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42.住んでるマンション、高いらしい
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改札を抜け階段を上り外に出た。
体感温度は27度前後と言ったところだろうか、ムシムシとした暑さが体を蝕む。
体は汗まみれ、手もべちゃべちゃで気持ちが悪い。
そんな中、手に冷たい感触が走った。
この暑さの中、冷たい物が体に当たるととても気持ち良い。
この冷たさでプールや海水浴に行きたくってしまった。
「はい、はーちゃん。暑そうにしてたから」
「ありがとう」
絵梨香が渡してきたのは力水だった。
久々に力水を見た。
前ニュースかなんかで発売休止になった的な事を聞いたが、あれは嘘だったのだろうか。
パッケージには「DHA配合!」と大きく書かれている。
「力水、久々に見たから衝動買いしちゃった」
「絵梨香、衝動買いとかって言う難しい言葉知ってるんだね」
「はーちゃんは私を何だと思っているの?」
「すぐに私を襲っちゃうヘンタイさん」
「もっー-!」
喉の渇きを潤すため絵梨香から貰った力水を開けて、少量飲んだ。
味はただの水とほとんど変わりは無い。
力水はペットボトルではなく昔から缶で販売されている、内容量は300ml。
他の水と違うのは値段。
なんで300mlしか入っていない水に150円も使わなければいけないのか。
東京テレポート駅の自動販売機で販売されている力水は一本150円、お母さんに会いに行くために北海道に行った時空港で見かけたけど、それでも130円もした。
断然、いろはすを買った方が安い。
その点を踏まえても力水を買う絵梨香は流石お嬢様だと思った。
「もう、なんではーちゃんは私の事ヘンタイだと思ってるの!」
「だって、あったらすぐキス求めてくるじゃん」
絵梨香はバツが悪そうな顔をしたが「でも、今日はまだしてないじゃん!」と反論した。
まぁ、確かにそうだが。
「わかったわかった。てか何で力水くれたの?」
「はーちゃんが暑そうにしてたから」
「私を気遣ってくれたんだ、ありがとう」
「ー-っっ!!」
私がお礼を伝えると、絵梨香は顔を真っ赤にしてしまった。
いや、暑さでもとから真っ赤だった。
しかし、絵梨香の反応から見て照れていることは確実だ。
ふへへ、もう少し遊んでみるか。
「やっぱり、私の事大切にしてくれてるんだ」
「そ、そりゃあもちろんだよ!」
「じゃあ、私も絵梨香の事今も大切にしてるけどもっと大切にする」
絵梨香は両手で顔を覆って「なんでそんな事が平然と言えるの……」と恥ずかしがりながら言っている。
うーん、何かおかしなことを言っただろうか。
私は純粋な気持ちを絵梨香にそのまま伝えているだけなんだけどなぁ。
それにしても暑い、ほんと溶けてしまいそう。
去年の今頃は高校受験もあり勉強漬けの毎日だったから、家から出る事なんてほとんど無かった。
「いや~暑い。絵梨香、早く家行くよ」
「あ、うん」
「絵梨香が何かしてくれるんでしょ?」
「うん!はーちゃんにいっぱい尽くすから!」
「楽しみにしてる」
やっぱり、絵梨香と話している時が一番楽しい。
こんなに暑い中、話していても楽しくなるんだからよっぽど相性が良いのかな。
それとも、幼馴染だから?
