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彼を泣かせたい 前編
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「やっぱやるならハンワールでしょ?」
「有名どころすぎねぇ?」
「今なら初心者特典で100連ガチャ回せるってさ。」
私は教室で、男子達がする会話に聞き耳を立てていた。
3人で一緒に始めるスマホのロールプレイングのアプリを何にしようかと話し合っているらしい。
「じゃ、ハンワールってことで。」
ハンワール。正式名称はハンティング ワールド。
簡単に言うとマップにいるモンスターを狩って、そのポイントで武器やら防具やらを手に入れるというゲームだ。
単純だが奥が深い……
圧倒的な世界観
独自のバトルシステム
無課金にも優しく
やり込めばやり込むほどにはまる
5年前に配信されてから今にいたるまで、大人気のアプリなのだ。
「男子ってああいうの好きだよねー子供っぽい。」
友達のユウちゃんが呆れたように話しかけてきた。
「そ、そうだねー。」
ユウちゃんだって乙女ゲームにハマってて、やっと推しメンとベッドイン出来たーって昨日大喜びしてたじゃん。
そんなのよりかはよっぽど健全だと思うけど……
やるぞーっと意気込んでる3人をチラリと見た。
まず竹内《たけうち》 健一《けんいち》はお調子者のバカだ。
頭を使うこのゲームには向いてない。
他二人、A君B君にいたっては特徴のないモブキャラなイメージしかない。
私はハンワールを配信当初からやり込んでいる。
ゲーム内ではちょっとした有名人だったりする。
ゲームの世界を盛り上げるためには新しい人はどんどん入ってきてほしい。
出来るならコツを伝授してあげたいところなんだけど……
私は学校では大人しくて目立たない生徒の一人だ。
こんなゲームをやり込んでいるイメージはまったくない。
自分がイベントのランキングの 上位にも入っているあのセルセレだとバレるのは絶対に避けたかった。
「タクーっ、おまえも一緒にハンワールやらない?」
竹内が教室の一番後ろの席で寝ていた生徒に声をかけた。
「……ハンワール…なにそれ?」
欠伸をしながらダルそうに起きたタクと呼ばれた人物……
喜瀬《きせ》 琢磨《たくま》。
学校一の秀才。なんでこの学校に?ってくらい頭が良い。
噂ではIQがあのアイシュタインと同じだとか言われている。
まあガセだろうけど……
頭だけじゃなく運動神経もいい。
どんなスポーツをやらせても抜群だ。
なにをやらせてもとにかく上手い。
カラオケも料理の腕もプロ級だと聞いた。
見た目も良いし性格もいたってクールなもんだから、この学校の女子はみんな多かれ少なかれ彼のことが好きだろう……
私は苦手なんだけど。
「スマホのゲームか…やったことないな。」
みんなはこの無表情で何事にも動じない性格を格好良いとかいうけれど、私には機械的なアンドロイドにしか見えない。
なんか……冷めてんだよねこの人。
周りにというか、この世界全部に。
結局、喜瀬も竹内の強引な誘いを受けやるみたいだ。
表情が変わらないので興味があるのかないのかがイマイチわからない。
ま、私には関係ないけど……
家に帰ってハンワールをやろうとアプリを開けたら、初心者からフレンド申請が来ていた。
ケンイチというプレイヤー名だったので多分、竹内だ。
始めたばかりの初心者がレベル200越えのプレイヤーにすることじゃない。
このゲームは誰とフレンドになるかも重要なポイントだったりする。
お互いに助けを借りれるからだ。
フレンド枠だって数に限りがある。
『強いっすね~フレンドよろしくっす(´∀`)』
ってコメント付きだった。
舐めてやがる。
普通ならこんなもん即蹴るのだけど……
ちょっと面白そうなのでOKにしてみた。
まぁあいつバカだから、きっとこのゲームの壁にぶち当たってすぐ辞めるだろう。
次の日教室に行くと竹内がすごく強いセルセレさんて方とフレンドになったーっ!と自慢していた。
どうやら前イベントの50位以内に入っていたプレイヤー全員にフレンド申請しまくったらしい。
承認してくれたのは私だけ……だろうね。
「なんか人数増えてない?」
ユウちゃんがまた呆れたように話しかけてきた。
確かに……人数が5人に増えていた。
私はゆうちゃんに見えないようにそっとスマホをいじった。
竹内をマスターにしたギルドを立ち上げていた。
全員で6人……
あの騒いでる5人と、タクと名乗るメンバー。
多分、喜瀬だろう…レベルは1のままだった。
まったくやってないようだ。
喜瀬の方を見ると相変わらず寝ていた。
きっと昼休みまであのまんまだ。
