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第3章
08 サウストリア(8)
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とっても不機嫌な先生が後ろにいるので、庭を歩きながらダナーが耳元で話しかけてくる。
「カリーナ、怒ってる?」
「分かっているなら、どうしてこんな事するの?」
「彼を誘ったのは、薄暗い庭を二人で歩くわけにはいかないからだよ」
「どうして?」
「それは僕が、カリーナに手を出したら困るから」
「何が困るの?」
「困らないの?」
「私だって手くらい出すわよ、ほら」
ダナーに添えている手を前に出して見せる。
「ふ~ん、なるほどね」
「なぁに?」
「いや、ちょっと色々考えてるとこ」
「いやだわ、もうあんな事しないでね?」
「あんな事?」
「緑蛙を部屋にたくさん放したでしょう? 虫の抜け殻があった時も本当にびっくりしたのよ」
「あぁ、あれか。あの時はいい考えだと思ったんだよ」
「全然、いい考えじゃ無かったわ」
「今度は、ローズの花を部屋いっぱいに贈ろうかな」
「絶対、止めてね」
「あれ? 好きな花だったよね」
「お掃除、大変だもの」
「ひどいなぁ、僕が贈った花、片付けちゃうの?」
「だって緑蛙みたいに部屋に置くんでしょう?」
「信用ないなぁ。じゃぁ、一本だけ」
そう言って、庭の花を水刃で切り落として渡してくれる。
「これなら飾ってくれる?」
「ずごい、水刃って始めて見たわ、ありがとう、ダナー」
「どういたしまして」
そのまま庭園のガゼボに連れて行かれ座らされる。
「さてと、ここなら叔母上にも聞こえないからな。
どうして使用人の服を着て、商隊にいるのか、ちゃんと説明して貰おうかな」
失敗した。
こういう時、納得しないとダナーは決して許してくれない。
おまけに誤魔化しが通じるような人でもない。
結局、最初から話をさせられ、いつの間にかアレス様の商隊にダナーを同行させる事になっている。
「私が決められる事では無いのよ?」
「うん、分かってる。カリーナは紹介してくれるだけでいいよ」
「ロアン義兄様にまだ知られたくないのに、、、」
「それは大丈夫だよ、あの家の事は僕が良く知っているからさ、忍び込むのもお手のものさ」
「もう、、、」
「仕方ないだろう? カリーナが商隊と一緒に行きたいっていうんだから」
「だからって付いて来なくても」
「せっかく会った幼馴染みと、もう少し一緒にいたいと思うのはダメ?」
「そうじゃないけど」
「それにちょっと役にも立つよ? ほら、花がもう少し欲しいときとかさ」
そう言って、また近くの花を切って見せ、ウインクしながらカリーナに渡してくれる。
「ね?」
彼には敵わない。
二年と言う短い時間だったけど、その間、一番長くカリーナの側にいて、一番困らせたのも彼だったけど、一番笑わせてくれたのも彼だった。
そう言えば、カリーナが葉っぱの上にちょこんと座っている緑蛙を見て、可愛いと言った事があった。
そして、部屋にたくさんの緑蛙が放されていたのはその翌日だった。
「ふふっ」
「どうしたの?」
「何でもないの、ちょっと昔の事を思い出しただけ」
そう言えば、カリーナの嫌がる事をするダナーでは無かった。
今度、虫の抜け殻の話も聞いてみよう。
あの頃のダナーが何を思って、虫の抜け殻を贈ってくれたのかちょっと聞いてみたい。
「カリーナ、怒ってる?」
「分かっているなら、どうしてこんな事するの?」
「彼を誘ったのは、薄暗い庭を二人で歩くわけにはいかないからだよ」
「どうして?」
「それは僕が、カリーナに手を出したら困るから」
「何が困るの?」
「困らないの?」
「私だって手くらい出すわよ、ほら」
ダナーに添えている手を前に出して見せる。
「ふ~ん、なるほどね」
「なぁに?」
「いや、ちょっと色々考えてるとこ」
「いやだわ、もうあんな事しないでね?」
「あんな事?」
「緑蛙を部屋にたくさん放したでしょう? 虫の抜け殻があった時も本当にびっくりしたのよ」
「あぁ、あれか。あの時はいい考えだと思ったんだよ」
「全然、いい考えじゃ無かったわ」
「今度は、ローズの花を部屋いっぱいに贈ろうかな」
「絶対、止めてね」
「あれ? 好きな花だったよね」
「お掃除、大変だもの」
「ひどいなぁ、僕が贈った花、片付けちゃうの?」
「だって緑蛙みたいに部屋に置くんでしょう?」
「信用ないなぁ。じゃぁ、一本だけ」
そう言って、庭の花を水刃で切り落として渡してくれる。
「これなら飾ってくれる?」
「ずごい、水刃って始めて見たわ、ありがとう、ダナー」
「どういたしまして」
そのまま庭園のガゼボに連れて行かれ座らされる。
「さてと、ここなら叔母上にも聞こえないからな。
どうして使用人の服を着て、商隊にいるのか、ちゃんと説明して貰おうかな」
失敗した。
こういう時、納得しないとダナーは決して許してくれない。
おまけに誤魔化しが通じるような人でもない。
結局、最初から話をさせられ、いつの間にかアレス様の商隊にダナーを同行させる事になっている。
「私が決められる事では無いのよ?」
「うん、分かってる。カリーナは紹介してくれるだけでいいよ」
「ロアン義兄様にまだ知られたくないのに、、、」
「それは大丈夫だよ、あの家の事は僕が良く知っているからさ、忍び込むのもお手のものさ」
「もう、、、」
「仕方ないだろう? カリーナが商隊と一緒に行きたいっていうんだから」
「だからって付いて来なくても」
「せっかく会った幼馴染みと、もう少し一緒にいたいと思うのはダメ?」
「そうじゃないけど」
「それにちょっと役にも立つよ? ほら、花がもう少し欲しいときとかさ」
そう言って、また近くの花を切って見せ、ウインクしながらカリーナに渡してくれる。
「ね?」
彼には敵わない。
二年と言う短い時間だったけど、その間、一番長くカリーナの側にいて、一番困らせたのも彼だったけど、一番笑わせてくれたのも彼だった。
そう言えば、カリーナが葉っぱの上にちょこんと座っている緑蛙を見て、可愛いと言った事があった。
そして、部屋にたくさんの緑蛙が放されていたのはその翌日だった。
「ふふっ」
「どうしたの?」
「何でもないの、ちょっと昔の事を思い出しただけ」
そう言えば、カリーナの嫌がる事をするダナーでは無かった。
今度、虫の抜け殻の話も聞いてみよう。
あの頃のダナーが何を思って、虫の抜け殻を贈ってくれたのかちょっと聞いてみたい。
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