エルメニア物語 - 灰色の少女は南の島で恋をする -

小豆こまめ

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第2章

04 旅の途中(4)

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「何をしているのですか?」

 嫌だわ、何日か前にも同じことを言われたのに、、、

「給仕の仕事をしています」

「カリーナ様」
「ここではカナって呼ばれているの」

「呼び方を変えても、中身が変わる訳ではありませんよ」
「分かっているけれど、、、」

 困った人だと言う様な顔をしていても、ファリス先生とは違って何となく声が笑っている。

「困った人だな、王都からずっと使用人の中にいたなんて気が付きませんでしたよ」
「いつもは裏方をさせて貰っているの、今日はアン様にここに運ぶ様にって」

「女中頭の?」
「はい」

「参ったな。知っているのは、私だけですか?」
「先生が知ってくれています」

「先生?」
「えっと、魔力の使い方を教えて貰っていて、、、」

「ファリス・ラングロアですか?」
「はい、私の風使いの先生なんです。あの、、、お義兄様には内緒にして貰えますよね?」

「私が話さないと?」
「ごめんなさい、アレス様は何だか笑っていらっしゃるから」

「呆れているんですよ」
「ごめんなさい、、、やっぱりダメでしょうか?」

「どちらにしても行けるのはロートアまでですよ、その後、どうするつもりなのです」
「もちろん港に着いたらお義兄様にちゃんと話すわ。お話ししてミリオネアに連れて行って頂くの」

 許して貰えないかもしれないが、ロートアの港街からまさか王都に追い返されるとも思えない。

「分かりました。ロアンには伝えないようにしますが、無理はされていませんね?」
「えぇ、とっても楽しいわ、アレス様のおかげね」
「私の?」

「仕事って言っても力仕事は男の方がして下さるし、食事の用意や洗い物くらいだもの。皆、言っているわ、この商隊で良かったって」
「それは光栄だ、ロアンにもそれと無く伝えておくよ」

「えぇ、お願いします。あっ、でもあんまりお義兄様と仲良くしていない方が良いかも、、、あのね、男の人同士でも恋人みたいに見られる事があるみたいなのよ」

 みんなから聞いた話を伝えておく。

「それは大変だ。気を付ける様にしないといけないな。
 そうだ、魔力の使い方を習っていたなら、魔道具は持っているのかな?」

「先生に貸して頂いたのが、ここに」
「見せて貰っても平気かな?」
「えぇ、先生がこれなら持っていても魔道具に見えないからって」

 首にかけて貰った小さな魔道具をアレス様に見せる。

「なる程、これはいつ?」
「三日前だったかしら? 小さな風くらいなら起こせるし、何かあればって渡して下さったの」

 商隊が出発して三日目でファリス先生に、その三日後には、アレス様に見つかっている。
 この調子だと、後三日もすればお義兄様にも見つかってしまいそうだわ。

 アレス様が魔道具を首に戻しながら、念を押す様にまた言っている。

「いいですね、絶対に無理はしない様に。何かあればすぐ、私に話して下さい。約束して貰えますか?」
「無理はしません、何かあればちゃんと話すとお約束します」

 アレス様の天幕を出た所で、お義兄様に食事を運んでいたラナに会い、そのまま二人で戻る。
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