成績が良いので先生も特に何も言わない。
にしてもギルド名……
暗闇に惑いし漆黒の闇ってなんだよ。
真っ黒けっけだな。もろ厨二病入ってる。
ちょっと笑ってしまった。
フレンドからメッセージがきていたので開けてみると竹内からだった。
『 レベル10でみんな行き詰まっちゃってるんですけど、どうしたらいいっすか?(T^T)』
どうやら私に指南を仰ぎたいらしい。
う~ん……本当はそれを考えるのもこのゲームの醍醐味なんだけど、あいつらバカそうだしな……
昼休みにトイレからメッセージを送ってあげた。
教室に帰ると男子達が色めき立っていた。
「見ろっすげぇ!セルセレさんから返信きてる!」
私がそのセルセレなんだけど……
『招待メールを送った相手がインストールしてくれたら貰える報酬の武器があるから、それを使えばいいよ。』
と、教えてあげた。一番手っ取り早い方法だ。
ただこの大人気のゲームで、今まで一回もインストールしたことない人を見つけるのがかなり大変なんだけど……
男子達はその私からのメッセージを見てそこら中の人に声をかけまくり始めた。
私にまで声をかけられたら面倒なので、ユウちゃんに図書室に本を返しに行ってくると言って教室を出た。
今日は新刊が納入される日だ。
私が好きなミステリー作家のアガサ・クリスさんの最新版も入ってるはず。
ウキウキしながら図書室にいる司書の高橋さんに聞いてみた。
「ごめんね森さん。その新刊は今、読んでる人がいて……」
高橋さんが手を指し示した方を見ると、喜瀬が今日入った新刊10冊を机に積んでパラパラとめくっていた。
ホントにただパラパラと……
めくり終えたら次の本を取ってまたパラパラとめくっていく……
なにやってるの?
「速読術って言うらしいんだけど…新刊出たらいつもああやって読んでるのよ。喜瀬君すごいよね。」
「えっ?!」
あれでちゃんと読めて頭ん中に入ってるっていうのっ?
ウソでしょ?
「喜瀬くーん。アガサ・クリス の新刊先に読んでくれるかな?森さんが借りたいんだって。」
喜瀬はチラっとこっちを見てから積んである本の中から緑色の分厚い本を手に取り、パラパラとめくった。
あっという間に読み終わり、私にはいと言って渡しにきた。
「そんな読み方して楽しい?」
「何が?」
「本ていうのは…特にミステリーものはハラハラドキドキ推理しながら読むのが楽しかったりするでしょ?」
「本を読んで楽しいとかは要らない。」
なんなんだこいつは。
じゃあなんのために本を読んでるのかって聞きたい。
「あんなんで本当に読めてんの?内容理解出来てないんじゃないの?」
「犯人はメイドだったよ。」
……はい?
何事もなかったように席に戻り、またパラパラと本をめくり出す喜瀬を呆然と見つめた。
なに……今…犯人言っちゃった?
まだ私読んでないのにっ?!
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと─────っ!!」
喜瀬が座る机を両手で思いっきり叩いた。
「読む前になんでネタばらしすんのよっ!」
「君が内容理解出来てるか聞いてきたからだろ?」
「だからって言う?普通、犯人をっ?!」
「メイドが入れた紅茶とダッシュボード、犬のフランソワに応接間の掛け時計。」
「なにそれ?」
「トリックの伏線。」
信じられないこいつ……ぶっ叩きたいっ。
なにさらに詳しく説明しちゃってんの?
私のことバカにしてんのかっ!
「タクぅこんなとこに居たんだ~探したよぉ。」
女の子が猫なで声を出しながら喜瀬の腕にしなだれかかってきた。
この人確か隣のクラスにいる喜瀬の彼女だ。
同い年とは思えないくらい大人びている……
突っ立ってる私のことをキッとにらんできた。
これは私の男だと言わんばかりに……
喜瀬は彼女に特になにも関心を示さず、パラパラと全部読み終わってから席を立ち、高橋さんに本を返した。
図書室を去って行く喜瀬を追いかける彼女にすれ違いざま足を踏まれた。
わざとだあの女……
性格悪いもん同士お似合いのカップルだ。
リア充めっ!!
「どしたの?桜…顔怖いよ。」
図書室から帰って来た私を見てユウちゃんが言った。
「図書室で喜瀬がっ…」
「えっ?喜瀬君?」
喜瀬と聞いただけで目がキラキラしいる。
そうだった。ユウちゃんも熱心な喜瀬信者だった……
「……なんでもない。」
みんななんであんなやつ好きかね。理解出来ん。
人間としての大切な何かが欠如してるとしか思えない。
「森ってハンワールやったことある?」
後ろから私に話しかけてきたのは竹内だった。
昔友達に頼まれてインストールしたことがあると答えようと思ってたのだけど……
「それって、朝に桜がしてたやつだよね?」
えっ……ユウちゃんに見られてた?!