まぁ、どってでも良いや。
私と絵梨香は家に向かって歩き出した。
さっき買って貰った力水はもう温くなっていた。
ほどなくして家に着いた。
「はーちゃんってさ、何気に良いマンションに住んでるよね」
「そうなの?」
「うん、ここってお台場で多分一番家賃が高いマンションだったはず。名前は確か、ザ・タワーズ台場って言うはず」
ほげぇ~と心の中で思ってしまう。
ここってそんなに凄いとこだったのか、言われてみればラウンジがあったり広い駐車場があったり行った事無いけどジムもあるらしい。
だけど絵梨香の家は東京では珍しい一軒家だ、それももの凄くでかい。
私の住んでいる部屋の1.5倍ほど広いと思うし部屋数もかなりある。
「どうでもいいや、暑い。早く行こう絵梨香」
「あ、うん」
自動ドアを通り、中に入るとそれはまさに天国というものだろか。
とんでもなく涼しく外の暑さが嘘みたいだ。
私達以外に人はおらず、私は郵便ポストを確認して何も入っていないことを確認してエレベーターの前まで来た。
ボタンを押すと一階で止まっていたのかすぐに扉が開き、乗り込むことが出来た。
エレベーターの中も一階ほどではないが外と比べるとだいぶ涼しく、嫌な気持ちになることも無かった。
④と書かれたボタンを押して私の部屋がある4階に向かう。
私の住むマンションは33階建てだ、なのでボタンも①から㉝まである。
程なくして4階についた。
「いや~涼しいね」
「ほんと、涼しい」
部屋の鍵を開け中に入る、ドアはオートロックなので閉める必要は無いが一応確認している。
鍵がしまった事を確認して中に入る。
部屋は一通り小太郎が管理してくれていたのか、特に汚い部分は見当たらない。
私は「荷物おいてくるから待ってて」と絵梨香に言い、荷物を自室に置いた。
「はーちゃん、お風呂借りて良い?」
「良いけど、着替えは?」
「何か適当にはーちゃんのやつ借りる」
「身長違うしあなたにはとーっても大きなお胸があるでしょう?」
「うそだって、ちゃんと泊まるために着替えは持ってきたから」
「そう、ならよかった。私はご飯作るかな、絵梨香何食べたい?」
「退院してすぐご飯を作らせるのはなんか嫌だけど、私料理出来ないしはーちゃんの作るものだったらなんでも食べる」
「わかった」
あの子、私の作る食べ物だったらなんでも食べると言ったな。
特に恨みは無いが少し意地悪してやろう、そう心に決めた。
絵梨香はとにかくほうれん草を嫌う。
私も知っているが小学生の頃、卵とほうれん草そしてそぼろ肉を混ぜた丼ものの給食が出たのだがほうれん草の独特の臭いとそぼろ肉のなんとも言えない臭いが混ぜ合わさってとんでもない物が出来上がっていた。
絵梨香はそれを食べていて、最初は美味しいと言っていたが段々笑顔が消えて行って最終的には皆の前で吐いてしまった。
それがトラウマになっているらしく、絶対にほうれん草だけは食べないと言い張るようになってしまった。
だから、私はほうれん草を使ったおかずを作ろうと思う。
主食は冷蔵庫の上にそうめんが見えたのでそうめんにする予定だが。
さぁ、ほうれん草で一品作ろうじゃないか!
私は気合を入れて冷蔵庫からほうれん草を取り出した。
体感温度は27度前後と言ったところだろうか、ムシムシとした暑さが体を蝕む。
体は汗まみれ、手もべちゃべちゃで気持ちが悪い。
そんな中、手に冷たい感触が走った。
この暑さの中、冷たい物が体に当たるととても気持ち良い。
この冷たさでプールや海水浴に行きたくってしまった。
「はい、はーちゃん。暑そうにしてたから」
「ありがとう」
絵梨香が渡してきたのは力水だった。
久々に力水を見た。
前ニュースかなんかで発売休止になった的な事を聞いたが、あれは嘘だったのだろうか。
パッケージには「DHA配合!」と大きく書かれている。
「力水、久々に見たから衝動買いしちゃった」
「絵梨香、衝動買いとかって言う難しい言葉知ってるんだね」
「はーちゃんは私を何だと思っているの?」
「すぐに私を襲っちゃうヘンタイさん」
「もっー-!」
喉の渇きを潤すため絵梨香から貰った力水を開けて、少量飲んだ。
味はただの水とほとんど変わりは無い。
力水はペットボトルではなく昔から缶で販売されている、内容量は300ml。
他の水と違うのは値段。
なんで300mlしか入っていない水に150円も使わなければいけないのか。
東京テレポート駅の自動販売機で販売されている力水は一本150円、お母さんに会いに行くために北海道に行った時空港で見かけたけど、それでも130円もした。
断然、いろはすを買った方が安い。
その点を踏まえても力水を買う絵梨香は流石お嬢様だと思った。
「もう、なんではーちゃんは私の事ヘンタイだと思ってるの!」
「だって、あったらすぐキス求めてくるじゃん」
絵梨香はバツが悪そうな顔をしたが「でも、今日はまだしてないじゃん!」と反論した。
まぁ、確かにそうだが。
「わかったわかった。てか何で力水くれたの?」
「はーちゃんが暑そうにしてたから」
「私を気遣ってくれたんだ、ありがとう」
「ー-っっ!!」
私がお礼を伝えると、絵梨香は顔を真っ赤にしてしまった。
いや、暑さでもとから真っ赤だった。
しかし、絵梨香の反応から見て照れていることは確実だ。
ふへへ、もう少し遊んでみるか。
「やっぱり、私の事大切にしてくれてるんだ」
「そ、そりゃあもちろんだよ!」
「じゃあ、私も絵梨香の事今も大切にしてるけどもっと大切にする」
絵梨香は両手で顔を覆って「なんでそんな事が平然と言えるの……」と恥ずかしがりながら言っている。
うーん、何かおかしなことを言っただろうか。
私は純粋な気持ちを絵梨香にそのまま伝えているだけなんだけどなぁ。
それにしても暑い、ほんと溶けてしまいそう。
去年の今頃は高校受験もあり勉強漬けの毎日だったから、家から出る事なんてほとんど無かった。
「いや~暑い。絵梨香、早く家行くよ」
「あ、うん」
「絵梨香が何かしてくれるんでしょ?」
「うん!はーちゃんにいっぱい尽くすから!」
「楽しみにしてる」
やっぱり、絵梨香と話している時が一番楽しい。
こんなに暑い中、話していても楽しくなるんだからよっぽど相性が良いのかな。
それとも、幼馴染だから?
