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第四章 ミリオネア
01 出会い
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「なぁ、俺の持ってる銀貨とエルメニア銀貨を交換しないか?」
「交換?」
ロートアの街中を歩いていると物売りらしい少年が話しかけると、見かけない銀貨をウルフレッドの手の平に何枚か乗せる
「これは?」
「古い銀貨だと思うんだ」
「ふ~ん」
「エルメニア銀貨と交換して欲しいんだ」
「なぜ交換する必要がある。古くても銀貨ならちゃんと使える、お前が使えばいいだろう」
「今の銀貨とは模様も大きさも違うだろ、だからダメなんだよ、“1”って書いてあるから“1銀貨”だと思うんだけど、、、俺じゃぁ信用して貰えないんだ」
「俺なら使えるって言うのか?」
「あんた貴族なんだろ? だから大丈夫かと思ってさ。重さも確認したけど、ちょっとこっちの銀貨の方が大きい分重いけど、、、問題無いだろ?」
エルメニアの硬貨は、金、銀、銅の三種類があり、単位によって大きさと重さ、それに含まれる銅や銀、そして金の純度が決められている。
許可され得ていれば、領地で作ったものでもエルメニア国内なら使用する事も可能なので、稀に模様の違う硬貨が流通する場合があった。
「一枚なら交換してもいいぞ」
「一枚だけ?」
「使えるか分からないだろう?」
「それもそうだな、、、分かった」
少年に渡された銀貨の中から、比較的綺麗な物を選んで残りを返し、エルメニアの銀貨を一枚渡す。
「ありがとう!」
礼を言って少年が離れて行くと、隣で聞いていたオルグが呆れた声で尋ねる。
「良かったの?」
「ん?」
「帝国の銀貨だろ、難波した船の物だと思うし、確かに少し古い物かも知れないけど、、、」
「ガネイ銀貨だな」
「最悪だ、ガネイなら純度が低いから、鋳造し直しても三分の一以下の価値にしかならない」
ガネイ銀貨は、帝国で流通した銀貨の中でも、一番質が悪いと言われている銀貨だ。
「そうだな、だが本物のガネイ銀貨は始めて見た、、、、、、話には聞いていたが確かに模様は綺麗だな」
「質の悪さをそれで誤魔化していた銀貨だからね」
六十年~七十年前に作られたガネイ銀貨は、トルネラ銀貨に白銅を混ぜて鋳造し直したもので、銀貨としての価値は、帝国でも四分の一くらいしかならない。
帝国では見つかると回収されているので、今ではほとんど街中で手にする事は無い。
だが白銅を混ぜた為に重くなり、それを誤魔化す為に凝った模様が入れられたらしく、表面には皇帝を表す龍が、裏面には"ニテリラ"に良く似た花の模様が刻印されていて美しい。
「どうして交換したの?」
「銀貨として使うつもりは無い、模様が気に入った」
「それなら良いけど、、、それよりこれ、何時まで続けるつもりなの?」
ウルフレッドは、ロートアの港街に戻ってから、服装を整えて街中を歩き回る様になっていた。
相変わらず瞳を隠す様に布を巻いているため、目の不自由な貴族の少年が、同じような年頃のリグと二人でウロウロしているように見られ、色々な物売りに声をかけられる。
ウルフレッドも面白がって声をかけられる度に話を聞いたり、物を買ったりするので、物売り達には良い“カモ”だと思われているのか、今日は自分達より年下の子どもにまで妙な事を頼まれている。
「なんだ、もう周りに気を回さなくても平気だろ?」
オルグは地の魔力に長けていた。
だが人並み以上の力を持っている為に、その力をコントロールする事が難しく、どうしても意識が追いついていないため無口になる事が多かったが、それも今では問題無くなっていた。
「それは平気だけど、、、人の視線は煩いよね」
「相変わらず嫌いなのか」
「僕はね、どうも落ち着かない」
「もう少し我慢しろよ、これだけミリオネアに行きたいと言っていればそろそろ声もかかるさ」
「乗る船は決めているだろ?」
「俺達から言い出すより、向こうから話を振られた方がいいだろ?」
「そうだけど、、、別に費用に困っている訳でも無いのに、、、」
「そう言うな、しばらく息抜きだ」
帝国での半年は、あまり気持ちの良い時間では無かった。
トラストニア大陸の七割を支配している帝国の圧政の中、人々の生活は決して良いと言えるものでは無かった。
貧富の差は激しく、おまけに奴隷制度まであるので嫌悪しか感じない。
帝国にいる間、ウルフレッドは誰とも関わろうとせず、ただ国の状況だけを見ることだけに専念した。
それがどれだけ辛い事でも、人と関われば縁が生まれるので離れる事が難しくなる。
だがそれは彼に許される事では無いし、本来の目的から逸脱する事になる。
魔力の事やエルメニアの状況を知られれば、帝国がエルメニアに興味を持たないとも限らない。
大海と呼ばれる海に魔物が生息しているので、今まで帝国が海を渡ってきた事は無いが、これからも起こらないとは限らない。
辺境の領主が、エルメニア以外の国の事を知る必要があるのは、自分達の国を守る為であって、危険にさらす為では無い。
結局、帝国国内の内乱が酷くなったので、隣国サルストールに渡りエルメニアに戻った。
それ以来、ウルフレッドはロートアの港街をウロウロしては楽しんでいる。
