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一章
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感謝状を受け取って3日後。
俺は感謝状を受け取った帰り、100円ショップで額縁を買った。
値段は300円となっていて『100円ショップとは?』となったがあまり気にしないで家に帰った。
俺は額縁に飾られた感謝状を見ながら余韻に浸っていた。
というのも、俺が感謝状を受け取ったという事が昨日全国ニュースで報道された。
一日だけ報道されたというのなら余韻も昨日で終わっているのだが、なんと今日の朝も【女性を救ったヒーロー集団!?】という内容で朝のニュース番組でも取り上げられていたのだ。
気分は最高、先日まで思っていた死んでやるという気持ちも全然無い。
外に出てみると人生は案外変わるものなのだな。
そう思っていると『ピンポーン』とチャイムが鳴った。
俺の住むアパートは壁が薄い。
チャイムが押されたと思い扉を開けてみても三件隣の部屋だったり、またチャイムが鳴ったと思い扉を開けてもやっぱり隣の部屋だったりという事が多々ある。
どうせ今日も隣かその隣だろうと思いながら扉を開けてみた。
「やっと見つけましたよ……! 池端真崎さん……!」
俺の脳内は?で埋め尽くされた。
それもそのはず、扉を開けた先に居たのは白いワンピースに身を包んだ女性。
麦わら帽子から漏れた長い黒髪、一本一本艶があり全てまとまっている。
誰だと思いふと顔を見てみると、先日卒業し俺の推しだった藍沢奈菜美に似ていた。
しかし正面から見ても大きな麦わら帽子が影を作り、顔をハッキリと確認することが出来ない。
訳も分からず俺がポカンとしているとななみんに似た女性は「とりあえず、中に入らせていただきますね」と強引に中に入って来た。
「おい、勝手に入られるのは困る。えっと、お前は誰だ」
困惑しながら俺がそう言うと「それも込みでお話するので中に入れてください、きっと長くなるので立ち話は嫌なんです」と言った。
俺は頭をボリボリと掻きながら「分かったよ……」と仕方なさそうに言い、彼女を家に上げた。
「うわ……きったな……」
部屋に入って早々、彼女は小声でそのような事を言った。
小さくて上手く聞き取ることは出来なかったが、多分俺を汚すようなことを言ったに違いない。
「心外だ、そんな事を言うなら帰ってくれ」
「あ、いえいえそう言う訳じゃないんです! ごめんなさい!」
ため息を吐きながら「はいはい、汚いのは悪かった。そこに座ってくれ」と不貞腐れ気味でそう言った。
彼女は促されるまま、小さなちゃぶ台の前に敷かれた座布団の上に腰を下ろした。
俺が冷蔵庫から2Lのお茶を取り出して、小汚いキッチンに置かれた袋の中から紙コップを取り出した。
「それ、汚くないですよね……?」
「汚くねぇよ、毎回こっから取り出して使ってんだから。あーでも、シンクは汚いけどな」
俺がニヤケながら紙コップにお茶を注いでいく。
注ぎ終わり、お茶でなみなみになった紙コップを彼女の前に出した。
俺も座布団に腰を下ろし、彼女の方を見ながらお茶を一口飲んだ。
「まあ、そんなに硬くならないでくれ。襲ったりとかしないから」
「そういう事を言う人こそ、襲って来たりするんじゃないですか?」
言われてみればアニメとかでもそうだなと思いつつ、俺は苦笑しながら「ハハハ、そうかもな……」とそう言った。
彼女はゴミを見るような目をしながらため息を吐き「じゃあ話をします」と言ってきた。
俺も真剣に聞かなければならないと思い「分かりました」と気合の入った声で言った。
「ではまず、自己紹介からします。私の名前は坂本奈菜美、お気づきかもしれませんが、最近卒業した虹ノ夢49の藍沢奈菜美です」
意外にもあっさりと正体を明かしたことに俺は拍子抜けした。
顔は似ていたし、ライブ映像から感じた雰囲気とそっくりだったのでまさかとは思ったが。
だが、こんな機密な情報を見ず知らずの人に漏洩してしまっても良いのだろうか?
