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第6章
三 真相
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三
それは大事件、週刊誌も飛びつくスクープであった。
「あの、証拠とかあるんですか? 相手は志摩ユウキですよ? 一歩間違えたら、名誉毀損。鞍馬さんがとんでもないことに——」
「証拠ならあるよ。だって志摩ユウキが僕に声をかけてきたんだから」
「えっ、ええっ!」
感情の起伏なく、鞍馬は言った。
「当時、僕が個人で発表した香水に興味を持ってくれて志摩ユウキ本人から連絡がきたんだ。彼はすでに名の知れた美容クリエイターだったし、僕は嬉しかったよ。だから彼に会うことにした。仕事云々ではなく、単なる同じクリエイター同士として一緒に食事をした。そのときに僕は彼にある概念の香水の企画をして挑戦していると打ち明けた。そしたら、その企画を一緒にやりたいと興味をもってくれたんだ。僕は素直に嬉しかったよ。あの志摩ユウキが僕の企画に興味を示してくれたんだから。でもその日は一旦、それでお開きになった」
「よくある、同業同士の交流ってところだな」
「はい、そうです。それから一ヶ月くらいの間が開きました。あれは社交辞令だったのかなとおもいかけたときに、また彼から連絡がきたんだ。どうやら、僕が話した香水の企画のことを本気で考えてくれていたようで、一度企画書を送ってくれないかという内容でした」
「志摩ユウキさんから? すごい……」
「その頃、彼は新作の発表に相当悩んでいるといってて。なにか新しいアイデアを探しているとも言っていました。だから僕の企画を一緒に実現しないかって。僕はイメージはあったけれどコネクションがない。その代わりに彼、志摩ユウキはアイデアはないけどコネクションは持っていた、ということです」
「えっ……」
「僕は志摩ユウキに企画書を送りました。。そしたら、ぜひ一緒にやろうと正式な返事が来ました。僕はこんなことが起こるのかと、正直、信じられなくてとてもわくわくしていた。自分がイメージしたものを形にするのって簡単なことじゃないから。それに、志摩ユウキから学ぶこともたくさんあったから。だから僕たちはコラボプロジェクトとして、企画の実現を目指そうってことで話をしたんだ。けど……」
そこで鞍馬の様子が変わる。
「ある日、彼が松井という男を連れてきたんだ。彼はプロデュース業を主にする企業の代表で、今回、僕らの企画に興味を持ってくれて、ぜひスポンサーとしてプロデュースさせて欲しいと言ってきたんだ」
「松井……。今、松井といいましたか?」
「うん。そうだよ」
「やたら太い黒縁メガネをかけてませんか?」
「うん。よく知ってるね」
(そんな、嘘でしょう! あの松井さんじゃん!!)
「その男が何か関係しているのか?」
鴑羅は芽依を見ながら言う。
「あ……。い、いえ、その」
だが鞍馬は話を進めた。
「そこから歯車は狂い出した。僕のイメージしていた企画とは全然違う方向へ進み始めたんだ。もっと集客力につながるインパクトをもたせるために、松井は僕ではなく志摩ユウキをメインに打ち出したほうがいいと言ってきた」
「えっ」
(それって……)
すると、それまで黙っていた天童が、情報通を気取るような口調で芽依に言った。
「SEEmyってさ。あれは天くんが考えた香水なんだよ」
それは大事件、週刊誌も飛びつくスクープであった。
「あの、証拠とかあるんですか? 相手は志摩ユウキですよ? 一歩間違えたら、名誉毀損。鞍馬さんがとんでもないことに——」
「証拠ならあるよ。だって志摩ユウキが僕に声をかけてきたんだから」
「えっ、ええっ!」
感情の起伏なく、鞍馬は言った。
「当時、僕が個人で発表した香水に興味を持ってくれて志摩ユウキ本人から連絡がきたんだ。彼はすでに名の知れた美容クリエイターだったし、僕は嬉しかったよ。だから彼に会うことにした。仕事云々ではなく、単なる同じクリエイター同士として一緒に食事をした。そのときに僕は彼にある概念の香水の企画をして挑戦していると打ち明けた。そしたら、その企画を一緒にやりたいと興味をもってくれたんだ。僕は素直に嬉しかったよ。あの志摩ユウキが僕の企画に興味を示してくれたんだから。でもその日は一旦、それでお開きになった」
「よくある、同業同士の交流ってところだな」
「はい、そうです。それから一ヶ月くらいの間が開きました。あれは社交辞令だったのかなとおもいかけたときに、また彼から連絡がきたんだ。どうやら、僕が話した香水の企画のことを本気で考えてくれていたようで、一度企画書を送ってくれないかという内容でした」
「志摩ユウキさんから? すごい……」
「その頃、彼は新作の発表に相当悩んでいるといってて。なにか新しいアイデアを探しているとも言っていました。だから僕の企画を一緒に実現しないかって。僕はイメージはあったけれどコネクションがない。その代わりに彼、志摩ユウキはアイデアはないけどコネクションは持っていた、ということです」
「えっ……」
「僕は志摩ユウキに企画書を送りました。。そしたら、ぜひ一緒にやろうと正式な返事が来ました。僕はこんなことが起こるのかと、正直、信じられなくてとてもわくわくしていた。自分がイメージしたものを形にするのって簡単なことじゃないから。それに、志摩ユウキから学ぶこともたくさんあったから。だから僕たちはコラボプロジェクトとして、企画の実現を目指そうってことで話をしたんだ。けど……」
そこで鞍馬の様子が変わる。
「ある日、彼が松井という男を連れてきたんだ。彼はプロデュース業を主にする企業の代表で、今回、僕らの企画に興味を持ってくれて、ぜひスポンサーとしてプロデュースさせて欲しいと言ってきたんだ」
「松井……。今、松井といいましたか?」
「うん。そうだよ」
「やたら太い黒縁メガネをかけてませんか?」
「うん。よく知ってるね」
(そんな、嘘でしょう! あの松井さんじゃん!!)
「その男が何か関係しているのか?」
鴑羅は芽依を見ながら言う。
「あ……。い、いえ、その」
だが鞍馬は話を進めた。
「そこから歯車は狂い出した。僕のイメージしていた企画とは全然違う方向へ進み始めたんだ。もっと集客力につながるインパクトをもたせるために、松井は僕ではなく志摩ユウキをメインに打ち出したほうがいいと言ってきた」
「えっ」
(それって……)
すると、それまで黙っていた天童が、情報通を気取るような口調で芽依に言った。
「SEEmyってさ。あれは天くんが考えた香水なんだよ」
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