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第六章 エリス
06 ウルフレッドとオルグ
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「お前はいったい何をしているんだ」
「何がだい?」
「自分より弟子を強くしてどうする」
「戦には、強い味方がいた方がいいだろう?」
「終わった後の事も考えろよ、確かにお前が作ろうとしている魔具があれば、エリスは強くなるかもしれないが、そこまでしなくてもいいだろう」
「オルグは反対かい?」
「反対という訳ではないが、、、ウル、今回の戦がそれ程長引くとは思っていないだろ?」
「長引かない方がいいね。だが敵が必ず外から来るとは限らない、準備はしておきたいね」
魔工師にエリスのための魔具の作成を依頼していると、オルグが側に来てもう少し考えろと煩い。
この乳兄弟は、本当に心配性だ。
オルグは森に生まれた。
彼は黒髪に明るい緑色の瞳を持つ森人ではなく、真っ黒な瞳を持って生まれた。
昔から森に“落とし子”が生まれると、その子はウエストリアの屋敷で育てられる。
兄の妻となったフレリア様や、このオルグがそうで、共に育つ間に絆が出来て、彼は自分のリグと呼ばれるパートナーとなった。
「それでどうするつもりだ」
「大丈夫だよ。いくらエリスが強くても、お前がいれば僕が負ける事はないよ」
「なぜだ」
「あの子は素直だからね」
「そういう事か」
「納得したかい」
「確かにエリスは、お前のように腹黒くないからな」
「ん? それは褒められていると思っていいのかな?」
目の前の男は、面白くなさそうに書類に目を通しながら、手際よく物事を裁いていく。
数年前、兄と父を続けて無くしたため領主になったが、特に困ることもなく広大な領地を治めている。
幼い頃から一緒にいるが、自分が知る限り彼が感情を乱したのは一度だけで、何かに迷ったり、乱されたりするのを見たことがない。
「、、、なぁ、もし俺が裏切ったらどうするんだ」
「その時はすっぱり諦めるさ。エリスを育てるのも、お前を信じているのも、自分の選択なのだからね。
元々、兄が継ぐ予定だった土地だ、相応しい相手がいるならそれでいいさ」
「全く、、、ウルに執着するものが早くできる事を祈るよ」
「失礼だな、僕はこの土地を大切に思っているぞ」
「それは知っているさ、お前に愛する妻や子どもが出来て、ここを犠牲にしてでも守りたくなればいいって話さ」
「もちろん妻は持つさ、貴族の義務なのだからね。アッタリアとの戦が終われば、そちらも決めないとならないかな」
「決める?」
「何件か話が来ているよ。そろそろ貴族院が動きそうだからね、彼らに何か言われる前に決めてしまいたい」
「お前なぁ」
「ん?」
「せめて気に入った娘はいなかったのか?」
「気に入った娘にするさ、そうでなければ義務も果たせなくなる」
「そう言う意味じゃない」
「なんだ、必要な事だろ?」
「そうじゃなくってさ、愛しいと思える相手がいないのか? って事さ。その相手だって、義務で迎えたと思われるより、望んで迎えたと思った方がいいだろう?」
「なるほど、気を付けるよ、、、、、、ちゃんとそう思って貰えるようにね」
にっこりと微笑まれると、本当にそうなりそうで恐ろしい。
「はぁぁ、頼むからリサが言っていた様にならないでくれよ」
「おや? オルグの奥方は、何を言っていたのかな?」
「お前の妻になった人は、不幸にはならないが、幸せにもならない。ってさ」
「大丈夫だよ。そんな事、気付かせないようにするさ」
「やめてくれ、お前が言うと冗談でなくなる」
「まぁ、そう言うなよ。大切な物を作りたくないと考えるのは許して欲しいね、僕に選択の余地はないからね」
「選べるだろう?」
「領主の弟であればね、だが今は、兄が自分の命をかけた場所を守る義務が生まれてしまったからね。
そういう意味では、このままがいいかな。面倒な事になるのは遠慮したい」
自分にリサがいるように、彼にも大切な人が出来てくれないものかと切実に思う。
このままでは、本当に効率がいいと相手を選びそうな気がする。
彼がどんなに多くの部下を持っていても、エリスのような相手から慕われていても、最後の決断は彼がしなくてはならず、その孤独はリグである自分も癒せるものではない。
