【完結】熟読しましたが、そんな設定はどこにもありませんでした

久乃り

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第8話 裏ルート突入

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 有り得ない。
 僕は自分の置かれている状況を確認するのに、随分と時間がかかった。
 目が覚めて、頭が痛いのも気持ちが悪いのも無くなっているのは助かった。

 だがしかし・・・

 僕はゆっくりと自分の状態について考える。
 まず、ここはどこだ?
 転生もののお約束である。『知らない天井』って、今更だ。

 窓のない部屋。

 ぼんやりとしたあかりが見える。
 小さなランプが置かれているようだ。
 僕が怯えないようにかな?

「目が覚めて、これじゃあ、ねぇ」

 僕は、自分の状態を把握して、ため息をついた。
 まず、服を着ていない。
 拘束されている。
 これで真っ暗闇にいたとしたら、泣き叫んでいるだろう。
 もはや、恐怖しかない。
 が、わずかだけど明かりがある。
 おかげで恐怖しなくてすんだけれど、代わりに自分の状態をしっかり把握出来てしまって、絶望的な気分になった。

 腕を動かして、自分の腕を見る。
 手首に嵌められている枷は、御丁寧に内側にはなめし革が貼られていて、僕の手首が傷つかないようにされていた。

 何もしなくても見えてしまう僕の下半身。
 膝の上あたりの太腿に、少し太めの革ベルトが巻かれていて、しっかりと開かされた状態で拘束されている。繋がる先は両手の鎖よりも外側。

「なんでこんなことに?」

 おかしい、熟読したあの官能小説に、こんな展開は書かれていなかった。もちろん、悪役令息である僕が、誰かにこんなことをしたなんてこともない。
 考えたくはないけれど、これって『監禁』だ。
 それと、僕の状態から言って『陵辱』されるのではないだろうか?

 問題は、『誰に』ってことだけど。

 窓がないため、時間の経過が分からない。
 色々考えてはいるけれど、目が覚めてからどれぐらいの時間がたったのかさえ分からない。
 それと、僕はどれくらいのあいだ寝ていたのだろう?

 叔母様の屋敷から領地に戻るまで、一日以上、領地から首都まで馬車で5日ほど。乗り継ぎとか考えて、七日間はかかってるはずだ。
 で、この部屋にこんな格好で監禁されるのに、小一時間?
 まてよ、確か、途中で王子になにか飲まされたなぁ。

 あの錠剤、なんだったんだろう?

 この状況から考えると、睡眠薬関係だと思うんだよね。こんなことされても起きなかったんだから。
 さて、お約束通りなら、そろそろ僕をこんな状態にしたご本人がやってくる頃合いなんだけどな。

 鍵が回る音がして、扉が開いた。

 ランタンを手にして現れたのは、やはり王子だった。

「ああ、フィンリィ。起きていたんだね」

 王子はそう言って僕に近づいてきた。
 僕は黙って王子を見つめる。別に声が出ないわけじゃない。たんに、なんて言ったらいいのか分からないだけだ。

「おはよう、よく眠れたみたいだね」

 王子は嬉しそうに僕の髪を撫でた。
 眠れたって、随分だと思う。正しくは眠らされていた。んだけどね。

「お腹すいてないかい?喉は?」

 そんなことを聞かれたけれど、不思議と僕はお腹も空いていなければ、喉もかわいていなかった。さきほど、盛大な独り言もなんなく口にできた。

「答えて?」

 王子が僕の両頬を手で包み込み、瞳を覗き込んできた。暗い色をした瞳に僕が映り込んでいる。

「べつに」

 なんと答えるのが、正解かわからなくて、僕は拗ねたような感じで答えた。

 これはだいぶまずい。

 監禁ルートなんて聞いてない。

 そもそもここは官能小説の世界なのだから、別ルートが出現するなんてありえないんだ。
 なのに、どうして今こんな状況なんだろう。

「色々、聞きたいことがあるんだけど」

 王子が僕にぐっと近づいた。
 そのせいでベッドが、音を立てる。

「なにを?」

 こんな状況になっても、僕はしおらしくなんてするつもりはなかった。悪役令息らしく振る舞うしかない。

「本当に、私の名前を忘れてしまったの?」

 その質問か。
 そうだった、王子の名前を思い出そうとして、頭がものすごく痛くなって、僕は気を失ったんだった。
 目が覚めたら強制力みたいなので思い出しているかと思ったけれど、残念ながら思い出してはいなかった。

