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第2部 第1章 ケース オブ ショップ店員・橋姫『恋するあやかし』
五 京都出禁の謎
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五 京都出禁の謎
そして、いつのまにか、時は一時間が過ぎようとしていた。
(さすがにここを一日でまわるにはきつい……)
初めての博物館だったとはいえ、その内容は興味深いものが多く、芽依も鞍馬も天童を待たせていることを忘れ、いつのまにか夢中になってしまっていた。
ここは、様々な日本文化が凝縮されている。
そして自分が日本文化について無知すぎているということにも気付かされた。
(日本人だけど、この国のこと全然知らないんだな……)
仏像にはじまり、黄金に輝く螺鈿模様の入った硯箱。
武家の娘が着ていたと思われる一張羅。
見事な花鳥画の描かれた屏風画もあれば、庶民の暮らしを描いた浮世絵とさまざまな美術品が並んでいた。
日本美術ってすばらしいんだ。
芽依は素直にそう思えた。
(それにしても……)
展示室を巡りながら、芽依はあることを思い出していた。
それは天童のことだった。
確か、彼は京都出禁だと言われている。それがひっかかっていた。
(どうしてそんなことになったんだろう……)
禊の最中だとはいえ、かつての罪が大きいとはいえ、天童が京都に出禁されている理由はなんなのだろうか。芽依はそれがやけに気になっていた。
自分の首を切られた太刀を愛し、自分が題材となった浮世絵さえも好んでいる。
むしろ、天童は京都へ行きたいのではないだろうかと。
(ちょっと、気になるな……)
「あ、芽依さーん!」
「鞍馬くん」
芽依はエントランスに戻ってくると、鞍馬も同じタイミングでそこに現れた。
「気づいたら、一時間も経ってましたね」
「そうなの。私も同じこと思ってんだ」
「とても一時間じゃ周りきれませんでした。天童さん、怒ってるでしょうか」
「ちょっと急いだほうがいいかもね」
そういいながら、二人は天童のもとへと急いで向かうため、博物館を後にした。
天童は、中池の周りに設置されていれベンチに座って居眠りをしていた。
天童に優しい木漏れ日が注いでいる。
(気持ちよさそう……)
彼があの酒呑童子だと誰が思えるだろうか。
見かけによらず、気の長い妖で良かったと思いながら、芽依は天童を起こすと、三人は東京国立博物館をあとにした。
そして、いつのまにか、時は一時間が過ぎようとしていた。
(さすがにここを一日でまわるにはきつい……)
初めての博物館だったとはいえ、その内容は興味深いものが多く、芽依も鞍馬も天童を待たせていることを忘れ、いつのまにか夢中になってしまっていた。
ここは、様々な日本文化が凝縮されている。
そして自分が日本文化について無知すぎているということにも気付かされた。
(日本人だけど、この国のこと全然知らないんだな……)
仏像にはじまり、黄金に輝く螺鈿模様の入った硯箱。
武家の娘が着ていたと思われる一張羅。
見事な花鳥画の描かれた屏風画もあれば、庶民の暮らしを描いた浮世絵とさまざまな美術品が並んでいた。
日本美術ってすばらしいんだ。
芽依は素直にそう思えた。
(それにしても……)
展示室を巡りながら、芽依はあることを思い出していた。
それは天童のことだった。
確か、彼は京都出禁だと言われている。それがひっかかっていた。
(どうしてそんなことになったんだろう……)
禊の最中だとはいえ、かつての罪が大きいとはいえ、天童が京都に出禁されている理由はなんなのだろうか。芽依はそれがやけに気になっていた。
自分の首を切られた太刀を愛し、自分が題材となった浮世絵さえも好んでいる。
むしろ、天童は京都へ行きたいのではないだろうかと。
(ちょっと、気になるな……)
「あ、芽依さーん!」
「鞍馬くん」
芽依はエントランスに戻ってくると、鞍馬も同じタイミングでそこに現れた。
「気づいたら、一時間も経ってましたね」
「そうなの。私も同じこと思ってんだ」
「とても一時間じゃ周りきれませんでした。天童さん、怒ってるでしょうか」
「ちょっと急いだほうがいいかもね」
そういいながら、二人は天童のもとへと急いで向かうため、博物館を後にした。
天童は、中池の周りに設置されていれベンチに座って居眠りをしていた。
天童に優しい木漏れ日が注いでいる。
(気持ちよさそう……)
彼があの酒呑童子だと誰が思えるだろうか。
見かけによらず、気の長い妖で良かったと思いながら、芽依は天童を起こすと、三人は東京国立博物館をあとにした。
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