【完結】英雄が番になるって聞いたのになんか違う

久乃り

文字の大きさ
17 / 19

第17話 受け入れてみた

しおりを挟む
 アルグレイトが、啄むように俺の頭からゆっくりと唇を落としていき、顔中に触れてくる。
 俺は目を閉じて、それをそのまま受け止める。

 背中に回された手は、ゆっくりと上下に動いていた。胸に回されていた手が、いつの間にかに反対側を弄り始めていて、さっきとは違う動きをしていた。シャツの上からとはいえ、すでに反応してしまっているために、アルグレイトの指や爪が引っかかる。軽く弾かれるように弄ばれると、その度に身体が跳ねるように反応してしまう。

 俺の身体が揺れる度に、濃厚な匂いが混ぜられて、辺りに広まるのが分かる。その匂いで、更に身体の熱が高まっていく。

「っんあ……あ…あ…あぁ……」

 アルグレイトがゆっくりと降りてきていて、首筋から鎖骨にかけてを一気に舐めてきた。それに合わせてるかのように、尖りを爪で強く弾かれた。
 背中が仰け反った反動で、後ろに倒れそうになったが、背中に回されていたアルグレイトの手がしっかりと俺を支える。

「……っはん…ん……」

 俺を片手で支えているのに、アルグレイトは俺の鎖骨の辺りを強く吸って、左から右へと移動して行く。その間も、指先で俺の尖りを弄ぶのをやめない。
 俺は背を反らしたまま、アルグレイトのすることを受け止め続ける。支えられたままでも、強い刺激を受けると身体が跳ねるように動くし、下腹の辺りがどんどん熱くなってきた。

「ひゃ…っ……っあ…な、なに…なに…して…」

 身体がささえられたままだから、アルグレイトが何をしているのか、ちゃんと見えている。俺の胸に、アルグレイトの舌がゆっくりと触れていく。舐めようとしているのでは無く、舌先だけか尖りに触れていて、軽い刺激が背中に響く。

 けれど、もう片方は相変わらず指先で弄ばれていて、俺が見ているとわかってか、見せつけるように、2本の指でシャツを押さえてその尖りを浮き上がらせた。

「あっや、やだ、やだよ」

 そうなることは知っていたけれど、それを見せられるのは恥ずかしすぎて、目を逸らしたい。目を閉じれば自分には見えないが、アルグレイトはそれを見て愉しんでいると思うと耐えられなかった。

「嫌ですか?こんなにかわいいのに」

 尖りのそばで喋るから、息がかかって俺のは焦れて仕方がない。そんなことを言いつつも、銀縁メガネの奥からアルグレイトは俺を見ていて、見せつけるように舌で尖りをひと舐めした。

「…っひゃぁぁぁぁぁぁん」

 自分では試したことの無い刺激だったため、予測不可能なことに為す術なく嬌声をあげる。もはや背を仰け反らせるとか、そんな問題ではなく、完全にアルグレイトに全身を預けている状態だ。

「なんて、かわいらしい」

 アルグレイトはそう言うと、胸を弄んでいた指を下へと動かした。肌を一気に滑って、臍でとまると、窪みを指で撫でる。

 そこも自分では触ったことがなかった。

 身体の穴は全て感じる。とは聞いたことがあるが、臍も穴なのか?
 爪先が引っ掻くように動くと、ダイレクトに下腹に刺激が届いて、腰が揺れる。

「あっ…な、なんで……そこ、で?」

 自分の身体の反応が信じられなくて、手が動いてアルグレイトの手を止めようとした。けれど、アルグレイトは俺の手の動きより早く、俺の下着に指を掛けて一気に引き抜いた。
 一瞬で外気に晒されて、俺の下半身は一瞬冷えたが、それでも中心はゆっくりと主張をしていた。

「やっ…やぁだぁ」

 自分がそんなになっていたことが恥ずかしくて、俺は思わず伸ばした手を、自分の顔の前に戻した。ずっとアルグレイトの服を掴んでいたのだけれど、その手も顔の前に戻して、両手で顔を隠すしかない。
 下着を取られて気づいたけれど、俺の下半身は前も後ろもぐっしょりと濡れていた。
 キスしてちょっと、触られただけなのに。

「顔を隠さないで頂けると嬉しいのですが…それよりも、隠すのは顔でよろしいんですか?」

 アルグレイトはそう言うと、俺のやんわりと
主張をしているそこに、そっと手を添えた。

「あっ、やだっ」

 そう言われればもっともなので、俺は慌ててそちらに手を伸ばす。けれど、アルグレイトに阻まれて素直にアルグレイトの胸に抱きつく形になった。
 この体勢で隠せているかは分からないけれど、顔を見えないし、密着すれば隠れているはず。

「積極的なことで」

 頭の上で喉を震わせるように、アルグレイトが笑っている。いや、だって、見られたくないし、見たくないし、こうすれば触れない、はず?