「わ、分かんない」

 僕は首を左右に振った。

「困った子だね?私の事だけ綺麗に忘れてしまうだなんて」

 王子はうっそりとした顔をして、僕の頬を撫でる。暗い色をした瞳には、仄暗いなにかがチラチラと顔を覗かせていた。

「な、名前を思い出せないだけ」

 僕がそう言うと、王子は薄く笑った。

「そうかな?私との関係も忘れてしまっているのに?」

 何を言っているのだろう?
 王子と僕の関係ぐらい覚えてる。

「忘れてなんかいない。婚約者だよ」

 僕がそう答えると、王子は僕の頭を優しく撫でた。

「そう、偉いね。でも、気持ちまでは思い出してくれてはいないね?」

 そう言って王子は微笑むけれど、僕は何故か背中が寒くなった。なんだろう、この感じ。肌が粟立つような奇妙な感じがする。

「私にとっては都合がいいのだけれど、伯爵にとっては不都合らしい、ね?」

 そう言って、王子は僕の体の中心線を指でなぞる。バキバキに割れている訳では無いけれど、そこそこ見える腹の筋肉の筋を通り、さらけ出されている僕の股間に到達した。
 晒されすぎて萎えている僕の股間。そこを、指先でつっ、と撫でた。

「……っ」

 思わず反応してしまったのは仕方が無いと思う。
 叔母様の邸から、ずっと僕は王子に、股間を潰されるのではないかと思っていたのだから。

「ああ、でも、体は私のことを覚えているのかな?」

 王子はそう言って僕の股間を弄ぶ。
 そんなことをされても、残念ながら反応はできない。

「ねぇ、フィンリィ。確かめさせて?」

 この状況で、この体勢で、なにを確かめると言うのだろうか。

「確かめる?」

 僕は怪訝そうな声で問うた。
 だって、王子の言っていることがよく分からない。

「浮気はしていないことは確認させてもらったよ?」

 股間にいた王子の指が、重力に負けている僕の急所をなでて、その裏に隠れていた秘所に到達した。

「────!」

 声は出なかったけれど、どうにも喉がひきつる。
 ゾワゾワとしたなにかが僕の中に蠢いた。

「可愛い私のフィンリィ」

 王子はそう言って、僕の身体を撫で回した。
 なんだろう?凄く嫌な感じしかしない。

 拒絶

 警告

 僕の中で、負の感情がざわめきたつ。
 やっぱり、本当の僕は王子が嫌いなんだろう。
 触られても、ちっとも嬉しくない。

?」

 その、呪いにも似た言葉を聞いた途端、僕は目を見開いて悲鳴をあげた。

 怖い、怖い、怖い。

 あの夢の光景が蘇る。

 子どもの頃の僕。

 まだ幼い姿をした王子。

 与えられた恐怖と苦痛。

 逃げられない悪夢。

 その言葉を聞いた途端、激流のように僕の中で色々なものが浮かび上がる。

「あ、あぁ……ぃや、ぁ……赦し、て」

 僕の顔は恐怖に歪み、両の眼からは涙がこぼれ落ちる。逃げたくて、逃げたくて仕方がなかったのに、こうして捕らえられてしまったことに対する絶望。

「思い出したの?フィンリィ」

