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第1章
05 憂鬱
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父との話が案外すんなり終わったので、祖母の所に母を一人で行かせた事をちょっと申し訳なく思う。
母とレオン伯父様の母親であり、ハーフスコード家の第一夫人であるラニア様は、リディアの祖母に当たる人だが、どうしても好きになれない人でもあった。
「あんな誰の子かも分からない子どもが、ウエストリア家の後継ぎになるなんて」
「お母さま、止めて下さい。アルフレッドは夫の子どもです」
「あら、私が言っている訳では無いのよ、あちらの家に出入りしていた殿方がいる様だから、そう言う噂があると言っているのですよ」
「どんな噂があってもです。まして娘の前でする話では無いでしょう」
「娘ねぇ、いつまで魔力もないこの子が、ウエストリア伯の興味を引けるかしらねぇ」
「あの人は、そんな事を気にする人ではありません」
「そうだといいのだけど、、、せめてハーフスコード家の力くらい継いでいれば良かったのに、、、」
その後も同じような言葉が続く。
幼い頃は意味が分からなくても、何度も聞いていれば覚えてしまうし、大きくなれば意味も分かる。
屋敷にやって来て母に心無い言葉を残す人が、リディアはどうしても好きになれなかった。
おまけにこの人は、父がいない時に家に来るので、エリスおじ様に協力して貰い、屋敷への出入禁止を勝ち取った時は飛び上がって喜んだ。
結局、王都に来れば母も会いに行かなくてはならないが、それでも勝手に家に来られるよりいい。
それに王都での優雅な祖母の暮らしが、誰に支えられているか、母を傷つけたり、アルフレッドの出自に関して余計な事を口にすれば、それらがどうなるか、気が付いていないほど祖母も愚かでは無いだろう。
魔力を持たない孫娘が第一王子と婚約すれば、また余計な事を言いだすかもしれないが、いずれ解消される婚約なので、気にする必要も無い。
『まぁ、王子が私を嫌っているのは知られているみたいだし、おばあ様もすぐに無駄な希望だったと諦めてくれるわよね』
王室の男性は、必ず三人の后妃を持つ。
カシム王子の事はよく知らないが、一人だけの妻になりたいと思っている自分とは、望みが全く違っている。
とは言え、婚約の件を了承した以上、私はその王子の婚約者候補で、来年の春になれば婚約者になる。
期限付きとは言え相手が決まっている以上、このまま王都にいても自分を選んでくれる人が現れるとは思えないし、この期限は公にしていいものでもない。
『困ったわ、お父様は分かっているのかしら?』
確かに両親が出会ったのは、母が24歳の頃で、緑樹院で“癒しの使い手”だった母に父が申し込んだと聞いているが、それは母が強い魔力を持っていたからで、私ではまず有り得ない。
いくら自分が好きになった人と結婚したいと思っていても、何時までも相手が決まらなければ、結局、貴族院に決められてしまう。
もちろん貴族院の令状も断る事は出来るが、そんな事を続ければ、誰も申し込んでくれなくなる。
『もう、どうすればいいのかしら』
ウエストリアにいる頃から友人はいても、自分が特別に思う人も、自分だけを特別に思ってくれる人もいない。
王都ならと思っていたけれど、なんだかこの調子ではそんな望みも諦めた方が良さそうな気がして、ちょっと憂鬱になる。
母とレオン伯父様の母親であり、ハーフスコード家の第一夫人であるラニア様は、リディアの祖母に当たる人だが、どうしても好きになれない人でもあった。
「あんな誰の子かも分からない子どもが、ウエストリア家の後継ぎになるなんて」
「お母さま、止めて下さい。アルフレッドは夫の子どもです」
「あら、私が言っている訳では無いのよ、あちらの家に出入りしていた殿方がいる様だから、そう言う噂があると言っているのですよ」
「どんな噂があってもです。まして娘の前でする話では無いでしょう」
「娘ねぇ、いつまで魔力もないこの子が、ウエストリア伯の興味を引けるかしらねぇ」
「あの人は、そんな事を気にする人ではありません」
「そうだといいのだけど、、、せめてハーフスコード家の力くらい継いでいれば良かったのに、、、」
その後も同じような言葉が続く。
幼い頃は意味が分からなくても、何度も聞いていれば覚えてしまうし、大きくなれば意味も分かる。
屋敷にやって来て母に心無い言葉を残す人が、リディアはどうしても好きになれなかった。
おまけにこの人は、父がいない時に家に来るので、エリスおじ様に協力して貰い、屋敷への出入禁止を勝ち取った時は飛び上がって喜んだ。
結局、王都に来れば母も会いに行かなくてはならないが、それでも勝手に家に来られるよりいい。
それに王都での優雅な祖母の暮らしが、誰に支えられているか、母を傷つけたり、アルフレッドの出自に関して余計な事を口にすれば、それらがどうなるか、気が付いていないほど祖母も愚かでは無いだろう。
魔力を持たない孫娘が第一王子と婚約すれば、また余計な事を言いだすかもしれないが、いずれ解消される婚約なので、気にする必要も無い。
『まぁ、王子が私を嫌っているのは知られているみたいだし、おばあ様もすぐに無駄な希望だったと諦めてくれるわよね』
王室の男性は、必ず三人の后妃を持つ。
カシム王子の事はよく知らないが、一人だけの妻になりたいと思っている自分とは、望みが全く違っている。
とは言え、婚約の件を了承した以上、私はその王子の婚約者候補で、来年の春になれば婚約者になる。
期限付きとは言え相手が決まっている以上、このまま王都にいても自分を選んでくれる人が現れるとは思えないし、この期限は公にしていいものでもない。
『困ったわ、お父様は分かっているのかしら?』
確かに両親が出会ったのは、母が24歳の頃で、緑樹院で“癒しの使い手”だった母に父が申し込んだと聞いているが、それは母が強い魔力を持っていたからで、私ではまず有り得ない。
いくら自分が好きになった人と結婚したいと思っていても、何時までも相手が決まらなければ、結局、貴族院に決められてしまう。
もちろん貴族院の令状も断る事は出来るが、そんな事を続ければ、誰も申し込んでくれなくなる。
『もう、どうすればいいのかしら』
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