まぁ、どってでも良いや。
私と絵梨香は家に向かって歩き出した。
さっき買って貰った力水はもう温くなっていた。
ほどなくして家に着いた。
「はーちゃんってさ、何気に良いマンションに住んでるよね」
「そうなの?」
「うん、ここってお台場で多分一番家賃が高いマンションだったはず。名前は確か、ザ・タワーズ台場って言うはず」
ほげぇ~と心の中で思ってしまう。
ここってそんなに凄いとこだったのか、言われてみればラウンジがあったり広い駐車場があったり行った事無いけどジムもあるらしい。
だけど絵梨香の家は東京では珍しい一軒家だ、それももの凄くでかい。
私の住んでいる部屋の1.5倍ほど広いと思うし部屋数もかなりある。
「どうでもいいや、暑い。早く行こう絵梨香」
「あ、うん」
自動ドアを通り、中に入るとそれはまさに天国というものだろか。
とんでもなく涼しく外の暑さが嘘みたいだ。
私達以外に人はおらず、私は郵便ポストを確認して何も入っていないことを確認してエレベーターの前まで来た。
ボタンを押すと一階で止まっていたのかすぐに扉が開き、乗り込むことが出来た。
エレベーターの中も一階ほどではないが外と比べるとだいぶ涼しく、嫌な気持ちになることも無かった。
④と書かれたボタンを押して私の部屋がある4階に向かう。
私の住むマンションは33階建てだ、なのでボタンも①から㉝まである。
程なくして4階についた。
「いや~涼しいね」
「ほんと、涼しい」
部屋の鍵を開け中に入る、ドアはオートロックなので閉める必要は無いが一応確認している。
鍵がしまった事を確認して中に入る。
部屋は一通り小太郎が管理してくれていたのか、特に汚い部分は見当たらない。
私は「荷物おいてくるから待ってて」と絵梨香に言い、荷物を自室に置いた。
「はーちゃん、お風呂借りて良い?」
「良いけど、着替えは?」
「何か適当にはーちゃんのやつ借りる」
「身長違うしあなたにはとーっても大きなお胸があるでしょう?」
「うそだって、ちゃんと泊まるために着替えは持ってきたから」
「そう、ならよかった。私はご飯作るかな、絵梨香何食べたい?」
「退院してすぐご飯を作らせるのはなんか嫌だけど、私料理出来ないしはーちゃんの作るものだったらなんでも食べる」
「わかった」
あの子、私の作る食べ物だったらなんでも食べると言ったな。
特に恨みは無いが少し意地悪してやろう、そう心に決めた。
絵梨香はとにかくほうれん草を嫌う。
私も知っているが小学生の頃、卵とほうれん草そしてそぼろ肉を混ぜた丼ものの給食が出たのだがほうれん草の独特の臭いとそぼろ肉のなんとも言えない臭いが混ぜ合わさってとんでもない物が出来上がっていた。
絵梨香はそれを食べていて、最初は美味しいと言っていたが段々笑顔が消えて行って最終的には皆の前で吐いてしまった。
それがトラウマになっているらしく、絶対にほうれん草だけは食べないと言い張るようになってしまった。
だから、私はほうれん草を使ったおかずを作ろうと思う。
主食は冷蔵庫の上にそうめんが見えたのでそうめんにする予定だが。
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