「まさかっ!やったことないよっ一回も!」
「まじ?!やったーっやっと見つかった!」
しまった…ついっ。
竹内が私の手を握って大喜びしている。
まだOKともなんとも言ってないのに。
「ゴメンっ私、今月使いすぎてギガがやばいんだよね。インストールする余裕なんて全然ないのっ。」
「えーっ!そんなぁ。」
ガックリとうなだれる竹内だったのだが、急になにかを思い出したかのように顔をあげた。
「そうだタク!おまえん家近いしWiFiあったよな?」
教室にちょうど入ってきた喜瀬を捕まえて叫んだ。
「あるけど……なに?」
「マスター命令だっ。今日おまえん家に帰り寄るから!森も一緒にっ!」
WiFi使ってインストールさせる気だ……
ちょっとまずいことになった。
今さら自分がセルセレなのだと名乗る気もないし名乗りたくもない……
でもこのままじゃバレちゃう……
私は五時間目が終わったあと、姉のいる三年生の階に上った。
「桜じゃない。珍しいね~なんか用?」
妹の私を見つけて姉がやってきた。
「お姉様っ一生の頼みがありますっ!」
「気持ち悪いんだけど……」
姉の好きなコンビニのとろけるプリン三個で放課後にスマホを借りることが出来た。
喜瀬の家は学校から歩いて五分のところにあるとても大きな一軒家だった。
なんで喜瀬ほど頭の良いやつがうちの学校を選んだんだろうと疑問に思っていたのだけど、多分近いからだろう。
偏差値の高い高校に入るとかは喜瀬にはまったく興味がないことのようだ。
「タクの部屋って割と普通だな~。」
竹内が喜瀬の部屋を見渡しながら言った。
確かに…もっと分厚い辞書とかが並んでいると思っていた。
ていうかシンプルすぎる。
生活感がないというか……
必要最低限なものしかなくて、趣味思考的なものがまったくなかった。
「あぁそだ。まず招待メール送るからアドレス教えて。」
竹内の指示にしたがって姉のスマホをいじる。
喜瀬は自分のベッドに座り、つまんなさそうに私達のやり取りを見ていた。
「タクもハンワールやれよ。面白いぞ。」
「あんな単純なゲーム興味わかない。」
「ああ見えて奥が深いんだよ!頭使うゲームなんだよ!ってセルセレさんが言ってた。」
「誰だよそれ?」
竹内がセルセレさんの魅力を語りだした。
凄腕の女プレイヤー。
年上で超美人。きっと大企業の社長秘書か女弁護士。
とても知的で男性にモテモテ。
俺達、初心者を優しく導いてくれる女神。
なのだそうだ。
おいおいおいおい。
想像力がたくましすぎるだろ。
「ふーん。そんな人がこんなゲームする?」
いやしないな。セルセレ私だからね。
喜瀬はちょっと興味が出てきたのかハンワールをひらいてやり出した。
にしてもWiFiの電波が弱い。
いったいダウンロードするのに何分かかるんだろうか。
「ごめん、俺悪いけど今日用事あってさ。森はインストール出来たら帰ってくれる?」
「えっ……ちょっと待ってよ竹内!」
私が止めるのも聞かず竹内は行ってしまった。
なに考えてんだあのバカ…
あんたが帰ったら私、喜瀬と部屋で二人っきりになるじゃないかっ。
喜瀬は相変わらず冷めた表情でベッドに座りハンワールをしていた。
まあこいつが私を襲うってことは有り得ないか……
それはそれで女として私ってどうなのって落ち込んじゃうんだけど……
「WiFiどうにかならない?私も帰りたいんだけど。」
まだ50%もダウンロードできていない。
「さあ…そのWiFi使ってるの親だから。俺は調べ物は図書館でするし、ネットは嘘ばかりだから好きじゃない。」
ふ~ん、あっそう……
私なんかネットサーフィンしながら寝落ちするなんてざらだけどね。
余りにヒマなのでハンワールをしている喜瀬のスマホ画面をのぞいてみた。
ちょうど初心者特典の100連ガチャをしているところだった。
このガチャでは防具や武器の他にもモンスターが当たる。
ハンワールのゲームではこのモンスターも重要なカギとなってくるのだ。
まあガチャでモンスターは滅多に出ないし、出てもしょぼいやつばかりなんだけど……
でも喜瀬は大当たりのレアモンスターを引き当てた。
私がずっと欲しかったモンスターだ。
「ちょっと喜瀬ずるいっ。めっちゃ良いモンスター当ててんじゃん!」
スマホを持っていた喜瀬の手を握りしめて叫んでしまった。
はっ……しまった。思わず……
間近で喜瀬と目が会う……
「……森さんだっけ?」
「……はい。すいません。」
私は喜瀬から離れ床に正座した。
いきなり興奮して、私めっちゃ変な子じゃん……
喜瀬はしばらくなにかを考えたあと、私に質問してきた。
「森さんて下の名前なに?」
「…桜ですけど……四月産まれなんで。」
なんで私の名前なんて聞くのだろう?