彼は人の中にいる事を楽しんでいるが、自分はどうも落ち着かないのでそろそろ止めて欲しい。
だいたい瞳を隠しても別に困る訳ではないのに、オルグと一緒にいるために余計な注目まで集めている。
「交換?」
ロートアの街中を歩いていると物売りらしい少年が話しかけると、見かけない銀貨をウルフレッドの手の平に何枚か乗せる
「これは?」
「古い銀貨だと思うんだ」
「ふ~ん」
「エルメニア銀貨と交換して欲しいんだ」
「なぜ交換する必要がある。古くても銀貨ならちゃんと使える、お前が使えばいいだろう」
「今の銀貨とは模様も大きさも違うだろ、だからダメなんだよ、“1”って書いてあるから“1銀貨”だと思うんだけど、、、俺じゃぁ信用して貰えないんだ」
「俺なら使えるって言うのか?」
「あんた貴族なんだろ? だから大丈夫かと思ってさ。重さも確認したけど、ちょっとこっちの銀貨の方が大きい分重いけど、、、問題無いだろ?」
エルメニアの硬貨は、金、銀、銅の三種類があり、単位によって大きさと重さ、それに含まれる銅や銀、そして金の純度が決められている。
許可され得ていれば、領地で作ったものでもエルメニア国内なら使用する事も可能なので、稀に模様の違う硬貨が流通する場合があった。
「一枚なら交換してもいいぞ」
「一枚だけ?」
「使えるか分からないだろう?」
「それもそうだな、、、分かった」
少年に渡された銀貨の中から、比較的綺麗な物を選んで残りを返し、エルメニアの銀貨を一枚渡す。
「ありがとう!」
礼を言って少年が離れて行くと、隣で聞いていたオルグが呆れた声で尋ねる。
「良かったの?」
「ん?」
「帝国の銀貨だろ、難波した船の物だと思うし、確かに少し古い物かも知れないけど、、、」
「ガネイ銀貨だな」
「最悪だ、ガネイなら純度が低いから、鋳造し直しても三分の一以下の価値にしかならない」
ガネイ銀貨は、帝国で流通した銀貨の中でも、一番質が悪いと言われている銀貨だ。
「そうだな、だが本物のガネイ銀貨は始めて見た、、、、、、話には聞いていたが確かに模様は綺麗だな」
「質の悪さをそれで誤魔化していた銀貨だからね」
六十年~七十年前に作られたガネイ銀貨は、トルネラ銀貨に白銅を混ぜて鋳造し直したもので、銀貨としての価値は、帝国でも四分の一くらいしかならない。
帝国では見つかると回収されているので、今ではほとんど街中で手にする事は無い。
だが白銅を混ぜた為に重くなり、それを誤魔化す為に凝った模様が入れられたらしく、表面には皇帝を表す龍が、裏面には"ニテリラ"に良く似た花の模様が刻印されていて美しい。
「どうして交換したの?」
「銀貨として使うつもりは無い、模様が気に入った」
「それなら良いけど、、、それよりこれ、何時まで続けるつもりなの?」
ウルフレッドは、ロートアの港街に戻ってから、服装を整えて街中を歩き回る様になっていた。
相変わらず瞳を隠す様に布を巻いているため、目の不自由な貴族の少年が、同じような年頃のリグと二人でウロウロしているように見られ、色々な物売りに声をかけられる。
ウルフレッドも面白がって声をかけられる度に話を聞いたり、物を買ったりするので、物売り達には良い“カモ”だと思われているのか、今日は自分達より年下の子どもにまで妙な事を頼まれている。
「なんだ、もう周りに気を回さなくても平気だろ?」
オルグは地の魔力に長けていた。
だが人並み以上の力を持っている為に、その力をコントロールする事が難しく、どうしても意識が追いついていないため無口になる事が多かったが、それも今では問題無くなっていた。
「それは平気だけど、、、人の視線は煩いよね」
「相変わらず嫌いなのか」
「僕はね、どうも落ち着かない」
「もう少し我慢しろよ、これだけミリオネアに行きたいと言っていればそろそろ声もかかるさ」
「乗る船は決めているだろ?」
「俺達から言い出すより、向こうから話を振られた方がいいだろ?」
「そうだけど、、、別に費用に困っている訳でも無いのに、、、」
「そう言うな、しばらく息抜きだ」
帝国での半年は、あまり気持ちの良い時間では無かった。
トラストニア大陸の七割を支配している帝国の圧政の中、人々の生活は決して良いと言えるものでは無かった。
貧富の差は激しく、おまけに奴隷制度まであるので嫌悪しか感じない。
帝国にいる間、ウルフレッドは誰とも関わろうとせず、ただ国の状況だけを見ることだけに専念した。
それがどれだけ辛い事でも、人と関われば縁が生まれるので離れる事が難しくなる。
だがそれは彼に許される事では無いし、本来の目的から逸脱する事になる。
魔力の事やエルメニアの状況を知られれば、帝国がエルメニアに興味を持たないとも限らない。
大海と呼ばれる海に魔物が生息しているので、今まで帝国が海を渡ってきた事は無いが、これからも起こらないとは限らない。
辺境の領主が、エルメニア以外の国の事を知る必要があるのは、自分達の国を守る為であって、危険にさらす為では無い。
結局、帝国国内の内乱が酷くなったので、隣国サルストールに渡りエルメニアに戻った。
それ以来、ウルフレッドはロートアの港街をウロウロしては楽しんでいる。
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