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京都へ2
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「ところで・・どうしてヴェルドーネさんが私の父だと分かったんですか?」
話がひと段落し、コーヒーを飲んでいた時に沙耶が不思議そうに質問した。
「それは僕から説明しましょう。沙耶さん、ベガスでドライブスルー結婚式を挙げましたよね。あの時二人目の証人になってくれたイタリア人のカップルを覚えていますか?」
「ええ、私の事を男性だと勘違いしていた」涼に聞かれ、彼らの言葉を思い出した沙耶はクスッと笑みを漏らした。
「彼らは私の教え子なんデス」
「ヴェルドーネさんはフィレンツェの大学で美術講師をしておられるんだ。彼は有名は画家なんだよ」
「その二人がベガスで挙げた挙式の写真をヴェルドーネさんに見せたのが始まりでね」
写真を見たヴェルドーネがもしかして、と思い彼らにこの写真の人物に連絡を取れないかと願い出たのがきっかけだった。
「僕のメアドを教えてあったので僕の所へメールが来たんです。それからは割と簡単に進んだんですよ。お母様のお名前と高野の会社に勤める前に働いていたのが美術大学だと調べるのは容易でした」
「ヴェルドーネ氏はお母様の名前と大学で働いていた事を聞いてすぐ来日を決められ、涼と俺と会談したんだ。その時、このホテルの事情を明かすとロビーに飾る絵の作成にも快く承諾してくれてね」
「娘のパートナーが困っているノに見過ごす事は出来ません。それどころか麻里子さんの姿をここに再現できるのはわたしにとって願っても無い事でス」
「沙耶が記憶を無くしていたからすぐに会って貰う事は出来なかったんだが‥」
「でも・・あの写真でよく私が分かりましたね」
確かにそうだ、と馨も内心思っていた。自分とイタリア人のカップルが男と間違えたほど、沙耶の外見は高野景子によって隠ぺいされていた。
「わたしは彫刻も手掛けまス。外見に惑わされず人の骨格を見て判断できマス。写真は2枚ありました。2枚目のあなたの笑顔は麻里子さんとそっくりです」
母親と似ていると言われた沙耶は胸の奥がほんわりと暖かくなるのを感じた。そして天涯孤独と思っていた自分に血の繋がった家族がいる事に無上の喜びを覚えた。
「良かったな沙耶、君には素敵な父親がいたんだ」馨は沙耶の肩を抱き優しく言葉をかけた。
「はい、私は一人ぼっちじゃなかったんですね」
_____
京都に滞在中、沙耶はは毎日ヴェルドーネの作業場へ通い、26年の溝を埋める様に二人は語り合った。
その中でヴェルドーネの母親がロシア系のイタリア人で名前がサーシャである事を知った沙耶は、母親がヴェルドーネをずっと信じていたのだろうと確信した。
母娘二人の生活は大変だったが、母はいつも笑っていた。きっといつかヴェルドーネが自分達を迎えに来てくれると信じていたのだろう。
「ヴェルドーネさん、イタリアにご家族は?」
「わたしは妹夫婦と暮らしています。あなたと麻里子さんを探し出せなかった私は何度も諦めて新しく人生を生きようと努力しまシタ。でもダメでした。
日本に来て麻里子さんが亡くなったと聞いた時は絶望しまシタが、沙耶に会えてわたしは救われました。今でもわたしは麻里子さんを愛していまス」
「母は幸せ者です。ヴェルドーネさんにこんなに愛されて・・」
「あなたもですよ、沙耶。わたしの愛しいフィーリャ(娘)。そしてあなたの夫もあなたに・・えーと、首ったけですネ」
「ふふふ、ほんとに日本語が堪能ですね」
「ええ、今も日本語の勉強を続けていマスから。わたしはこの仕事が終わったらイタリアに帰りますが、あなたも絶対にイタリアに遊びに来てくだサイ」
「はい、必ず」
ヴェルドーネは沙耶をしっかり抱きしめてその頬にキスした。
__________
一方、高野景子は沙耶への傷害事件で起訴された。
初めは沙耶を突き飛ばした事を否定していたが、新たに出て来た証拠を見せられた景子は観念した。
景子は弁護士に示談を勧められたが「誰が沙耶に謝罪なんてするもんですか!」と断固として謝罪を突っぱねた。結局事件は刑事裁判まで持ち込まれ、高野景子は執行猶予付きの実刑判決を受けてしまった。
ワイドショーではこの話題で持ち切りだった。
この事件の他にも高野景子の普段の素行の悪さが次々と暴露され、ユウミのドーラン事件も疑惑のひとつとして報道されてしまった。
