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第2章
09 旅の途中(9) -アレスside
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暗闇から聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「手を貸して頂きたい」
「カリーナか?」
「同僚の娘と一緒に攫われました」
「分かった」
ダリルに後を任せ、アンに他の娘達を天幕の中から出さない様に伝え、ソーヤの後を追う。
『クソ、油断した』
いつもの事だと思っていたら、守りの魔道具を壊され、魔物まで寄って来たので、一瞬、場が混乱した。
収める為に自分まで出る羽目になったかと思えば、手薄な所を狙われている。
おまけに荷だけならまだしも、カリーナまで攫われたとなると、自分の甘さに腹が立って来る。
逃げ道も用意してあったのか、途中に罠が仕掛けてあったり、待ち伏せされていたりと日が明けても、カリーナを乗せた荷馬車に追いつかない。
「間違い無いのか?」
「私はリグではありませんので、荷馬車から下ろされてしまうと保証出来ませんが、このスピードで途中どこかに寄ったとも考えられません」
「分かった、急ごう」
途中、麦の道が続いているので荷馬車がこの先にあるのは確かだが、娘達を別の場所に運ばれる危険があるのだから心配で仕方がない。
その数時間後、荷馬車を見つけた時は、疲れと自分への苛立ちで手加減する事も出来ない状態だったが、カリーナを見つけてやっと落ち着く事が出来た。
「カリーナ、無事か?」
口を塞がれた娘が、目に涙を溜めて頷いてみせる。
紐を切ろうとしたのか手首が赤くなっているし、魔力を使ったのか疲れた顔をしているが、それ以外には傷つけられた様子は無い。
「良かった。賊に攫われたと聞いて、肝が冷えたよ」
「ありがとうございます、、、あのラナは?」
もう一人の娘も、気を失ってはいるが怪我などは無い。
カリーナにとりあえず水を飲ませ、自分の馬に乗せて商隊に急いで戻る事にする。
これ程離れるとは思っていなかったし、この辺りは余り治安の良い場所では無い。
馬を走らせていると、数人の賊がいるのも感じられたが、荷はそのまま残したし、どうやら自分の名を知っている者がいるらしく、わざわざ娘を取り返そうとは思っていないようでひとまず安心した。
賊に襲われる危険が無くなると、腕の中で眠っている娘の事が段々気になってくる。
疲れているのは分かるが、恋人でも無い男の腕の中で、そう安心して眠られても困る。
甘える様に眠っているカリーナを抱きしめ唇を奪い、中をこじ開けてみたら、この娘はどんな顔をするだろう?
自分の考えている事に驚く。
攫った者達と同じ様に、助けた相手を傷つけてどうするつもりだ。
おまけに自分よりもずっと相応しい相手がいると言うのに、今更、若い二人の邪魔をして何をしようと言うのだろう。
困ったものだ。
女性に縁の無い生活が長かったとは言え、流石に一回りも年下の娘と相乗りしているくらいで体が熱くなる様では、今後の生活を見直す必要がある。
「手を貸して頂きたい」
「カリーナか?」
「同僚の娘と一緒に攫われました」
「分かった」
ダリルに後を任せ、アンに他の娘達を天幕の中から出さない様に伝え、ソーヤの後を追う。
『クソ、油断した』
いつもの事だと思っていたら、守りの魔道具を壊され、魔物まで寄って来たので、一瞬、場が混乱した。
収める為に自分まで出る羽目になったかと思えば、手薄な所を狙われている。
おまけに荷だけならまだしも、カリーナまで攫われたとなると、自分の甘さに腹が立って来る。
逃げ道も用意してあったのか、途中に罠が仕掛けてあったり、待ち伏せされていたりと日が明けても、カリーナを乗せた荷馬車に追いつかない。
「間違い無いのか?」
「私はリグではありませんので、荷馬車から下ろされてしまうと保証出来ませんが、このスピードで途中どこかに寄ったとも考えられません」
「分かった、急ごう」
途中、麦の道が続いているので荷馬車がこの先にあるのは確かだが、娘達を別の場所に運ばれる危険があるのだから心配で仕方がない。
その数時間後、荷馬車を見つけた時は、疲れと自分への苛立ちで手加減する事も出来ない状態だったが、カリーナを見つけてやっと落ち着く事が出来た。
「カリーナ、無事か?」
口を塞がれた娘が、目に涙を溜めて頷いてみせる。
紐を切ろうとしたのか手首が赤くなっているし、魔力を使ったのか疲れた顔をしているが、それ以外には傷つけられた様子は無い。
「良かった。賊に攫われたと聞いて、肝が冷えたよ」
「ありがとうございます、、、あのラナは?」
もう一人の娘も、気を失ってはいるが怪我などは無い。
カリーナにとりあえず水を飲ませ、自分の馬に乗せて商隊に急いで戻る事にする。
これ程離れるとは思っていなかったし、この辺りは余り治安の良い場所では無い。
馬を走らせていると、数人の賊がいるのも感じられたが、荷はそのまま残したし、どうやら自分の名を知っている者がいるらしく、わざわざ娘を取り返そうとは思っていないようでひとまず安心した。
賊に襲われる危険が無くなると、腕の中で眠っている娘の事が段々気になってくる。
疲れているのは分かるが、恋人でも無い男の腕の中で、そう安心して眠られても困る。
甘える様に眠っているカリーナを抱きしめ唇を奪い、中をこじ開けてみたら、この娘はどんな顔をするだろう?
自分の考えている事に驚く。
攫った者達と同じ様に、助けた相手を傷つけてどうするつもりだ。
おまけに自分よりもずっと相応しい相手がいると言うのに、今更、若い二人の邪魔をして何をしようと言うのだろう。
困ったものだ。
女性に縁の無い生活が長かったとは言え、流石に一回りも年下の娘と相乗りしているくらいで体が熱くなる様では、今後の生活を見直す必要がある。
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