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第八章 その後
04 学院
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枢機院は、タリム王と王の伯父にあたるアウスレーゼ公爵、宰相であるファルコーネ公爵と四人の辺境伯。
そして王室の警備を受け持つアリグリスト侯爵と国庫を管理するドロテア伯爵の九人で構成されていた。
「オルコス、悪い遊びはするな」
ヘイズ達が退出した後、枢機院では彼らの処罰が話し合われていた。
「申し訳ありません、余りに荒唐無稽な事を言い出しましたので」
ここでは、宰相であるオルコスが議長のような役割を務め、ノーストリア伯とサウストリア伯、それにアリグリスト侯爵が議論を進める事が多かった。
タリム王の伯父であるアウスレーゼ公爵はお目付け役として院に籍を置き、ドロテア伯爵も国庫に関する問題が生じない限り意見を述べることは無く、ウルフレッドより年長であってもイーストリアを継いだばかりの東方辺境伯が意見を述べる事は少なかった。
「驚きましたね、いくら何でも無理があると思いましたが、本人はそう思っていないようでした」
ハイリ・アリグリスト侯爵は、まるで女性の様に丁寧に話す。
「それより、どうしますか?」
「ウエストリア伯の書状ですか?」
ノーストリア伯の問いに、オルコスが答える。
「これによると、"鉄を得る為に砂漠に入った結果、運悪くアッタリア兵に遭遇した為、仕方なく応戦した"とありますが?」
「誰もアッタリア兵と戦う気も、ましてアッタリアの国土を奪うつもりなど無かった、、、と言いたいのでしょうね」
「まぁ、苦しい言い訳ですが、、、」
「これなら彼らの処罰も軽減出来ます」
六年前、タリム王が即位する際、前后妃を始め何人かの貴族の爵位が剥奪され、王都から姿を消していた。
この時期に問題を大きくする事は、確かに余り好ましいとは思えない。
「被害を受けた彼がそう言っているなら、それで構わないだろ?」
サウストリア伯が答える、彼は王の前でも話し方を変えず、タリム王もそれを許していた。
「面白いよなぁ、この処罰。
一つ、五年の間は王都に来ないこと。
一つ、騎士や領民と新たな約定を結ばないこと。
一つ、その間は領地の農民と同じ物を食べること。
一つ、また領地に来る商人の税を無くすこと。
一つ、緑樹院への支払いは直ちに済ませること。
五つめは関係ないが、後は全部、領地で生活する民の為の物だ」
「そうですね、税を払う必要が無ければ、商人達はやって来ます。領民が飢える事は無いでしょうね」
「おまけに新しい約定を結べないなら、今、自分に仕える者達を守るしか無くなるし、王都に来ないなら、余計な費用も必要ない」
「同じ生活と言わない所が、ちょっと意地悪に感じますが、、、」
「食べる物が一番実感するはずですから、ほとんど同じ意味になると思いますが、その位ならと考えるでしょうね」
「この条件を付けろってのが、彼の言い分だろ?」
「えぇ、それ以外は好きにって事ですが、、、」
「この条件を満たすなら、禁錮刑などは難しいでしょうね」
「結局、こちらが変える事が出来るのは、五年と言う年数くらいになりそうだな」
「だよなぁ」
「ふっ」
「陛下、どうされました?」
「いや、セスが『弟に会えば、王都にいるのが僕で良かったと思いますよ』確かそんな事を言っていたなぁと思ってね」
「セリス様以上の方では、これからも大変になりそうです」
「それで、もう一つの方はどうするんだ?」
「もう一つ?」
「ウルフレッド本人まで、三年の間、領地で謹慎するってやつさ」
「被害者の方が謹慎してどうするのですか?」
「関係ないだろ? 奴は王都に来るのが面倒で、単に言い訳に使っているだけなんだから」
「放っておけ、必要になれば呼び出せばいい」
「よろしいのですか?」
「かまわん、どうせ呼び出すことになる」
「学び舎の件ですか?」
「それだけのつもりでは無いだろうな」
「何の話をされておられるのですか?」
「今回、ウエストリアから書状と一緒に、アッタリア兵の残した武具が大量に送られて来ています」
「国庫に寄贈ですか?」
「あれがそんな事をするものか」
「では、それで平民の為の学び舎を作れと?」
「学び舎では無く、ちゃんと救護院の様な形にするべきだと言われていましたね」
「なる程、その為の費用ですか」
「それと貴族達にも学ぶ場所を作れと言っているのだろうな」
「それはセリス様も言われていましたね」
「あゝ、つまり貴族達が歴史などをちゃんと学んでいないから、今回の様な事が起こったと言っている訳ですか」
「そう言う事だ、つまり今回の問題は、それを怠った枢機院にあると、アレは言いたいのだろうな」
「これはセリス様より面倒な方のようだ」
「では、"学院"の設立に関して、責任者を彼にお願いされてみては?」
「それは面白いかも知れませんね」
「ウエストリア伯だけど言う訳にはいきませんから、ノーストリア伯にもお願いしたいですね」
「いや、、私は、、、」
「ハイリ殿やラウル殿では丸め込まれてしまう可能性がありますので、ここは年長の方にお願いします」
