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その3
しおりを挟む「……閨での、武器……」
眼前にある皇帝アインバッハの股間を見て、ユノハイムは考え込んだ。ユノハイムが仕えるエリシアと皇帝アインバッハが顔を合わせたのは、入城の際の一度きりである。名を呼び顔を確認した。ただそれだけである。政略結婚であるから、そんなものだといわれて納得したものだ。その時にユノハイムも身体検査をされ、腰の剣を取り上げられたのだ。ユノハイムが知る限りエリシアは生娘だ。後宮の隅の方で虐げられながら生きてきた姫である。仕える侍女の数も少なく、ドレスも数える程しか持ち合わせていなかった。家庭教師もほとんど付けられなかったと聞いている。だからと言って、完全なる無知で無垢であるわけはない。後宮と言う女の溜まり場で生活してきたのなら、耳年増にならざるを得なかったのかもしれない。ただ、具体的に見たことがなければ、何とか知識を寄せ集めてユノハイムに指示を出してきたのかもしれない。だからこそのあの、居丈高なのだと納得するユノハイムなのであった。
「まだ分からんか?」
皇帝アインバッハが問いかける。
ゴクリと喉を鳴らし、ユノハイムは覚悟を決めた。これは皇帝の許しを得たのである。皇帝自らが検めよ。と言ってくれているのだ。つまりは無礼講なのである。
「よろしいのですか?」
四つん這いの体勢のまま、顔を上げてアインバッハに問いかける。ここまできてしまっては、もう後戻りなど出来るはずがない。仕える姫君エリシアの元に手ぶらで帰る訳にはいかなかった。
「我は可と申しておる」
堂々と、膝立ちでありながらも股間を見せつけるようにユノハイムの前に立ちはだかるアインバッハは、正に皇帝の風格が漂っていた。閨にやってきたと言う割にはなんともお高そうな寝間着を身につけていた。
「失礼を致します」
ユノハイムは皇帝の股間に手を伸ばした。まずは服を脱がせるところからだ。寝巻きであるからそこまで難しい作りはしていなかったようで、ズボンは難なく膝まで下げられた。次に下着に手をかけようとしたところで制止されてしまった。
「まて、皇帝たる我にどのような格好をさせるつもりだ」
ご最もである。
皇帝のズボンと下着を中途半端にずり下げるだなんて、どう考えてもみっともないことこの上ない。
「申し訳ございません」
慌ててズボンを膝から抜こうとすれば、意外にもアインバッハは協力的だった。そうしてするすると下着を脱ぐと、上は自分で勝手に脱いでくれたのだった。
「お前は何をしている?」
「え?」
言われて間抜けな声を上げたのはユノハイムであった。
「ここは閨ぞ?何故その方は服を着たままであるか」
アインバッハに指摘され、ユノハイムは自分の格好を改めて確認した。確かに、騎士服を着たままである。
いやしかし、ユノハイムは今仕事の最中である。騎士服を脱ぐだなんて、任務を放棄していることにならないだろうか?ユノハイムは自分をみて、それから皇帝アインバッハを見た。アインバッハは堂々と己の武器を晒しいる。
「その方は我に輿入れをする姫の騎士であろう。ならば我はもはやその方の主に違いなかろう」
「はっ、確かにそうでございます」
ユノハイムは大慌てで騎士服を脱ぎ始めた。しかし、慌てるものだからなかなかボタンが外せない。何しろ騎士服というものは、見栄えが重視されすぎて、実用性に乏しいのだ。
「慌てずとも良い」
そう言ってアインバッハは寝台の上であぐらをかいた。そのような座り方をしたから、当然男の武器はしっかりと見せつけるられている。皇帝を待たせていると言う焦りはあるものの、騎士としての矜恃なのか、ユノハイムは脱いだ服をキチンと丁寧に畳んでいた。そして畳んだ服をどうしようかと辺りをキョロキョロと見渡しいる。もちろん、そんなユノハイムの態度をアインバッハは面白そうに眺めていた。
「この部屋にはこの寝台しか家具はないぞ」
言われてユノハイムが振り返る。せっかく畳んだ服を両手でしっかりとつかみ、困り顔である。まぁ素っ裸ではあるけれど。
「強いていえば、ここにあるサイドテーブルぐらいだな。載せることぐらいはできそうだ」
アインバッハが顎で指し示す先に、確かに小ぶりなサイドテーブルがあった。一応水差しが置かれているのだが、ユノハイムが頑張って畳んだから、何とか水差しの隣には置けそうである。
「失礼致します」
ユノハイムは一礼をして畳んだ騎士服をサイドテーブルの上に置いた。すこしはみ出しはしたものの、落ちることはなさそうである。
「さて、では検めようではないか」
アインバッハがそう言って、ユノハイムを手招いた。胡座をかいているアインバッハの正面にユノハイムが膝をつき、アインバッハの股間を凝視する。
「どうだ?」
そんなことを言われても、なんと答えるのが正解なのかユノハイムには分からなかった。これが夜の店の女なら「ご立派でございますこと」なんて答えれば正解なのだろう。だがしかし、ユノハイムは騎士である。仕える姫の命を受けて閨での皇帝の武器を確認しに来たのである。と、言うことは褒めると言うようなことは必要ではない。そう判断してユノハイムは自分の顔をさらにアインバッハの股間に近づけた。
「こ、これはなかなか」
ユノハイムが見つめたからなのかどうかは分からないが、アインバッハの股間の武器がグッと質量を増しユノハイムの鼻先にまで伸びてきた。そしてぴょこぴょこと左右に揺れて独特なかぐわしい香りを振りまいてくれた。
「う、動かれては確認が取り辛いのですが」
ユノハイムはそう言って、両手であろうことか皇帝の武器をむんずと掴んでしまった。もちろん加減はしたが、それでも武器ではあるが、同時に急所でもあるのだ。
「ぐっ」
くぐもったアインバッハの声が頭上からして、ユノハイムは自分のしでかした失態に気がついた。
「も、申し訳ございません」
慌てて手を離し、頭を深々と下げたところでそこは皇帝アインバッハの股間なのであった。
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