 王子が僕の頬を優しく撫でる。
 けれどそれは、僕にとっては更なる恐怖を産む以外何も無い。

「っぁ……あぁ、い、やぁ……」

 僕は頭を左右に振って、逃れようとするけれど、がっちりと拘束されていて、どうにもならない。頭の上ではガチャガチャと鎖の擦れる金属音が不愉快だ。

「フィンリィ、ちゃんと思い出せたか確認させて?」

 王子の手がゆっくりと僕の身体に降りてきた。
 胸の尖りを摘むと、ゆっくりと捏ね回す。優しい動きだけど、時折爪を立てて僕に、痛みを与えてくる。

「覚えているかなぁ」

 王子は嬉しそうにそう言うと、両方の尖りを指で弾いた。
 さらけ出したままの状態の僕の下半身を眺める。
 時間がたちすぎているのと、恐怖とで、僕の股間は萎えきっていて、あの程度の刺激では微動だにしなかった。

 王子は僕の股間をじっとりと眺めている。
 目を細めて、口元は緩く弧をえがいている。
 男のものなんて眺めて、何が嬉しいというのだろう?確かに、この世界は同性婚も普通に行われるけれど、王子という立場なら、子孫を残さなくてはいけないはずなのに。

 回りは何をしているんだろう。
 子孫繁栄のために、王子に女の子を紹介してやれよ!そうして僕を、婚約者からはずしてくれ。
 そうだ、ずっと僕はそう思っていたのに。
 それなのに、王子は僕から興味を失わない。それどころか、醜く太った白豚に成り下がったのに、全く意に介さなかった。

「痩せたから、皮が沢山余っちゃったのかな?恥ずかしそうに隠れてて、可愛いね」

 うるさい、余計なお世話だ。

 それは僕も気にしていたところなのに。

「可愛いなぁ、昔と変わらない、かな?」

 何言ってくれちゃってんの?
 昔と変わってるよ。
 ちゃんと大きくなりました。
 僕が羞恥に耐えかねて軽く睨みつけると、王子と目が合った。

「ウソウソ、ちゃんと大きくなってるよ、フィンリィ。でも、可愛いのは間違いないよ」

 そう言って、王子は優しく撫でできた。
 思わず股間がキュッとなる。

「ああ、ごめんね、怖がらせちゃったみたいだ」

 王子が、僕の股間を凝視している。どうやら、ほんとうにキュッとなってしまったらしい。

「寝ている間に確認はしたけれど」

 王子の指が、つぅと、入口付近を撫でた。
 長い間外気に晒されたそこは完全に乾いている。そこを、ゆるゆると指で擦ってきた。

「ぃ……やぁ…やめ、て」

 脳裏に蘇る恐怖の記憶。
 僕は目を見開いてソコを見た。

「あれ?思い出しちゃったのかな?」

 愉悦を孕んだ声で王子はそう言うと、僕の股間を指で弾いた。

「───────っ」

 思わず身体が震えた。
 拘束されているから、そんなに大きくは動けない。

「あの時みたいにしたら、思い出してくれるのかな?本当は思い出してくれなくてもいいんだけどね」

 王子はそんなことを、僕の下半身に語りかけている。

 いや、待って・・・

 どこが思い出すの?