驚きよりもなぜか心配が勝ってしまっている。
「えっと虹ノ夢の件は知っていますし、なんなら俺はななみん推しだったので……」
「へぇ~、案外驚かないんですね」
「いや、驚きよりも心配が勝っていますね……」
奈菜美さんは「え? なんでですか?」と訳が分かってなさそうな顔をしながら聞いて来た。
理解できていないのかと思い、呆れ気味に話を続ける。
「いやだって、もし俺がすご~く悪い人だったとしますよ?」
「はい」
「それでじゃあ例えばここであなたを襲います、そして襲っている姿を撮影します」
「……」
「それをえーと、じゃあ例えば弱みとして自分がずっと握るとします」
「……」
「するとどうなるでしょうか?」
「私は一生あなたに怯えて生きなければならない……」
事の重大さが分かったのか、真剣だった顔も一気に暗くなってしまった。
まあ、俺は童貞だし女性経験も無いから襲いたいという気持ちが無いわけではない。
それでも目の前に居る女性は俺の推しで、なにより高嶺の花だ。
そんな人を傷つけるようなことはできない。
「まあそれだけではないでしょうが、あなたはきっとまともに生きていけなくなってしまいますよ?」
「はい……」
「だから、容易に自分の個人情報を公開してはいけません」
「すみませんでした……」
流石に、ニートになって元超人気アイドルに説教する日が来るなんて思わなかった。
でも、これは彼女にとって良い社会経験になるのではないか。
そう思う事にしよう。
人間とは不安になってしまうと、すぐに間が空いてしまう。
それを避けるためにはすぐに別の話題に話を戻さないといけない。
「脱線してしまったな、話を戻そう。それで発言的にだが、なんで俺を探していたんだ?」
なるべく怒っていないような雰囲気を出し、優しめな声で話しかけた。
すると奈菜美さんは顔を上げ、真剣な表情に戻すと話し始めた。
「はい、まず私があなたを探していた理由は単刀直入に言うとおばあちゃんからあなたに会いたいっていうのと良い人を見つけたと言われたからです」
良い人を見つけた?
さっぱり意味がわからん。
「多分これだけじゃ分からないですよね、説明します」
「頼んだ」
「まず、私には両親が居ません」
おうっ、急に重たい話が来た。
「なぜ?」
「貰い事故で死にました。父と母は二人ともテレビの業界に居たのですが、ロケの移動中に飲酒運転の車に猛スピードで突っ込まれて、その時は他のディレクターさんやタレントさんも乗っていたのですが後ろの席に居た母と父だけが死にました……すみません、何か説明下手ですね……」
凄く切ない声で話す彼女の姿に、俺は悲しくなってしまった。
彼女の瞳を見てみると涙をこらえているのか涙目になっていた。
何歳の時に死んだのか分からないが、まだ18歳の少女が両親を奪われる。
それがどんなに辛い事だか、俺には分かる。
奈菜美さんの事を思ったら、涙が出てきた。
「え、ちょっと何で泣いてるんですか!?」
「その気持ち、俺も分かるんだ」
奈菜美さんは訳が分からないような顔をしていて、俺を泣かせてしまったと思っているのか焦った表情をしている。
「実は、俺も母を事故で亡くしているんだ」
「えっ……」
そう、俺も貰い事故で母を亡くしている。
俺が7歳の時、母が「買い物に行ってくるね~」と父と俺、そして生まれたばかりの妹を家に残して家を出た。
そして1時間、2時間、3時間しても帰って来ない母を心配して父が警察に電話しようとした時に家の固定電話が鳴った。
父が受話器を取るや否や泣き始めたのを鮮明に覚えている。
その時母は、近くのスーパーに行くだけだったので徒歩でスーパーに向かっていたのだ。
だが、スーパーに行く道にある一つしかない横断歩道。
母はそこで轢かれた。
しかも、天気が悪く夜だったこともあり母は何台もの車に轢かれた。
そのため遺体はぐしゃぐしゃになっていて顔は原型をとどめていなかった。
そんな事を端的に奈菜美さんに話した。
「ひっぐ……ひっぐ……そんなの……私よりも酷い……」
