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第3章
10 サウストリア(10) -アレスside
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ミュールの街に到着後、運んで来た荷の整理等をしていると、夜遅くファリスが疲れた顔をして戻って来る。
久しぶりの再会はどうなったのかカリーナの様子も気になるが、それよりもレオーナからの返事の方が問題だった。
彼女からの知らせには、明日、ちょっとした集まりがあるのでその場でと書かれていて、彼女と軽い再会を望んでいた自分としては、面倒な事になっている。
ちょっとしたと言われても晩餐に誘われたなら服装を整える必要があるし、すっかり社交と縁のない生活を送っていたので、出来るなら遠慮したいが、自分から誘った話を無視する事も出来ない。
「仕方ないか」
イスレイン家の関係者が集まっているなら、ロアンを紹介するには都合がいい。
「まさか、カリーナを参加させたりしないよな」
本家にロアンがいる事もカリーナが気付くだろうし、ファーネ様は数年前から別宅ですっかり隠居生活を楽しんでいるので、来ることはないだろう。
騎士や使用人達には、数日、街でゆっくり出来るくらいの“エル”を渡し、ロアンを誘ってとりあえず浴場にでも行くとしよう。
どうせ服装を整える必要があるなら、目一杯着飾ってやる。
レオーナと上手くいかなければ、そのまま街で相手を見つければいい。
翌日、ロアンと二人でイスレイン家に向かうとレオーナが迎えてくれる。
「よく来たな」
「ちょっとした集まりだと聞いていたんだけどな」
「許せ、今日両親が戻って来てな、母は賑やかなのが好きなんだ」
「いや、丁度良かったよ、彼を紹介したかったんだ」
レオーナにロアンを紹介する。
「ロアン・アウスレーゼです」
「レオーナ・イスレインだ。 すまんな男兄弟に囲まれて育ったせいで、こんな物言いになる」
「いいえ、とんでもない」
「アウスレーゼと言うと、カリーナの義兄上か?」
「えぇ」
「それは良かった、私の弟がカリーナに会え、、、、、」
「悪いロアン、ちょっとレオーナと二人で話したいんだ。彼女を借りてもいいかな」
「分かってるよ、邪魔はしない」
カリーナの話をロアンに聞かせる訳には行かないので、彼女の話をさえぎる。
「なんだ、カリーナを連れて来てくれた事に礼を言いたかったのに」
「その件で、ちょっと話があるんだ」
レオーナをベランダに連れ出し、二人なのを確認してカリーナの事を話す。
「どういう意味だ」
「だから彼に内緒でここまで来ているんだ」
「どうやって」
「、、、使用人に紛れて」
「ハハッ、あの小さかったカリーナがか?」
「僕も知った時は、驚かされたよ」
「へぇ、そんな娘に育っているなら、ダナーの目も確かだったという事かな」
「ダナー?」
「私の弟だ」
「兄弟はいなかっただろう?」
「血のつながりは無い。弟分と言う所だが、私の周りでは一番出来がいい」
「その弟がカリーナとなんの関係があるんだ」
「カリーナは、ダナーの初恋の相手だよ。それも未だに続いている初恋だ」
「まだ8歳の頃だろう?」
「その頃からずっとさ。いい男だぞ、彼女に相応しくなるために、ティジィスの跡継ぎになってみせた」
「そうか」
「昨日、別宅で会ったと聞いているぞ」
「あぁ、あちらに行かせた」
「それで、義兄に知られないようにすればいいんだな?」
「あぁ、頼む」
「両親は戻ったばかりで、カリーナの事を知らないから安心しろ」
「助かる」
「私も明日、別宅に行ってみよう。大人になったカリーナに会ってみたい」
楽しそうに話すレオーナは相変わらずさっぱりしていて、話していても気持ちがいい。
カリーナと弟の事を楽しそうに話すレオーナの腰に手を回しぐっと引き寄せる。
「気になるのはカリーナだけか?」
「ふん、気にして欲しいなら、その気にさせてみろ」
「分かった」
彼女の頬にふれ、頭を引き寄せて唇を重ねる。
最初は軽く、そしてそのまま深く。
こういうやり取りならお手の物だ。
目の前の相手の望むようにしてやればいい。
それなのに、ここにいない少女の事が気になるのは何故なんだろう?