「でも、傷つけたくはないなぁ」

 そう言って笑っている。
 僕はあの夢の記憶が蘇って、身体が小刻みに震えていた。

「ああ、やっぱり思い出しちゃった?ね、私の名前を呼んで?」

 僕はふるふると頭を左右に振った。
 思い出してるのはあの時の痛みと恐怖であって、王子の名前じゃない。

「思い出せていないの?本当に?」

 そんなことを言いながら、王子の指は相変わらず僕の乾いた入口をフニフニと撫でている。

「思い出して欲しいなぁ、二人の大切な思い出なんだから」

 フニフニと入口を刺激していた指が、不意に真ん中に突き刺さった。

「っひぃ」

 僕は思わず情けない声が出た。

  あの痛みが蘇る。

 ろくに慣らしてもいないところに、強引に捩じ込まれた激しい痛み。思わず全身に力が入った。

「ダメだよ、フィンリィ。チカラを抜いて?」

 王子の指が僕の中にいるらしい。多分、本当に指先の先だけなんだろうけれど、乾いたもの同士が擦れるのは良くない。

「は、はぁ……ぁぁ、ぃや、抜いて…お願い」

 僕には完全に恐怖でしかない。
 懇願するように口にすると、王子は薄く笑って指を抜いてくれた。
 その瞬間、僕の体は震えた。

「私を受け入れてくれたら思い出せると思うんだけどな」

 王子はそんなことを言って、僕のお尻を撫で回す。いつからこの体勢なのかな分からないけれど、力が入っていないから、僕のお尻はヤワヤワと簡単に揉まれていた。

「あの時みたいにしたら、きっと思い出せると思うよ?」

 王子はそう言うと、何かを持ってきて僕の股間に垂らした。

「っう、うぅぅ」

 冷たいものが股間に垂れて広がった。少し手で温めるとかそう言う配慮はないらしい。あの時と同じだ。
 垂らした何かをゆっくりと僕の股間で混ぜ合わせ、縮こまっていた急所も揉みしだく。そうしてまた、その裏に隠れていた箇所を指でつついて、なんの躊躇いもなく中心に突き刺してきた。

「ひっ」

 適度なヌメリを纏った指は、なんなく侵入してきた。

「力を抜いて、すぐに悦くなるから」

 王子はそう言って、楽しそうに僕の中心に指を突き刺して、胎内の様子を探っている。

「あっ……な、なに…が」

 王子の指が僕の胎内で、ぐりぐりと動くのに合わせて、なにか熱いうねりが奥に浸透してくる。
 それがどうにもあらがえない疼きになって、僕は腰を動かして逃れようとした。

「やっぱり、初めてだと効きがいいみたいだね」

 王子がそんなことを言いながら、さらに追加で液体を垂らしてきた。本来なら有り得ない場所で、有り得ない音がしている。嫌でも見えてしまう王子の行為。
 二本の指が出入りを繰り返し、時折広げる動作をする。その度に空気が入るのか、泥の中から長靴を引き抜いた時の様な、空気混じりのおかしな水音がした。

「効きがいい?」

 僕は王子の言っている意味がわからなくてききかえした。睡眠薬ならよく効いたみたいだけど。

「これは、ね。媚薬入りの潤滑剤なんだ。初めてでも快楽を得られるように特別な配合がなされている。痛みを感じないように弛緩剤と鎮痛剤の効果もあったかな?」

 なにやら楽しそうに言うけれど、王子の口から出てきた言葉はなにやらとんでもないことだった。
 媚薬入りの潤滑剤は、まぁ、ラブホでも売ってそうな気がするけど、鎮痛剤?痛いの無くなるの?弛緩剤?なんでそんな成分が必要?

「ほら、初めてだと変に力が入るだろう?あの時にこれを用意出来れば、私もお前も、もっと楽しめただろうに」

 何言ってくれちゃってんの?あの時って、十歳にも満たないような子どもが、潤滑剤とかの存在を知っていたら怖いよ。王族だから閨教育が始まっていたとしても、早いでしょ?覚えてないけど、きっと、僕はまだ精通してなかったと思うよ?

 僕が無言でいるのに、王子はまったくお構い無しだ。
 僕は油断すると自分の口からとんでもない声が出そうで、必死で歯を食いしばった。
 そんな僕を見て、それでも王子は楽しそうにしているのだから、始末が悪い。

「ああ、随分と効いてきた。凄いねフィンリィは」

 潤滑剤の中に仕込まれているらしい成分のせいで、僕は感覚が随分と無くなっていた。自分の目に映る光景を信じたくはない。どんなマニアックなAVなんだよ。ってぐらい王子の、指?手が・・・どこまではいってるの?

「あの時のように、お前を傷つけたくはないからね。念入りに解したよ」

 そう言って、王子は自分の下履の前をくつろげた。
 途端に出てきた王子のモノは、それこそAV男優かよ!ってツッコミたくなるほどグロテスクにご立派だった。
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