高嶺の上司の優しいCommand

久乃り

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その7

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 形の良い、よく整えられた爪がピカピカに光っている。その爪を山本に見せるようにして、来い来いとジェスチャーをした。Commandを言われたので、山本は素直に従った。この会社に入って初めて心地の良いCommandだった。拒むつもりなど毛頭なく、山本は芝崎課長について給湯室に入っていった。

「っ……」

 給湯室に入り、山本はその内部が自分の知っている給湯室とあまりにも違っていたことに驚いた。ガスコンロがあり、流しがあることは変わりはないが、冷蔵庫がずいぶんと大きかった。そうして、その空間の広さがまずおかしかった。

「鍵をかけて」

 芝崎課長に言われて山本は振り返り鍵をかけた。ほんのわずかではあるが、芝崎課長からGlareが出ているのを感じていた。これから起きることへの不安と期待が入り混じる。

「山本くん、《Strip》下だけだ」

 予想外のCommandに山本の肩が揺れた。仕業中の会社の中でまさかそのようなCommandが出されるとは思っていなかった。確かに、鍵をかけた時点で何かあると予測はしたけれど、時間的にずいぶんと速い。

「脱いだものはそこのテーブルに置きなさい」

 言われて山本は脱いだスラックスをたたんでテーブルに置いた。

「《Stop》山本くん、両手を脇に」

 山本は言われるままに直立した姿勢のまま両手を脇につけ、いわゆる気をつけの姿勢をとった。

 「山本くん、それはなに?《Say》」

 そのCommandに山本の肩が大きく揺れた。スラックスを脱いで直立の姿勢をとっている。ワイシャツの裾が若干かかっているとはいえ、山本の下着ははっきりと見えていた。そこを指さしたわけではないが、自分自身で分かっているから山本の口は開いては閉じてを繰り返す。だが、Commandがだされてしまった以上、山本に抗うすべはなかった。

「せ……あ、汚し、ました」

 何とか口にした言葉ではあるが、芝崎課長は満足してはくれなかった。

「何で?答えて山本くん《Say》」

 再びのCommandに山本の体が小刻みに震えた。だが、同時に自分にだけ出されているGlareに心地よささえ感じてしまった。

「せ、いえきで、汚しました」

 山本がそう答えると、芝崎課長が山本に一歩近づき大きな根の平で頭をなでた。

「《Good》よく言えた。偉いよ」

 そう言われ山本の頬が赤くなる。Commandに応じられたこととそれを褒められたことで高揚しているらしい。
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