「へー……単純。」
「はあ?単純て……人の親バカにするようなこと言うの止めてくれます?」
「単純なのは君の親じゃなくて…」
姉のスマホを見るとダウンロードが終わっていた。
もうここには用はない。とっとと帰ろう。
私が部屋を出ようとしたら喜瀬に肩をつかまれた。
「……なっ、なに?」
「送るよ。駅まで。」
駅に向かって二人で並んで道を歩く……
駅なんてすぐそこなのになんで送るとか言い出したんだろう?暗くもなってないし……
喜瀬は相変わらずの冷めた表情なので何を考えてるんだか全然わからない。
わけわからんやつだなと思っていたら、黄瀬に手を握られた。
「なっなに?!」
「なにって…手をつないだんだけど?」
「だからなんでよっ?」
「どんな反応するか試してみた。」
試すってなに?人を実験動物みたいにっ。
「結論から言うと処女でしょ?男性経験がまったくない。手をつないだこともない。」
「なっ、なっ、なんなのあんたバカなの?!」
「俺にバカとか言ってくる子は初めてだ。」
喜瀬が私のことをまじまじと観察してきた。
こんなに顔が近いとイヤでも意識して顔が赤くなってしまう……
手を離してほしくてブンブン振り回したのだが全然離してくれない。
「ちょっとなんなのこれはっ!!」
すぐ側でヒステリックな叫び声が聞こえた。
見ると喜瀬の彼女が仁王立ちしながらこちらをにらみつけていた。
「最近ずっと冷たいと思ってたらこういうことだったの?!」
「違いますよ!誤解ですっ!」
ものすごい形相だ。怖すぎるっ。
おまえもなんか言えっと思って喜瀬を見たら興味なさそうに欠伸をしていた。
「最初の頃はあんなに私のこと求めてきて、私達いっぱい愛し合ってたのに……」
「俺、愛してるとか一言もいった記憶ないけど?」
「ひどいっ!」
彼女は泣きながら後ろを何度も振り向き振り向き…走って行った。
きっと追いかけてきて欲しいんだと思う。
「追いかけないの?好きだから付き合ったんでしょ?」
「最初っから彼女には興味ないよ。いろいろ試したり見たりしたかっただけだけで、もう全部したし。」
はい?
試したり見たりって……
あれよね…男と女がするエロいことよね?
全部って……
想像だけでぶっ倒れそうだ。
「あぁでも防波堤にはちょうど良かったんだ、彼女のあの迫力は……」
「防波堤?」
「他の女の子が寄り付かない盾の役割。」
こいつサイアク……
喜瀬は駅に着くと、私とずっとつないだままだった手を離した。
「喜瀬って…人間が物に見えてる?」
「人間に見えてるけど?」
「私には喜瀬が人間には見えないんだけど。」
ずっと思ってた。
アンドロイドみたいだなって……
「俺は人間だけど?宇宙人が人間のフリをしてるとでも思ってるの?」
「そうじゃなくて……」
どう言ったらいいのだろう。
「なにが言いたいの?」
どう言ってもこの人の心には届かないような気がする。
「喜瀬って………
泣いたことある?」
喜瀬が驚いたような表情で私を見た。
無表情以外の喜瀬の顔を見たのは初めてかもしれない。
「へー……森 桜は面白いな。」
面白いってなに?
また私のことバカにしてる……?
