灯火

水無月 かんな

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5話「痛い」

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黒いマントに包まれ、気付けば目的地の地下に着いたらしい。

「ふっ、くっっっ、アンタ最高に馬鹿なんだな。」

美青年は心底可笑しそうに歪んだ笑いを私に向ける。美青年は歪んだ笑いのまま何か呟く。

「拘束しろ。」

美青年がそう言うと、回りから 仮面をつけた男女が3人くらい近付いて来る。なんとか1人を転ばし、私は走り回った。地下には明かりが無いためどこにいけば良いのかも分からず私はただがむしゃらに走るしかなかった。

「愚か者が……」

後ろから声が聞こえたかと思うと、私は地面に倒れた。最後に見えたのは美青年の悲しそうな顔だった。


ーーーーーーーーーーーーー

「さぁさぁ、紳士淑女の皆々様。今宵お集まりいただきありがとうございます。今宵は珍しいモノを仕入れてきました。皆様心踊らせて、こちらに注目ください。」
 
声が聞こえる。目を開けてるはずなのに目の前は真っ暗。手は枷のせいか動かせない。

「今宵の商品はこちら!」

ばさっと布が近くで引っ張ったような音がする。すると辺りが騒がしいくなる。

「黒髪か!?」
「おぉ、噂の少女かっ!?」
「美しい艶のある黒髪だこと。」
「なんと驚くのはそれだけではありません。」

この場を指揮してるらしい者が目隠ししていた布を取った。すると見えてくるのは、薄暗い風景と仮面をつけた貴婦人共。どの目も商品を見るような顔つきだ。
 無様なことに私は鳥籠のような檻に入れられていた。服装も綺麗に着飾られている。

「さぁ、皆様この少女で欲しい所はございますか?」
「っ!」

指揮してる者が握っているのは紛れもなくナイフだ。

「髪、目、腕、足、耳、臓器様々ですよ。もちろんお値段は張りますがね。」

まさか、子供を売りさばいてる?それも部分的に切断したりして……体が震え始めた。私、切断されるの?貴婦人共は私の体などをじろじろと見る。

「目だ!目を寄越せ。右目を売ってくれ。値段は……」

野太い声の男が場を指揮してる人に値段交渉する。すると、指揮してる人は満足そうににっこり笑い、私を荒い手つきで檻から出して冷たい台の上に無理矢理寝かせられる。

「い、いや。」

必死に抵抗するけど、押さえつけられナイフで目を抉られる。目を抉られた瞬間。
痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。

「うっ、あ"ぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

背中の傷と比べものにならない程痛い。私は激しい痛みにより気を失った。

ーーーーーーーーーーーーー

目を覚ました時、右目の感覚が変なことに気付く。そしてその瞬間すぐ痛みが来る。


「さぁ、お次に何を欲しますか?」

指揮してる者は楽しそうに言う。

「……………っや。」

まだ切断したりするの?イヤだ。怖い、怖い、怖い。助けて。

「ファミリアの奴らが来たぞー!早く隠せ!」

ファミリア……?

「その黒髪のを私に売ってくれないか?値段は……」
「ほう、ではどうぞ。裏口に馬車を止めています。檻ごと運んでおきますね。優秀な運び屋共にあなたの自宅まで確実にお届けいたします。」

ガタンっ……檻が動いた衝撃のせいで私は長く意識を失う羽目になった。
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