「後ろもトロトロなんですよ」

 腰をひと撫でして、アルグレイトの手がそのまま下に来た。

「ひゃぁん」

 指で開かされたのがわかって、腰が跳ねた。
 指が入口を軽く叩くと、水音がハッキリと聞こえてくる。
 知ってはいたけれど、敢えてそうされるととてつもなく恥ずかしいものだ。

「ここは、いいんですね?」

 どの指がどう動いているのか分からないけれど、隠れている場所を開かれて、そこに指を這われているのは、ハッキリとわかった。
 アルグレイトがいう『ここ』がどこだか分かってるし、最終的にはそうすることも分かってはいるけれど、俺は結局一番大きいディルドを試していないのだ。
 たぶん、一番大きいのが入らないとαのものには耐えられないと思う。
 思うんだけど、怖くて試せなかった。

「3年間、ここはどうされてましたか?」

 アルグレイトの指が、入口を撫でる。多分、この体勢だと自然に開いている。恥ずかしいけど、絶対に開いている。
 だって、指が触れる度に聞こえる水音は、そんな感じに聞こえるし、一番敏感な入口の皮膚に触れる感触が、皮膚だけでなく粘膜も触られていると感じているのだ。

「やっ、やだ」

 胸に縋り付くような体勢のまま、俺は腕に力をこめた。

「嫌なんですか?」

 かなり耳元でアルグレイトの声がした。声は優しいのに、どこか意地の悪い響きがあった。
 縋り付いているからか、俺はアルグレイトの匂いをたっぶりと嗅ぎすぎて、少しおかしくなっていた。

「そ、そうじゃ、なくて」

 顔を上げると、アルグレイトの顔があった。
 もっと、もっと、この匂いを嗅ぎたい。もっと欲しい。

「……欲しい」

 アルグレイトの着ているのは、騎士服と少しデザインの違う制服だった。俺は釦に手をかけて、外していく。アルグレイトの肌が見えるとそこに顔を押し付けた。
 アルグレイトの匂いが肺いっぱいに入ってくる。

 俺がそうしているうちに、アルグレイトは自身の下履を緩めてくつろがせていた。
 アルグレイトの中心が俺の太腿に当たっている。でも、この体勢だから見えない。見えない。

 俺はアルグレイトの匂いを追うように頭を移動させていく、釦を外したけれど、匂いが強いのは胸や腹ではない。もっと上、アルグレイトの肩を掴んで自分の体を上へと持ち上げる。首筋の辺りで一層強くなる匂い。甘い香りと言えばそれまでだけど、お菓子とかクリームとは違う甘さだ。
 花のような、人によってはむせ返るような甘い花の香り。見知らぬ花畑にでもいるような感覚になる。

「もっと……欲しい」

 アルグレイトの首筋を舐めると、うっすらとかいている汗も甘い。香りが鼻から抜けるのが甘いのか、舌に乗るそれが甘いのか、理解は出来ないけれど、俺が求める甘さがあった。

「いくらでも、どうぞ」

 アルグレイトはそう言って、上着を全部脱いでくれた。上着が肩から抜けた時、また匂いがふわっと周りに広がった。

「キス…したい」

 俺はそう言って自分で唇を重ねに行った。
 やっぱり口の中も甘くて、むせ返りそうなその匂いも、何もかも俺には堪らない。
 俺からしたはずなのに、アルグレイトが角度を変えてくるから、時々銀縁メガネが頬にあたる。

「んっ…んっ……」

 上顎を舐められると、背中に何かが走った。思わず身体が小刻みに震える。けれど、キスは止められない。
 上顎を舐められると、唾液が沢山出てきた気がするのに、それはアルグレイトがすべて舐めとって、飲み込んでいく。

 いや、俺も欲しい。

 欲しいから、俺もアルグレイトの舌に吸い付くのに、アルグレイトに絡め取られていく。焦れて俺がアルグレイトの後頭部に、手を回すと、アルグレイトの手も俺の後頭部に回された。
 すっごく深く差し込まれているのに、苦しいとは思わない。逆にこのままでいいと思ってしまう。

 飲み込んでいるのか、それとも混じりあっているのか、口の中にで水音か響く。それが口内でこもって、頭の中に響く。

 ほかの音が聞こえない。

 其れが心地よい。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?

krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」 突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。 なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!? 全力すれ違いラブコメファンタジーBL! 支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」 魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で――― 義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!

妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。

藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。 妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、 彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。 だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、 なぜかアラン本人に興味を持ち始める。 「君は、なぜそこまで必死なんだ?」 「妹のためです!」 ……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。 妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。 ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。 そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。 断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。 誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

偽物勇者は愛を乞う

きっせつ
BL
ある日。異世界から本物の勇者が召喚された。 六年間、左目を失いながらも勇者として戦い続けたニルは偽物の烙印を押され、勇者パーティから追い出されてしまう。 偽物勇者として逃げるように人里離れた森の奥の小屋で隠遁生活をし始めたニル。悲嘆に暮れる…事はなく、勇者の重圧から解放された彼は没落人生を楽しもうとして居た矢先、何故か勇者パーティとして今も戦っている筈の騎士が彼の前に現れて……。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

処理中です...