もうすぐホームに電車が到着するというアナウンスが聞こえてきた。
私が乗る方向の快速電車だ。
私は喜瀬にさよならっと言って急いで改札口をくぐった。
家に着いてハンワールを開くとレベル15の人からフレンド申請がきていた。
プレイヤー名はタク……喜瀬だった。
この短時間でレベル10の壁は難なくクリアしたんだ。
まぁあのレアモンスがあればこれくらいわけないか……
申請メッセージも入っていた。
『俺はあんたを超えるよ。』
……なにこのメッセージ………
この世界の私に向かって…随分生意気なことを言ってくれる。
『 上等、超えてみろ。』
私もメッセージを送り返した。
「有名どころすぎねぇ?」
「今なら初心者特典で100連ガチャ回せるってさ。」
私は教室で、男子達がする会話に聞き耳を立てていた。
3人で一緒に始めるスマホのロールプレイングのアプリを何にしようかと話し合っているらしい。
「じゃ、ハンワールってことで。」
ハンワール。正式名称はハンティング ワールド。
簡単に言うとマップにいるモンスターを狩って、そのポイントで武器やら防具やらを手に入れるというゲームだ。
単純だが奥が深い……
圧倒的な世界観
独自のバトルシステム
無課金にも優しく
やり込めばやり込むほどにはまる
5年前に配信されてから今にいたるまで、大人気のアプリなのだ。
「男子ってああいうの好きだよねー子供っぽい。」
友達のユウちゃんが呆れたように話しかけてきた。
「そ、そうだねー。」
ユウちゃんだって乙女ゲームにハマってて、やっと推しメンとベッドイン出来たーって昨日大喜びしてたじゃん。
そんなのよりかはよっぽど健全だと思うけど……
やるぞーっと意気込んでる3人をチラリと見た。
まず竹内《たけうち》 健一《けんいち》はお調子者のバカだ。
頭を使うこのゲームには向いてない。
他二人、A君B君にいたっては特徴のないモブキャラなイメージしかない。
私はハンワールを配信当初からやり込んでいる。
ゲーム内ではちょっとした有名人だったりする。
ゲームの世界を盛り上げるためには新しい人はどんどん入ってきてほしい。
出来るならコツを伝授してあげたいところなんだけど……
私は学校では大人しくて目立たない生徒の一人だ。
こんなゲームをやり込んでいるイメージはまったくない。
自分がイベントのランキングの 上位にも入っているあのセルセレだとバレるのは絶対に避けたかった。
「タクーっ、おまえも一緒にハンワールやらない?」
竹内が教室の一番後ろの席で寝ていた生徒に声をかけた。
「……ハンワール…なにそれ?」
欠伸をしながらダルそうに起きたタクと呼ばれた人物……
喜瀬《きせ》 琢磨《たくま》。
学校一の秀才。なんでこの学校に?ってくらい頭が良い。
噂ではIQがあのアイシュタインと同じだとか言われている。
まあガセだろうけど……
頭だけじゃなく運動神経もいい。
どんなスポーツをやらせても抜群だ。
なにをやらせてもとにかく上手い。
カラオケも料理の腕もプロ級だと聞いた。
見た目も良いし性格もいたってクールなもんだから、この学校の女子はみんな多かれ少なかれ彼のことが好きだろう……
私は苦手なんだけど。
「スマホのゲームか…やったことないな。」
みんなはこの無表情で何事にも動じない性格を格好良いとかいうけれど、私には機械的なアンドロイドにしか見えない。
なんか……冷めてんだよねこの人。
周りにというか、この世界全部に。
結局、喜瀬も竹内の強引な誘いを受けやるみたいだ。
表情が変わらないので興味があるのかないのかがイマイチわからない。
ま、私には関係ないけど……
家に帰ってハンワールをやろうとアプリを開けたら、初心者からフレンド申請が来ていた。
ケンイチというプレイヤー名だったので多分、竹内だ。
始めたばかりの初心者がレベル200越えのプレイヤーにすることじゃない。
このゲームは誰とフレンドになるかも重要なポイントだったりする。
お互いに助けを借りれるからだ。
フレンド枠だって数に限りがある。
『強いっすね~フレンドよろしくっす(´∀`)』
ってコメント付きだった。
舐めてやがる。
普通ならこんなもん即蹴るのだけど……
ちょっと面白そうなのでOKにしてみた。
まぁあいつバカだから、きっとこのゲームの壁にぶち当たってすぐ辞めるだろう。
次の日教室に行くと竹内がすごく強いセルセレさんて方とフレンドになったーっ!と自慢していた。
どうやら前イベントの50位以内に入っていたプレイヤー全員にフレンド申請しまくったらしい。
承認してくれたのは私だけ……だろうね。
「なんか人数増えてない?」
ユウちゃんがまた呆れたように話しかけてきた。
確かに……人数が5人に増えていた。
私はゆうちゃんに見えないようにそっとスマホをいじった。
竹内をマスターにしたギルドを立ち上げていた。
全員で6人……
あの騒いでる5人と、タクと名乗るメンバー。