久しぶりの再会はどうなったのかカリーナの様子も気になるが、それよりもレオーナからの返事の方が問題だった。
彼女からの知らせには、明日、ちょっとした集まりがあるのでその場でと書かれていて、彼女と軽い再会を望んでいた自分としては、面倒な事になっている。
ちょっとしたと言われても晩餐に誘われたなら服装を整える必要があるし、すっかり社交と縁のない生活を送っていたので、出来るなら遠慮したいが、自分から誘った話を無視する事も出来ない。
「仕方ないか」
イスレイン家の関係者が集まっているなら、ロアンを紹介するには都合がいい。
「まさか、カリーナを参加させたりしないよな」
本家にロアンがいる事もカリーナが気付くだろうし、ファーネ様は数年前から別宅ですっかり隠居生活を楽しんでいるので、来ることはないだろう。
騎士や使用人達には、数日、街でゆっくり出来るくらいの“エル”を渡し、ロアンを誘ってとりあえず浴場にでも行くとしよう。
どうせ服装を整える必要があるなら、目一杯着飾ってやる。
レオーナと上手くいかなければ、そのまま街で相手を見つければいい。
翌日、ロアンと二人でイスレイン家に向かうとレオーナが迎えてくれる。
「よく来たな」
「ちょっとした集まりだと聞いていたんだけどな」
「許せ、今日両親が戻って来てな、母は賑やかなのが好きなんだ」
「いや、丁度良かったよ、彼を紹介したかったんだ」
レオーナにロアンを紹介する。
「ロアン・アウスレーゼです」
「レオーナ・イスレインだ。 すまんな男兄弟に囲まれて育ったせいで、こんな物言いになる」
「いいえ、とんでもない」
「アウスレーゼと言うと、カリーナの義兄上か?」
「えぇ」
「それは良かった、私の弟がカリーナに会え、、、、、」
「悪いロアン、ちょっとレオーナと二人で話したいんだ。彼女を借りてもいいかな」
「分かってるよ、邪魔はしない」
カリーナの話をロアンに聞かせる訳には行かないので、彼女の話をさえぎる。
「なんだ、カリーナを連れて来てくれた事に礼を言いたかったのに」
「その件で、ちょっと話があるんだ」
レオーナをベランダに連れ出し、二人なのを確認してカリーナの事を話す。
「どういう意味だ」
「だから彼に内緒でここまで来ているんだ」
「どうやって」
「、、、使用人に紛れて」
「ハハッ、あの小さかったカリーナがか?」
「僕も知った時は、驚かされたよ」
「へぇ、そんな娘に育っているなら、ダナーの目も確かだったという事かな」
「ダナー?」
「私の弟だ」
「兄弟はいなかっただろう?」
「血のつながりは無い。弟分と言う所だが、私の周りでは一番出来がいい」
「その弟がカリーナとなんの関係があるんだ」
「カリーナは、ダナーの初恋の相手だよ。それも未だに続いている初恋だ」
「まだ8歳の頃だろう?」
「その頃からずっとさ。いい男だぞ、彼女に相応しくなるために、ティジィスの跡継ぎになってみせた」
「そうか」
「昨日、別宅で会ったと聞いているぞ」
「あぁ、あちらに行かせた」
「それで、義兄に知られないようにすればいいんだな?」
「あぁ、頼む」
「両親は戻ったばかりで、カリーナの事を知らないから安心しろ」
「助かる」
「私も明日、別宅に行ってみよう。大人になったカリーナに会ってみたい」
楽しそうに話すレオーナは相変わらずさっぱりしていて、話していても気持ちがいい。
カリーナと弟の事を楽しそうに話すレオーナの腰に手を回しぐっと引き寄せる。
「気になるのはカリーナだけか?」
「ふん、気にして欲しいなら、その気にさせてみろ」
「分かった」
彼女の頬にふれ、頭を引き寄せて唇を重ねる。
最初は軽く、そしてそのまま深く。
こういうやり取りならお手の物だ。
目の前の相手の望むようにしてやればいい。
それなのに、ここにいない少女の事が気になるのは何故なんだろう?
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