当然ながら高野景子は芸能界から事実上の追放となった。
話がひと段落し、コーヒーを飲んでいた時に沙耶が不思議そうに質問した。
「それは僕から説明しましょう。沙耶さん、ベガスでドライブスルー結婚式を挙げましたよね。あの時二人目の証人になってくれたイタリア人のカップルを覚えていますか?」
「ええ、私の事を男性だと勘違いしていた」涼に聞かれ、彼らの言葉を思い出した沙耶はクスッと笑みを漏らした。
「彼らは私の教え子なんデス」
「ヴェルドーネさんはフィレンツェの大学で美術講師をしておられるんだ。彼は有名は画家なんだよ」
「その二人がベガスで挙げた挙式の写真をヴェルドーネさんに見せたのが始まりでね」
写真を見たヴェルドーネがもしかして、と思い彼らにこの写真の人物に連絡を取れないかと願い出たのがきっかけだった。
「僕のメアドを教えてあったので僕の所へメールが来たんです。それからは割と簡単に進んだんですよ。お母様のお名前と高野の会社に勤める前に働いていたのが美術大学だと調べるのは容易でした」
「ヴェルドーネ氏はお母様の名前と大学で働いていた事を聞いてすぐ来日を決められ、涼と俺と会談したんだ。その時、このホテルの事情を明かすとロビーに飾る絵の作成にも快く承諾してくれてね」
「娘のパートナーが困っているノに見過ごす事は出来ません。それどころか麻里子さんの姿をここに再現できるのはわたしにとって願っても無い事でス」
「沙耶が記憶を無くしていたからすぐに会って貰う事は出来なかったんだが‥」
「でも・・あの写真でよく私が分かりましたね」
確かにそうだ、と馨も内心思っていた。自分とイタリア人のカップルが男と間違えたほど、沙耶の外見は高野景子によって隠ぺいされていた。
「わたしは彫刻も手掛けまス。外見に惑わされず人の骨格を見て判断できマス。写真は2枚ありました。2枚目のあなたの笑顔は麻里子さんとそっくりです」
母親と似ていると言われた沙耶は胸の奥がほんわりと暖かくなるのを感じた。そして天涯孤独と思っていた自分に血の繋がった家族がいる事に無上の喜びを覚えた。
「良かったな沙耶、君には素敵な父親がいたんだ」馨は沙耶の肩を抱き優しく言葉をかけた。
「はい、私は一人ぼっちじゃなかったんですね」
_____
京都に滞在中、沙耶はは毎日ヴェルドーネの作業場へ通い、26年の溝を埋める様に二人は語り合った。
その中でヴェルドーネの母親がロシア系のイタリア人で名前がサーシャである事を知った沙耶は、母親がヴェルドーネをずっと信じていたのだろうと確信した。
母娘二人の生活は大変だったが、母はいつも笑っていた。きっといつかヴェルドーネが自分達を迎えに来てくれると信じていたのだろう。
「ヴェルドーネさん、イタリアにご家族は?」
「わたしは妹夫婦と暮らしています。あなたと麻里子さんを探し出せなかった私は何度も諦めて新しく人生を生きようと努力しまシタ。でもダメでした。
日本に来て麻里子さんが亡くなったと聞いた時は絶望しまシタが、沙耶に会えてわたしは救われました。今でもわたしは麻里子さんを愛していまス」
「母は幸せ者です。ヴェルドーネさんにこんなに愛されて・・」
「あなたもですよ、沙耶。わたしの愛しいフィーリャ(娘)。そしてあなたの夫もあなたに・・えーと、首ったけですネ」
「ふふふ、ほんとに日本語が堪能ですね」
「ええ、今も日本語の勉強を続けていマスから。わたしはこの仕事が終わったらイタリアに帰りますが、あなたも絶対にイタリアに遊びに来てくだサイ」
「はい、必ず」
ヴェルドーネは沙耶をしっかり抱きしめてその頬にキスした。
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一方、高野景子は沙耶への傷害事件で起訴された。
初めは沙耶を突き飛ばした事を否定していたが、新たに出て来た証拠を見せられた景子は観念した。
景子は弁護士に示談を勧められたが「誰が沙耶に謝罪なんてするもんですか!」と断固として謝罪を突っぱねた。結局事件は刑事裁判まで持ち込まれ、高野景子は執行猶予付きの実刑判決を受けてしまった。
ワイドショーではこの話題で持ち切りだった。
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当然ながら高野景子は芸能界から事実上の追放となった。
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