多分、喜瀬だろう…レベルは1のままだった。
まったくやってないようだ。
喜瀬の方を見ると相変わらず寝ていた。
きっと昼休みまであのまんまだ。
成績が良いので先生も特に何も言わない。
にしてもギルド名……
暗闇に惑いし漆黒の闇ってなんだよ。
真っ黒けっけだな。もろ厨二病入ってる。
ちょっと笑ってしまった。
フレンドからメッセージがきていたので開けてみると竹内からだった。
『 レベル10でみんな行き詰まっちゃってるんですけど、どうしたらいいっすか?(T^T)』
どうやら私に指南を仰ぎたいらしい。
う~ん……本当はそれを考えるのもこのゲームの醍醐味なんだけど、あいつらバカそうだしな……
昼休みにトイレからメッセージを送ってあげた。
教室に帰ると男子達が色めき立っていた。
「見ろっすげぇ!セルセレさんから返信きてる!」
私がそのセルセレなんだけど……
『招待メールを送った相手がインストールしてくれたら貰える報酬の武器があるから、それを使えばいいよ。』
と、教えてあげた。一番手っ取り早い方法だ。
ただこの大人気のゲームで、今まで一回もインストールしたことない人を見つけるのがかなり大変なんだけど……
男子達はその私からのメッセージを見てそこら中の人に声をかけまくり始めた。
私にまで声をかけられたら面倒なので、ユウちゃんに図書室に本を返しに行ってくると言って教室を出た。
今日は新刊が納入される日だ。
私が好きなミステリー作家のアガサ・クリスさんの最新版も入ってるはず。
ウキウキしながら図書室にいる司書の高橋さんに聞いてみた。
「ごめんね森さん。その新刊は今、読んでる人がいて……」
高橋さんが手を指し示した方を見ると、喜瀬が今日入った新刊10冊を机に積んでパラパラとめくっていた。
ホントにただパラパラと……
めくり終えたら次の本を取ってまたパラパラとめくっていく……
なにやってるの?
「速読術って言うらしいんだけど…新刊出たらいつもああやって読んでるのよ。喜瀬君すごいよね。」
「えっ?!」
あれでちゃんと読めて頭ん中に入ってるっていうのっ?
ウソでしょ?
「喜瀬くーん。アガサ・クリス の新刊先に読んでくれるかな?森さんが借りたいんだって。」
喜瀬はチラっとこっちを見てから積んである本の中から緑色の分厚い本を手に取り、パラパラとめくった。
あっという間に読み終わり、私にはいと言って渡しにきた。
「そんな読み方して楽しい?」
「何が?」
「本ていうのは…特にミステリーものはハラハラドキドキ推理しながら読むのが楽しかったりするでしょ?」
「本を読んで楽しいとかは要らない。」
なんなんだこいつは。
じゃあなんのために本を読んでるのかって聞きたい。
「あんなんで本当に読めてんの?内容理解出来てないんじゃないの?」
「犯人はメイドだったよ。」
……はい?
何事もなかったように席に戻り、またパラパラと本をめくり出す喜瀬を呆然と見つめた。
なに……今…犯人言っちゃった?
まだ私読んでないのにっ?!
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと─────っ!!」
喜瀬が座る机を両手で思いっきり叩いた。
「読む前になんでネタばらしすんのよっ!」
「君が内容理解出来てるか聞いてきたからだろ?」
「だからって言う?普通、犯人をっ?!」
「メイドが入れた紅茶とダッシュボード、犬のフランソワに応接間の掛け時計。」
「なにそれ?」
「トリックの伏線。」
信じられないこいつ……ぶっ叩きたいっ。
なにさらに詳しく説明しちゃってんの?
私のことバカにしてんのかっ!
「タクぅこんなとこに居たんだ~探したよぉ。」
女の子が猫なで声を出しながら喜瀬の腕にしなだれかかってきた。
この人確か隣のクラスにいる喜瀬の彼女だ。
同い年とは思えないくらい大人びている……
突っ立ってる私のことをキッとにらんできた。
これは私の男だと言わんばかりに……
喜瀬は彼女に特になにも関心を示さず、パラパラと全部読み終わってから席を立ち、高橋さんに本を返した。
図書室を去って行く喜瀬を追いかける彼女にすれ違いざま足を踏まれた。
わざとだあの女……
性格悪いもん同士お似合いのカップルだ。
リア充めっ!!
「どしたの?桜…顔怖いよ。」
図書室から帰って来た私を見てユウちゃんが言った。
「図書室で喜瀬がっ…」
「えっ?喜瀬君?」
喜瀬と聞いただけで目がキラキラしいる。
そうだった。ユウちゃんも熱心な喜瀬信者だった……
「……なんでもない。」
みんななんであんなやつ好きかね。理解出来ん。
人間としての大切な何かが欠如してるとしか思えない。
「森ってハンワールやったことある?」
後ろから私に話しかけてきたのは竹内だった。
昔友達に頼まれてインストールしたことがあると答えようと思ってたのだけど……
「それって、朝に桜がしてたやつだよね?」
えっ……ユウちゃんに見られてた?!
「まさかっ!やったことないよっ一回も!」
「まじ?!やったーっやっと見つかった!」
しまった…ついっ。
竹内が私の手を握って大喜びしている。
まだOKともなんとも言ってないのに。
「ゴメンっ私、今月使いすぎてギガがやばいんだよね。インストールする余裕なんて全然ないのっ。」
「えーっ!そんなぁ。」
ガックリとうなだれる竹内だったのだが、急になにかを思い出したかのように顔をあげた。
「そうだタク!おまえん家近いしWiFiあったよな?」
教室にちょうど入ってきた喜瀬を捕まえて叫んだ。
「あるけど……なに?」
「マスター命令だっ。今日おまえん家に帰り寄るから!森も一緒にっ!」
WiFi使ってインストールさせる気だ……
ちょっとまずいことになった。
今さら自分がセルセレなのだと名乗る気もないし名乗りたくもない……
でもこのままじゃバレちゃう……
私は五時間目が終わったあと、姉のいる三年生の階に上った。
「桜じゃない。珍しいね~なんか用?」
妹の私を見つけて姉がやってきた。
「お姉様っ一生の頼みがありますっ!」
「気持ち悪いんだけど……」
姉の好きなコンビニのとろけるプリン三個で放課後にスマホを借りることが出来た。
喜瀬の家は学校から歩いて五分のところにあるとても大きな一軒家だった。
なんで喜瀬ほど頭の良いやつがうちの学校を選んだんだろうと疑問に思っていたのだけど、多分近いからだろう。
偏差値の高い高校に入るとかは喜瀬にはまったく興味がないことのようだ。
「タクの部屋って割と普通だな~。」
竹内が喜瀬の部屋を見渡しながら言った。
確かに…もっと分厚い辞書とかが並んでいると思っていた。
ていうかシンプルすぎる。
生活感がないというか……
必要最低限なものしかなくて、趣味思考的なものがまったくなかった。
「あぁそだ。まず招待メール送るからアドレス教えて。」
竹内の指示にしたがって姉のスマホをいじる。
喜瀬は自分のベッドに座り、つまんなさそうに私達のやり取りを見ていた。
「タクもハンワールやれよ。面白いぞ。」
「あんな単純なゲーム興味わかない。」
「ああ見えて奥が深いんだよ!頭使うゲームなんだよ!ってセルセレさんが言ってた。」
「誰だよそれ?」
竹内がセルセレさんの魅力を語りだした。
凄腕の女プレイヤー。
年上で超美人。きっと大企業の社長秘書か女弁護士。
とても知的で男性にモテモテ。
俺達、初心者を優しく導いてくれる女神。
なのだそうだ。
おいおいおいおい。
想像力がたくましすぎるだろ。
「ふーん。そんな人がこんなゲームする?」
いやしないな。セルセレ私だからね。
喜瀬はちょっと興味が出てきたのかハンワールをひらいてやり出した。
にしてもWiFiの電波が弱い。
いったいダウンロードするのに何分かかるんだろうか。
「ごめん、俺悪いけど今日用事あってさ。森はインストール出来たら帰ってくれる?」
「えっ……ちょっと待ってよ竹内!」
私が止めるのも聞かず竹内は行ってしまった。
なに考えてんだあのバカ…
あんたが帰ったら私、喜瀬と部屋で二人っきりになるじゃないかっ。
喜瀬は相変わらず冷めた表情でベッドに座りハンワールをしていた。
まあこいつが私を襲うってことは有り得ないか……
それはそれで女として私ってどうなのって落ち込んじゃうんだけど……
「WiFiどうにかならない?私も帰りたいんだけど。」
まだ50%もダウンロードできていない。
「さあ…そのWiFi使ってるの親だから。俺は調べ物は図書館でするし、ネットは嘘ばかりだから好きじゃない。」
ふ~ん、あっそう……
私なんかネットサーフィンしながら寝落ちするなんてざらだけどね。
余りにヒマなのでハンワールをしている喜瀬のスマホ画面をのぞいてみた。
ちょうど初心者特典の100連ガチャをしているところだった。
このガチャでは防具や武器の他にもモンスターが当たる。
ハンワールのゲームではこのモンスターも重要なカギとなってくるのだ。
まあガチャでモンスターは滅多に出ないし、出てもしょぼいやつばかりなんだけど……
でも喜瀬は大当たりのレアモンスターを引き当てた。
私がずっと欲しかったモンスターだ。
「ちょっと喜瀬ずるいっ。めっちゃ良いモンスター当ててんじゃん!」
スマホを持っていた喜瀬の手を握りしめて叫んでしまった。
はっ……しまった。思わず……
間近で喜瀬と目が会う……
「……森さんだっけ?」
「……はい。すいません。」
私は喜瀬から離れ床に正座した。
いきなり興奮して、私めっちゃ変な子じゃん……
喜瀬はしばらくなにかを考えたあと、私に質問してきた。
「森さんて下の名前なに?」
「…桜ですけど……四月産まれなんで。」
なんで私の名前なんて聞くのだろう?
「へー……単純。」
「はあ?単純て……人の親バカにするようなこと言うの止めてくれます?」
「単純なのは君の親じゃなくて…」
姉のスマホを見るとダウンロードが終わっていた。
もうここには用はない。とっとと帰ろう。
私が部屋を出ようとしたら喜瀬に肩をつかまれた。
「……なっ、なに?」
「送るよ。駅まで。」
駅に向かって二人で並んで道を歩く……
駅なんてすぐそこなのになんで送るとか言い出したんだろう?暗くもなってないし……
喜瀬は相変わらずの冷めた表情なので何を考えてるんだか全然わからない。
わけわからんやつだなと思っていたら、黄瀬に手を握られた。
「なっなに?!」
「なにって…手をつないだんだけど?」
「だからなんでよっ?」
「どんな反応するか試してみた。」
試すってなに?人を実験動物みたいにっ。
「結論から言うと処女でしょ?男性経験がまったくない。手をつないだこともない。」
「なっ、なっ、なんなのあんたバカなの?!」
「俺にバカとか言ってくる子は初めてだ。」
喜瀬が私のことをまじまじと観察してきた。
こんなに顔が近いとイヤでも意識して顔が赤くなってしまう……
手を離してほしくてブンブン振り回したのだが全然離してくれない。
「ちょっとなんなのこれはっ!!」
すぐ側でヒステリックな叫び声が聞こえた。
見ると喜瀬の彼女が仁王立ちしながらこちらをにらみつけていた。
「最近ずっと冷たいと思ってたらこういうことだったの?!」
「違いますよ!誤解ですっ!」
ものすごい形相だ。怖すぎるっ。
おまえもなんか言えっと思って喜瀬を見たら興味なさそうに欠伸をしていた。
「最初の頃はあんなに私のこと求めてきて、私達いっぱい愛し合ってたのに……」
「俺、愛してるとか一言もいった記憶ないけど?」
「ひどいっ!」
彼女は泣きながら後ろを何度も振り向き振り向き…走って行った。
きっと追いかけてきて欲しいんだと思う。
「追いかけないの?好きだから付き合ったんでしょ?」
「最初っから彼女には興味ないよ。いろいろ試したり見たりしたかっただけだけで、もう全部したし。」
はい?
試したり見たりって……
あれよね…男と女がするエロいことよね?
全部って……
想像だけでぶっ倒れそうだ。
「あぁでも防波堤にはちょうど良かったんだ、彼女のあの迫力は……」
「防波堤?」
「他の女の子が寄り付かない盾の役割。」
こいつサイアク……
喜瀬は駅に着くと、私とずっとつないだままだった手を離した。
「喜瀬って…人間が物に見えてる?」
「人間に見えてるけど?」
「私には喜瀬が人間には見えないんだけど。」
ずっと思ってた。
アンドロイドみたいだなって……
「俺は人間だけど?宇宙人が人間のフリをしてるとでも思ってるの?」
「そうじゃなくて……」
どう言ったらいいのだろう。
「なにが言いたいの?」
どう言ってもこの人の心には届かないような気がする。
「喜瀬って………
泣いたことある?」
喜瀬が驚いたような表情で私を見た。
無表情以外の喜瀬の顔を見たのは初めてかもしれない。
「へー……森 桜は面白いな。」
面白いってなに?
また私のことバカにしてる……?
もうすぐホームに電車が到着するというアナウンスが聞こえてきた。
私が乗る方向の快速電車だ。
私は喜瀬にさよならっと言って急いで改札口をくぐった。
家に着いてハンワールを開くとレベル15の人からフレンド申請がきていた。
プレイヤー名はタク……喜瀬だった。
この短時間でレベル10の壁は難なくクリアしたんだ。
まぁあのレアモンスがあればこれくらいわけないか……
申請メッセージも入っていた。
『俺はあんたを超えるよ。』
……なにこのメッセージ………
この世界の私に向かって…随分生意気なことを言ってくれる。
『 上等、超えてみろ。』
私もメッセージを送り返した。
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