奈菜美さんは同情のあまり泣いてしまい、顔と耳を真っ赤していた。
「そんな、泣かないでくださいよ」
「すみません……」
なんだが似た者同士だな。
ふいにそんな風に思いながら、俺は奈菜美さんが落ち着くまで待つことにした。
俺は感謝状を受け取った帰り、100円ショップで額縁を買った。
値段は300円となっていて『100円ショップとは?』となったがあまり気にしないで家に帰った。
俺は額縁に飾られた感謝状を見ながら余韻に浸っていた。
というのも、俺が感謝状を受け取ったという事が昨日全国ニュースで報道された。
一日だけ報道されたというのなら余韻も昨日で終わっているのだが、なんと今日の朝も【女性を救ったヒーロー集団!?】という内容で朝のニュース番組でも取り上げられていたのだ。
気分は最高、先日まで思っていた死んでやるという気持ちも全然無い。
外に出てみると人生は案外変わるものなのだな。
そう思っていると『ピンポーン』とチャイムが鳴った。
俺の住むアパートは壁が薄い。
チャイムが押されたと思い扉を開けてみても三件隣の部屋だったり、またチャイムが鳴ったと思い扉を開けてもやっぱり隣の部屋だったりという事が多々ある。
どうせ今日も隣かその隣だろうと思いながら扉を開けてみた。
「やっと見つけましたよ……! 池端真崎さん……!」
俺の脳内は?で埋め尽くされた。
それもそのはず、扉を開けた先に居たのは白いワンピースに身を包んだ女性。
麦わら帽子から漏れた長い黒髪、一本一本艶があり全てまとまっている。
誰だと思いふと顔を見てみると、先日卒業し俺の推しだった藍沢奈菜美に似ていた。
しかし正面から見ても大きな麦わら帽子が影を作り、顔をハッキリと確認することが出来ない。
訳も分からず俺がポカンとしているとななみんに似た女性は「とりあえず、中に入らせていただきますね」と強引に中に入って来た。
「おい、勝手に入られるのは困る。えっと、お前は誰だ」
困惑しながら俺がそう言うと「それも込みでお話するので中に入れてください、きっと長くなるので立ち話は嫌なんです」と言った。
俺は頭をボリボリと掻きながら「分かったよ……」と仕方なさそうに言い、彼女を家に上げた。
「うわ……きったな……」
部屋に入って早々、彼女は小声でそのような事を言った。
小さくて上手く聞き取ることは出来なかったが、多分俺を汚すようなことを言ったに違いない。
「心外だ、そんな事を言うなら帰ってくれ」
「あ、いえいえそう言う訳じゃないんです! ごめんなさい!」
ため息を吐きながら「はいはい、汚いのは悪かった。そこに座ってくれ」と不貞腐れ気味でそう言った。
彼女は促されるまま、小さなちゃぶ台の前に敷かれた座布団の上に腰を下ろした。
俺が冷蔵庫から2Lのお茶を取り出して、小汚いキッチンに置かれた袋の中から紙コップを取り出した。
「それ、汚くないですよね……?」
「汚くねぇよ、毎回こっから取り出して使ってんだから。あーでも、シンクは汚いけどな」
俺がニヤケながら紙コップにお茶を注いでいく。
注ぎ終わり、お茶でなみなみになった紙コップを彼女の前に出した。
俺も座布団に腰を下ろし、彼女の方を見ながらお茶を一口飲んだ。
「まあ、そんなに硬くならないでくれ。襲ったりとかしないから」
「そういう事を言う人こそ、襲って来たりするんじゃないですか?」
言われてみればアニメとかでもそうだなと思いつつ、俺は苦笑しながら「ハハハ、そうかもな……」とそう言った。
彼女はゴミを見るような目をしながらため息を吐き「じゃあ話をします」と言ってきた。
俺も真剣に聞かなければならないと思い「分かりました」と気合の入った声で言った。
「ではまず、自己紹介からします。私の名前は坂本奈菜美、お気づきかもしれませんが、最近卒業した虹ノ夢49の藍沢奈菜美です」
意外にもあっさりと正体を明かしたことに俺は拍子抜けした。
顔は似ていたし、ライブ映像から感じた雰囲気とそっくりだったのでまさかとは思ったが。
だが、こんな機密な情報を見ず知らずの人に漏洩してしまっても良いのだろうか?