こうしてアッタリア戦から三年後、エルメニアに貴族達が通う"学院"が作られた。
設立の過程で勉学より魔力を学ぶ場所の様に言われているが、本来は歴史などの知識を学ぶための場所として作られている。
そして王室の警備を受け持つアリグリスト侯爵と国庫を管理するドロテア伯爵の九人で構成されていた。
「オルコス、悪い遊びはするな」
ヘイズ達が退出した後、枢機院では彼らの処罰が話し合われていた。
「申し訳ありません、余りに荒唐無稽な事を言い出しましたので」
ここでは、宰相であるオルコスが議長のような役割を務め、ノーストリア伯とサウストリア伯、それにアリグリスト侯爵が議論を進める事が多かった。
タリム王の伯父であるアウスレーゼ公爵はお目付け役として院に籍を置き、ドロテア伯爵も国庫に関する問題が生じない限り意見を述べることは無く、ウルフレッドより年長であってもイーストリアを継いだばかりの東方辺境伯が意見を述べる事は少なかった。
「驚きましたね、いくら何でも無理があると思いましたが、本人はそう思っていないようでした」
ハイリ・アリグリスト侯爵は、まるで女性の様に丁寧に話す。
「それより、どうしますか?」
「ウエストリア伯の書状ですか?」
ノーストリア伯の問いに、オルコスが答える。
「これによると、"鉄を得る為に砂漠に入った結果、運悪くアッタリア兵に遭遇した為、仕方なく応戦した"とありますが?」
「誰もアッタリア兵と戦う気も、ましてアッタリアの国土を奪うつもりなど無かった、、、と言いたいのでしょうね」
「まぁ、苦しい言い訳ですが、、、」
「これなら彼らの処罰も軽減出来ます」
六年前、タリム王が即位する際、前后妃を始め何人かの貴族の爵位が剥奪され、王都から姿を消していた。
この時期に問題を大きくする事は、確かに余り好ましいとは思えない。
「被害を受けた彼がそう言っているなら、それで構わないだろ?」
サウストリア伯が答える、彼は王の前でも話し方を変えず、タリム王もそれを許していた。
「面白いよなぁ、この処罰。
一つ、五年の間は王都に来ないこと。
一つ、騎士や領民と新たな約定を結ばないこと。
一つ、その間は領地の農民と同じ物を食べること。
一つ、また領地に来る商人の税を無くすこと。
一つ、緑樹院への支払いは直ちに済ませること。
五つめは関係ないが、後は全部、領地で生活する民の為の物だ」
「そうですね、税を払う必要が無ければ、商人達はやって来ます。領民が飢える事は無いでしょうね」
「おまけに新しい約定を結べないなら、今、自分に仕える者達を守るしか無くなるし、王都に来ないなら、余計な費用も必要ない」
「同じ生活と言わない所が、ちょっと意地悪に感じますが、、、」
「食べる物が一番実感するはずですから、ほとんど同じ意味になると思いますが、その位ならと考えるでしょうね」
「この条件を付けろってのが、彼の言い分だろ?」
「えぇ、それ以外は好きにって事ですが、、、」
「この条件を満たすなら、禁錮刑などは難しいでしょうね」
「結局、こちらが変える事が出来るのは、五年と言う年数くらいになりそうだな」
「だよなぁ」
「ふっ」
「陛下、どうされました?」
「いや、セスが『弟に会えば、王都にいるのが僕で良かったと思いますよ』確かそんな事を言っていたなぁと思ってね」
「セリス様以上の方では、これからも大変になりそうです」
「それで、もう一つの方はどうするんだ?」
「もう一つ?」
「ウルフレッド本人まで、三年の間、領地で謹慎するってやつさ」
「被害者の方が謹慎してどうするのですか?」
「関係ないだろ? 奴は王都に来るのが面倒で、単に言い訳に使っているだけなんだから」
「放っておけ、必要になれば呼び出せばいい」
「よろしいのですか?」
「かまわん、どうせ呼び出すことになる」
「学び舎の件ですか?」
「それだけのつもりでは無いだろうな」
「何の話をされておられるのですか?」
「今回、ウエストリアから書状と一緒に、アッタリア兵の残した武具が大量に送られて来ています」
「国庫に寄贈ですか?」
「あれがそんな事をするものか」
「では、それで平民の為の学び舎を作れと?」
「学び舎では無く、ちゃんと救護院の様な形にするべきだと言われていましたね」
「なる程、その為の費用ですか」
「それと貴族達にも学ぶ場所を作れと言っているのだろうな」
「それはセリス様も言われていましたね」
「あゝ、つまり貴族達が歴史などをちゃんと学んでいないから、今回の様な事が起こったと言っている訳ですか」
「そう言う事だ、つまり今回の問題は、それを怠った枢機院にあると、アレは言いたいのだろうな」
「これはセリス様より面倒な方のようだ」
「では、"学院"の設立に関して、責任者を彼にお願いされてみては?」
「それは面白いかも知れませんね」
「ウエストリア伯だけど言う訳にはいきませんから、ノーストリア伯にもお願いしたいですね」
「いや、、私は、、、」
「ハイリ殿やラウル殿では丸め込まれてしまう可能性がありますので、ここは年長の方にお願いします」
こうしてアッタリア戦から三年後、エルメニアに貴族達が通う"学院"が作られた。
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