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悪い聖女と愚かな王子
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「ええ!?」
ユースレスは声を上げた。
「いくら父上たちがいないときを狙うといっても……さすがに処刑までは」
「あくまでパフォーマンスです。本当に処刑するわけではありません。偽物聖女として追い落としながらも、ディアさんを王家が所有する理由づくりが必要なんです」
イルミテラの言葉に、ユースレスは深く頷いた。
「そりゃあそうできればいいけど。父上はディアが王家の管理下にあれば満足するはずなんだ。公然と所有できる理由があれば、今回のこともきっとすんなり納得してくれる」
「そのための公開処刑です。まずは、ディアさんの聖女としての神聖性を失墜させたいのです。彼女のみっともなく人間臭い姿を見せて、偽物聖女の烙印を確固たるものにします。そうすれば、他国に奪われたり、第三者に庇いだてされることはないはずです」
「みっともなく人間臭い……つまり、処刑すると脅して、泣きわめいて命乞いでもさせるってことか?」
「そうです。それもできれば、たくさんの人の前で」
「なるほど、それで平民でも見られる公開処刑にするんだな。でも、そのあとは?」
「もちろん彼女は許しを請うでしょう。『なんでもするから助けてほしい』とか『心を入れ替える』とか言うはずです。そのときに、殿下は許してあげればいいのです。『王家に尽くし、罪を償いなさい』と命令付きでね」
「確かに、そうすれば……王家で所有するのが不自然じゃなくなる。ついでに、寛大な王子として、私の評価が上がるかもしれないな」
いたずらっぽく笑うユースレスに、イルミテラも嬉しそうにしなだれかかる。
ふたりは楽しい逢瀬の合間に、聖女を引きずり下ろす計画を着々と進めていた。
「あとは、ディアさんを王宮でしっかり飼い慣らせば大丈夫。例えば、わたくしの使用人にすればいつでも監視できますし、仕事も手伝わせられます」
ユースレスは、美しいだけでなく優秀な恋人にすっかり感心していた。
「驚いた!君って、とんでもない悪女じゃないか!」
「あら、失礼ですわね。わたくしは聖女でしてよ?」
寝台の上で、ふたりしてクスクスと笑い合った。
ユースレスは声を上げた。
「いくら父上たちがいないときを狙うといっても……さすがに処刑までは」
「あくまでパフォーマンスです。本当に処刑するわけではありません。偽物聖女として追い落としながらも、ディアさんを王家が所有する理由づくりが必要なんです」
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「そりゃあそうできればいいけど。父上はディアが王家の管理下にあれば満足するはずなんだ。公然と所有できる理由があれば、今回のこともきっとすんなり納得してくれる」
「そのための公開処刑です。まずは、ディアさんの聖女としての神聖性を失墜させたいのです。彼女のみっともなく人間臭い姿を見せて、偽物聖女の烙印を確固たるものにします。そうすれば、他国に奪われたり、第三者に庇いだてされることはないはずです」
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「そうです。それもできれば、たくさんの人の前で」
「なるほど、それで平民でも見られる公開処刑にするんだな。でも、そのあとは?」
「もちろん彼女は許しを請うでしょう。『なんでもするから助けてほしい』とか『心を入れ替える』とか言うはずです。そのときに、殿下は許してあげればいいのです。『王家に尽くし、罪を償いなさい』と命令付きでね」
「確かに、そうすれば……王家で所有するのが不自然じゃなくなる。ついでに、寛大な王子として、私の評価が上がるかもしれないな」
いたずらっぽく笑うユースレスに、イルミテラも嬉しそうにしなだれかかる。
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「あとは、ディアさんを王宮でしっかり飼い慣らせば大丈夫。例えば、わたくしの使用人にすればいつでも監視できますし、仕事も手伝わせられます」
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