セリス様にフレリア様がいたように、彼の最も近くにいる人くらい、彼が誰よりもと思った人にいて貰いたい。
「何がだい?」
「自分より弟子を強くしてどうする」
「戦には、強い味方がいた方がいいだろう?」
「終わった後の事も考えろよ、確かにお前が作ろうとしている魔具があれば、エリスは強くなるかもしれないが、そこまでしなくてもいいだろう」
「オルグは反対かい?」
「反対という訳ではないが、、、ウル、今回の戦がそれ程長引くとは思っていないだろ?」
「長引かない方がいいね。だが敵が必ず外から来るとは限らない、準備はしておきたいね」
魔工師にエリスのための魔具の作成を依頼していると、オルグが側に来てもう少し考えろと煩い。
この乳兄弟は、本当に心配性だ。
オルグは森に生まれた。
彼は黒髪に明るい緑色の瞳を持つ森人ではなく、真っ黒な瞳を持って生まれた。
昔から森に“落とし子”が生まれると、その子はウエストリアの屋敷で育てられる。
兄の妻となったフレリア様や、このオルグがそうで、共に育つ間に絆が出来て、彼は自分のリグと呼ばれるパートナーとなった。
「それでどうするつもりだ」
「大丈夫だよ。いくらエリスが強くても、お前がいれば僕が負ける事はないよ」
「なぜだ」
「あの子は素直だからね」
「そういう事か」
「納得したかい」
「確かにエリスは、お前のように腹黒くないからな」
「ん? それは褒められていると思っていいのかな?」
目の前の男は、面白くなさそうに書類に目を通しながら、手際よく物事を裁いていく。
数年前、兄と父を続けて無くしたため領主になったが、特に困ることもなく広大な領地を治めている。
幼い頃から一緒にいるが、自分が知る限り彼が感情を乱したのは一度だけで、何かに迷ったり、乱されたりするのを見たことがない。
「、、、なぁ、もし俺が裏切ったらどうするんだ」
「その時はすっぱり諦めるさ。エリスを育てるのも、お前を信じているのも、自分の選択なのだからね。
元々、兄が継ぐ予定だった土地だ、相応しい相手がいるならそれでいいさ」
「全く、、、ウルに執着するものが早くできる事を祈るよ」
「失礼だな、僕はこの土地を大切に思っているぞ」
「それは知っているさ、お前に愛する妻や子どもが出来て、ここを犠牲にしてでも守りたくなればいいって話さ」
「もちろん妻は持つさ、貴族の義務なのだからね。アッタリアとの戦が終われば、そちらも決めないとならないかな」
「決める?」
「何件か話が来ているよ。そろそろ貴族院が動きそうだからね、彼らに何か言われる前に決めてしまいたい」
「お前なぁ」
「ん?」
「せめて気に入った娘はいなかったのか?」
「気に入った娘にするさ、そうでなければ義務も果たせなくなる」
「そう言う意味じゃない」
「なんだ、必要な事だろ?」
「そうじゃなくってさ、愛しいと思える相手がいないのか? って事さ。その相手だって、義務で迎えたと思われるより、望んで迎えたと思った方がいいだろう?」
「なるほど、気を付けるよ、、、、、、ちゃんとそう思って貰えるようにね」
にっこりと微笑まれると、本当にそうなりそうで恐ろしい。
「はぁぁ、頼むからリサが言っていた様にならないでくれよ」
「おや? オルグの奥方は、何を言っていたのかな?」
「お前の妻になった人は、不幸にはならないが、幸せにもならない。ってさ」
「大丈夫だよ。そんな事、気付かせないようにするさ」
「やめてくれ、お前が言うと冗談でなくなる」
「まぁ、そう言うなよ。大切な物を作りたくないと考えるのは許して欲しいね、僕に選択の余地はないからね」
「選べるだろう?」
「領主の弟であればね、だが今は、兄が自分の命をかけた場所を守る義務が生まれてしまったからね。
そういう意味では、このままがいいかな。面倒な事になるのは遠慮したい」
自分にリサがいるように、彼にも大切な人が出来てくれないものかと切実に思う。
このままでは、本当に効率がいいと相手を選びそうな気がする。
彼がどんなに多くの部下を持っていても、エリスのような相手から慕われていても、最後の決断は彼がしなくてはならず、その孤独はリグである自分も癒せるものではない。
セリス様にフレリア様がいたように、彼の最も近くにいる人くらい、彼が誰よりもと思った人にいて貰いたい。
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