驚きよりもなぜか心配が勝ってしまっている。
「えっと虹ノ夢の件は知っていますし、なんなら俺はななみん推しだったので……」
「へぇ~、案外驚かないんですね」
「いや、驚きよりも心配が勝っていますね……」
奈菜美さんは「え? なんでですか?」と訳が分かってなさそうな顔をしながら聞いて来た。
理解できていないのかと思い、呆れ気味に話を続ける。
「いやだって、もし俺がすご~く悪い人だったとしますよ?」
「はい」
「それでじゃあ例えばここであなたを襲います、そして襲っている姿を撮影します」
「……」
「それをえーと、じゃあ例えば弱みとして自分がずっと握るとします」
「……」
「するとどうなるでしょうか?」
「私は一生あなたに怯えて生きなければならない……」
事の重大さが分かったのか、真剣だった顔も一気に暗くなってしまった。
まあ、俺は童貞だし女性経験も無いから襲いたいという気持ちが無いわけではない。
それでも目の前に居る女性は俺の推しで、なにより高嶺の花だ。
そんな人を傷つけるようなことはできない。
「まあそれだけではないでしょうが、あなたはきっとまともに生きていけなくなってしまいますよ?」
「はい……」
「だから、容易に自分の個人情報を公開してはいけません」
「すみませんでした……」
流石に、ニートになって元超人気アイドルに説教する日が来るなんて思わなかった。
でも、これは彼女にとって良い社会経験になるのではないか。
そう思う事にしよう。
人間とは不安になってしまうと、すぐに間が空いてしまう。
それを避けるためにはすぐに別の話題に話を戻さないといけない。
「脱線してしまったな、話を戻そう。それで発言的にだが、なんで俺を探していたんだ?」
なるべく怒っていないような雰囲気を出し、優しめな声で話しかけた。
すると奈菜美さんは顔を上げ、真剣な表情に戻すと話し始めた。
「はい、まず私があなたを探していた理由は単刀直入に言うとおばあちゃんからあなたに会いたいっていうのと良い人を見つけたと言われたからです」
良い人を見つけた?
さっぱり意味がわからん。
「多分これだけじゃ分からないですよね、説明します」
「頼んだ」
「まず、私には両親が居ません」
おうっ、急に重たい話が来た。
「なぜ?」
「貰い事故で死にました。父と母は二人ともテレビの業界に居たのですが、ロケの移動中に飲酒運転の車に猛スピードで突っ込まれて、その時は他のディレクターさんやタレントさんも乗っていたのですが後ろの席に居た母と父だけが死にました……すみません、何か説明下手ですね……」
凄く切ない声で話す彼女の姿に、俺は悲しくなってしまった。
彼女の瞳を見てみると涙をこらえているのか涙目になっていた。
何歳の時に死んだのか分からないが、まだ18歳の少女が両親を奪われる。
それがどんなに辛い事だか、俺には分かる。
奈菜美さんの事を思ったら、涙が出てきた。
「え、ちょっと何で泣いてるんですか!?」
「その気持ち、俺も分かるんだ」
奈菜美さんは訳が分からないような顔をしていて、俺を泣かせてしまったと思っているのか焦った表情をしている。
「実は、俺も母を事故で亡くしているんだ」
「えっ……」
そう、俺も貰い事故で母を亡くしている。
俺が7歳の時、母が「買い物に行ってくるね~」と父と俺、そして生まれたばかりの妹を家に残して家を出た。
そして1時間、2時間、3時間しても帰って来ない母を心配して父が警察に電話しようとした時に家の固定電話が鳴った。
父が受話器を取るや否や泣き始めたのを鮮明に覚えている。
その時母は、近くのスーパーに行くだけだったので徒歩でスーパーに向かっていたのだ。
だが、スーパーに行く道にある一つしかない横断歩道。
母はそこで轢かれた。
しかも、天気が悪く夜だったこともあり母は何台もの車に轢かれた。
そのため遺体はぐしゃぐしゃになっていて顔は原型をとどめていなかった。
そんな事を端的に奈菜美さんに話した。
「ひっぐ……ひっぐ……そんなの……私よりも酷い……」
奈菜美さんは同情のあまり泣いてしまい、顔と耳を真っ赤していた。
「そんな、泣かないでくださいよ」
「すみません……」
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ふいにそんな風に思いながら、俺は奈菜美さんが落ち着くまで待つことにした。
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