はバードの好きな船も造らせてくれるかも知れないじゃないか」

 バーナードの思考を現実に引き戻す。

 魔道具を考え試作するには費用や材料それに人手が必要で、いくらバーナードのカストリア家でもそれらを全て負担する事は難しい。

 だがウエストリア家が認めれば、それに関わる全ては保障されていると考えていい。
 彼はそう言った事を惜しまないし、今まで何人もの人がその恩恵を受けているのは良く知っている。

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