紅い瞳の魔女

タニマリ

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道標

『三度目の審判』

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その神が初めてこの地に降り立った時、無力な人間達に己の身を削りて魔力を与え給うた。

二度目に神が降り立った時、魔力に溺れる哀れな人間達に怒りし神は、豊かな土地を二つに切り裂いた。




神は投げ掛けた。


次に我が降り立つ時、お前達が見るのは慈愛か残虐か………
その日を楽しみにしていると。











嘘か誠か。


古くから語られている神話『三度目の審判』だ。
今の世の中こんな逸話《いつわ》を信じているのは信仰心の厚い一部の年配者くらいだ。
その頃の僕にはこんな話など、なんの興味も抱かなかった。
母の敵を討つことが生きることの全てだったからだ。

幼い頃に、僕の目の前で母は無惨に殺された。







誰も信じることなど出来なかった僕の前に、あいつが現れた。


彼に出会わなければ、この神話の本当の意味を知ることなんてなかっただろう。
彼に出会わなければ、僕は過去も未来もどうでもよくなり…絶望の渦の中でひとり、孤独に死んでいただろう………





彼が僕を

救ってくれたんだ───────……


 





──────って………

それは僕にとっては物凄く不本意なことだ。



こんなこと……



あんっのどスケベ野郎には口が裂けたって言わない!!













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