1 / 46
道標
『三度目の審判』
しおりを挟むその神が初めてこの地に降り立った時、無力な人間達に己の身を削りて魔力を与え給うた。
二度目に神が降り立った時、魔力に溺れる哀れな人間達に怒りし神は、豊かな土地を二つに切り裂いた。
神は投げ掛けた。
次に我が降り立つ時、お前達が見るのは慈愛か残虐か………
その日を楽しみにしていると。
嘘か誠か。
古くから語られている神話『三度目の審判』だ。
今の世の中こんな逸話《いつわ》を信じているのは信仰心の厚い一部の年配者くらいだ。
その頃の僕にはこんな話など、なんの興味も抱かなかった。
母の敵を討つことが生きることの全てだったからだ。
幼い頃に、僕の目の前で母は無惨に殺された。
誰も信じることなど出来なかった僕の前に、あいつが現れた。
彼に出会わなければ、この神話の本当の意味を知ることなんてなかっただろう。
彼に出会わなければ、僕は過去も未来もどうでもよくなり…絶望の渦の中でひとり、孤独に死んでいただろう………
彼が僕を
救ってくれたんだ───────……
──────って………
それは僕にとっては物凄く不本意なことだ。
こんなこと……
あんっのどスケベ野郎には口が裂けたって言わない!!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
119
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる