55 / 57
54 君がいるから世界は 4
しおりを挟む
季節は巡る。
冬が終わり、春は去り、夏も過ぎて、再び秋がやってくる。
魔女エニグマが滅んでから一年になるのだ。
街や国の復興はゆっくりとではあるが、着実に進んでいた。特に主な街道の治安はかなり回復し、安心して人や物資が行き交うようになっている。地道な警備活動や、盗賊排除の成果だ。
ゴールディフロウの街には、多くの人々が暮らすようになった。
かつての人口には遠く及ばないが、レジデンス達が街の再建に取り組んでいると聞きつけて、生き延びた人たちが戻ってきたのだ。そして、若者たちとともに、国の再建に勤しんでいる。
そして今。
収穫の時だった。
各地から運ばれた農産物や、品物がゴールディフロウの街に集まり、街の広場には市場ができている。
今日は祭りが開かれる日だった。
以前は主に貴族達の娯楽であった収穫祭が、十何年ぶりに若者たちの手によって行われるのだ。
若い娘たちはそわそわしている。
身寄りをなくした少女たちは、歳上の女性たちと共に、いくつかの居住区に分かれて暮らしている。それは青年たちも一緒で、この二つの居住区は結構離れて設置されている。
あまり固いことは言われないが、いたずらに風紀が乱れるのは争いの元だと、皆で作った決まり事の一つだった。
若い娘の住む街は、やはりどこか華やかで空気が甘い。
ある家では、数人の娘達で多いに盛り上がっていた。
今日が祭りの朝なのである。
理由は明白で、今日はたくさんの芸人たちもやってくる。その中には楽団もいて、広場では踊りがあるのだ。
娘たちが盛り上がる理由は、それに備えて何を着ていくか、である。
職人の街、ジャルマからはたくさんの織物や、衣服の商人も来るようになっていたから、彼女たちは今日に備えて、思い思いの服や飾りを買って準備していたのである。
「ねぇ、レーゼ。この赤いのと橙のと、どっちの服がいいと思う?」
カーネリアが、鏡に二つの服を交互に合わせて迷っている。
「赤がいいわ。それクチバから贈られたものでしょう? 迷うことある?」
「でもさ、この橙色のは、私がここで初めて買った服だし……」
「でも、カーネリアは赤を着るのでしょ?」
レーゼは思ったままを言った。カーネリアとクチバ、全然違う二人だが、最近一緒にいることが多い。カーネリアは服の陰から文句を言った。
「レーゼはいいわよね。迷う必要ないもの」
「うん。迷わない」
あまりにも正直すぎる答えに、カーネリアは半目になって二十一歳になった娘を眺める。
レーゼは深い青の服を着ていた。
それが何を意味するのかは一目瞭然であろう。男は自分を象徴するものを、愛する女に身につけてほしいのだ。
下に着る青い服の上には、白い胴着を着込んで胸の前で交差した紐を縛る。これは大陸中央ではありふれた、若い娘の普段着だが、さすがに祭りともなると、布地や縫製に工夫が凝らされている。
カーネリアの赤い服には金色の地模様が織り込まれ、レーゼの服には細かい刺繍が施されていた。きっとかなり高価なものだったのだろうとカーネリアは思うが、ナギはなんとも思わないで買ったのだろう。
「これ、高かったんじゃないかな?」
意外な言葉がレーゼから漏れた。
「え?」
「だって、こんなに細かい刺繍がされているのよ。きっとすごい手間がかかった服だわ。お値段も張ったんじゃないかなぁ」
「レーゼが値段を気にするなんて」
「気にするよ。私だって、市場でものを売る手伝いをしてるんだから」
「……」
確かにこの一年でレーゼは、生活に必要な様々な知識を身につけた。
料理の腕はあまり上達しないが、三つ編みパンや、作業用や装飾用の籠を店に出して対価を得るようになってからは、物の値段も理解するようになった。
「ナギ、無理をしたんじゃないかな……」
「そんなこと言ってはだめなんだよ。いや、気にするのはいいけど、ナギに言ってはだめだよ。男って女の子の前では見栄を張りたいもんなんだって」
「クチバがそう言ったの?」
「そう……って、何を言わせるのよ! ほら、髪を結うわよ。後ろを向いて!」
カーネリアは真っ赤になりながら、長いレーゼの髪に櫛を通した。
「ナギ、迎えにきてくれるんでしょう?」
「うん、そうだけど。待っていなくちゃだめかな?」
「あんた何言ってるの?」
まだ朝も早いのに、娘たちはもう祭りが待ちきれないのだ。
ナギは城門の上に立って、北の大地を見ていた。
ここは一番強固な城壁の上だ。
かつて魔女が支配した大陸の北の地方は、復興が一番遅れている。そのため、北の街道はまだ警戒が怠れない。
結局、魔女が滅んだところで、人間の敵は人間なのだ。
しかし、この夏は気候が安定したこともあって、街道に植えられた旅人用の果物や芋の実りもよく、以前に比べて物騒な事件はずいぶん減った。
そろそろ交代の時間かな?
夜半から歩哨に立って、今は夜明け前だ。
今日の祭りにレーゼと参加するには、短くても休息したい。ちょうど交代要員が来たので、ナギは城門の一番高い場所から、城壁の内部にある戦士専用の宿舎へと向かった。
そこで短い眠りをとり、目覚めた時にはすっかり体力が回復していた。
「おはようさん!」
野太い声がする。
「オーカー。その格好は?」
彼は赤い色のシャツにこれまた派手な色のタイを絞めている。大柄な彼ならではの合わせ方で、似合っていないこともないが、ナギにはいささか異様に見えた。
「だって、今日は祭りだもんよ。俺だって、かわい子ちゃんと踊るんだぜ。ちょっとは、めかしこまなくちゃな!」
「そうか。なら俺もそろそろ行くかな」
「って、ちょっと待てよ。そのまま行くのか?」
「服は変えるけど?」
「お前、レーゼをエスコートするんだろ? 顔も洗わないで行く気か?」
「あ……」
「せめて風呂に入ってこい! 髪も洗えよ!」
オーカーに追い出されるように、いつも沸いている男だらけの風呂に入ると、ナギはざっと体と髪を洗った。そして一応新しく購入しておいたシャツに手を通した。それにいつもの黒い上着を羽織る。
ナギは自分に似合う色などわからないので、幼い頃から馴染んでいる黒い服ばかり着ている。洒落っ気は当然ない。
「腹立つなぁ……」
オーカーは、宿舎に唯一ある小さな鏡で、髪を整えているナギの背中に向かってつぶやいた。整えると言っても、手櫛で伸び始めた髪を後に流しただけだ。
別に着飾らなくても、長い手足で端正に黒を着こなすナギは、男の目から見ても格好が良かった。
彼の飾りは唯一、レーゼからもらった守り石で作ったペンダントだ。
「畜生! 俺ぁ先に言ってるぜ」
「ああ」
いつも身につけている刀子を何本かと、剣を持ってナギは外に出た。そこは城壁の中断で、階段を降りたらすぐに街へ出ることができる。
眼下の街には、すでにたくさんの人々で賑わっていた。
目を凝らすと見慣れた顔がいくつも見える。ブルーは故郷の村から幼馴染を呼び寄せているし、サップは市場で知り合った女の子と交際中だ。
クチバに腕を預けたカーネリアの赤い服は一際目立つ。
さて、レーゼを迎えに行かなくちゃ。
「ナーギ!」
扉を閉めた時、上の方から澄んだ声が落ちてきた。
驚いたナギが振り返ると、レーゼが城門の上の階段から下りてくる。青いスカートが翻り、白藍の髪が空に透けた。
「レーゼ! 迎えにいくと言っただろう? 階段を走ったら危ない!」
「だって早く会いたかったんだもの。だから上で待ってたのよ!」
最後の数段を残して、レーゼはナギに向かって飛んだ。その腰を難なく受け止めて、ナギはレーゼを見上げる。
もう女の子でも少女でもない、一人の異性となって、彼を魅了してやまない女性を。
青年はしばし言葉を失う。こんなに綺麗なものが、世界には存在するのだなんて。
「服、ありがとう。どう? 似合う」
「うん。びっくりするほど」
「よかった! とても気に入ってるの。髪はカーネリアが結ってくれたのよ」
両耳の上から編み上げた三つ編みがヘアバンドのように巻きつき、長い後ろ髪はそのまま背中に流している。
レーゼの装飾もたった一つ。髪に巻いたリボンに結えた青い石だけだ。
二つで一つの双晶。
「レーゼ、もう一度上に登ってもいいか?」
「いいわよ。でもどうして?」
ナギはレーゼを横抱きにしたまま、どんどん上に登っていく。
城門の上まで来ると、当直の兵士達が驚いていたが、それにも構わずにナギはさらに上まで登った。
そこには鐘楼がある。かつて警鐘を鳴らすために使われた鐘だ。上空にギセラが舞っている。カールだろう。
そこまで登って、ナギはレーゼをそっと下ろした。
「怖くない?」
「怖くないわよ。だって私は塔で育って、塔で戦ったんだから」
「そうだな」
ここは街の北だから、真正面の南にはかつての王宮がある。そこにはいずれ市庁舎が入る予定だが、まだ再建の目処は立っていない。
しかし、下から立ち上ってくる人々の声は明るかった。
「レーゼ、頼みがある」
「なぁに?」
「その……よかったらなんだけど、もしレーゼが嫌でなければ」
珍しくナギの歯切れが悪い。
「嫌だったら断ってくれて、構わないから」
「うん? ナギのお願いで嫌だったことなんかないよ。言ってみて?」
「わかった」
レーゼの言葉にナギは勇気を得たように、小さな両手をとった。
「結婚してほしい」
冬が終わり、春は去り、夏も過ぎて、再び秋がやってくる。
魔女エニグマが滅んでから一年になるのだ。
街や国の復興はゆっくりとではあるが、着実に進んでいた。特に主な街道の治安はかなり回復し、安心して人や物資が行き交うようになっている。地道な警備活動や、盗賊排除の成果だ。
ゴールディフロウの街には、多くの人々が暮らすようになった。
かつての人口には遠く及ばないが、レジデンス達が街の再建に取り組んでいると聞きつけて、生き延びた人たちが戻ってきたのだ。そして、若者たちとともに、国の再建に勤しんでいる。
そして今。
収穫の時だった。
各地から運ばれた農産物や、品物がゴールディフロウの街に集まり、街の広場には市場ができている。
今日は祭りが開かれる日だった。
以前は主に貴族達の娯楽であった収穫祭が、十何年ぶりに若者たちの手によって行われるのだ。
若い娘たちはそわそわしている。
身寄りをなくした少女たちは、歳上の女性たちと共に、いくつかの居住区に分かれて暮らしている。それは青年たちも一緒で、この二つの居住区は結構離れて設置されている。
あまり固いことは言われないが、いたずらに風紀が乱れるのは争いの元だと、皆で作った決まり事の一つだった。
若い娘の住む街は、やはりどこか華やかで空気が甘い。
ある家では、数人の娘達で多いに盛り上がっていた。
今日が祭りの朝なのである。
理由は明白で、今日はたくさんの芸人たちもやってくる。その中には楽団もいて、広場では踊りがあるのだ。
娘たちが盛り上がる理由は、それに備えて何を着ていくか、である。
職人の街、ジャルマからはたくさんの織物や、衣服の商人も来るようになっていたから、彼女たちは今日に備えて、思い思いの服や飾りを買って準備していたのである。
「ねぇ、レーゼ。この赤いのと橙のと、どっちの服がいいと思う?」
カーネリアが、鏡に二つの服を交互に合わせて迷っている。
「赤がいいわ。それクチバから贈られたものでしょう? 迷うことある?」
「でもさ、この橙色のは、私がここで初めて買った服だし……」
「でも、カーネリアは赤を着るのでしょ?」
レーゼは思ったままを言った。カーネリアとクチバ、全然違う二人だが、最近一緒にいることが多い。カーネリアは服の陰から文句を言った。
「レーゼはいいわよね。迷う必要ないもの」
「うん。迷わない」
あまりにも正直すぎる答えに、カーネリアは半目になって二十一歳になった娘を眺める。
レーゼは深い青の服を着ていた。
それが何を意味するのかは一目瞭然であろう。男は自分を象徴するものを、愛する女に身につけてほしいのだ。
下に着る青い服の上には、白い胴着を着込んで胸の前で交差した紐を縛る。これは大陸中央ではありふれた、若い娘の普段着だが、さすがに祭りともなると、布地や縫製に工夫が凝らされている。
カーネリアの赤い服には金色の地模様が織り込まれ、レーゼの服には細かい刺繍が施されていた。きっとかなり高価なものだったのだろうとカーネリアは思うが、ナギはなんとも思わないで買ったのだろう。
「これ、高かったんじゃないかな?」
意外な言葉がレーゼから漏れた。
「え?」
「だって、こんなに細かい刺繍がされているのよ。きっとすごい手間がかかった服だわ。お値段も張ったんじゃないかなぁ」
「レーゼが値段を気にするなんて」
「気にするよ。私だって、市場でものを売る手伝いをしてるんだから」
「……」
確かにこの一年でレーゼは、生活に必要な様々な知識を身につけた。
料理の腕はあまり上達しないが、三つ編みパンや、作業用や装飾用の籠を店に出して対価を得るようになってからは、物の値段も理解するようになった。
「ナギ、無理をしたんじゃないかな……」
「そんなこと言ってはだめなんだよ。いや、気にするのはいいけど、ナギに言ってはだめだよ。男って女の子の前では見栄を張りたいもんなんだって」
「クチバがそう言ったの?」
「そう……って、何を言わせるのよ! ほら、髪を結うわよ。後ろを向いて!」
カーネリアは真っ赤になりながら、長いレーゼの髪に櫛を通した。
「ナギ、迎えにきてくれるんでしょう?」
「うん、そうだけど。待っていなくちゃだめかな?」
「あんた何言ってるの?」
まだ朝も早いのに、娘たちはもう祭りが待ちきれないのだ。
ナギは城門の上に立って、北の大地を見ていた。
ここは一番強固な城壁の上だ。
かつて魔女が支配した大陸の北の地方は、復興が一番遅れている。そのため、北の街道はまだ警戒が怠れない。
結局、魔女が滅んだところで、人間の敵は人間なのだ。
しかし、この夏は気候が安定したこともあって、街道に植えられた旅人用の果物や芋の実りもよく、以前に比べて物騒な事件はずいぶん減った。
そろそろ交代の時間かな?
夜半から歩哨に立って、今は夜明け前だ。
今日の祭りにレーゼと参加するには、短くても休息したい。ちょうど交代要員が来たので、ナギは城門の一番高い場所から、城壁の内部にある戦士専用の宿舎へと向かった。
そこで短い眠りをとり、目覚めた時にはすっかり体力が回復していた。
「おはようさん!」
野太い声がする。
「オーカー。その格好は?」
彼は赤い色のシャツにこれまた派手な色のタイを絞めている。大柄な彼ならではの合わせ方で、似合っていないこともないが、ナギにはいささか異様に見えた。
「だって、今日は祭りだもんよ。俺だって、かわい子ちゃんと踊るんだぜ。ちょっとは、めかしこまなくちゃな!」
「そうか。なら俺もそろそろ行くかな」
「って、ちょっと待てよ。そのまま行くのか?」
「服は変えるけど?」
「お前、レーゼをエスコートするんだろ? 顔も洗わないで行く気か?」
「あ……」
「せめて風呂に入ってこい! 髪も洗えよ!」
オーカーに追い出されるように、いつも沸いている男だらけの風呂に入ると、ナギはざっと体と髪を洗った。そして一応新しく購入しておいたシャツに手を通した。それにいつもの黒い上着を羽織る。
ナギは自分に似合う色などわからないので、幼い頃から馴染んでいる黒い服ばかり着ている。洒落っ気は当然ない。
「腹立つなぁ……」
オーカーは、宿舎に唯一ある小さな鏡で、髪を整えているナギの背中に向かってつぶやいた。整えると言っても、手櫛で伸び始めた髪を後に流しただけだ。
別に着飾らなくても、長い手足で端正に黒を着こなすナギは、男の目から見ても格好が良かった。
彼の飾りは唯一、レーゼからもらった守り石で作ったペンダントだ。
「畜生! 俺ぁ先に言ってるぜ」
「ああ」
いつも身につけている刀子を何本かと、剣を持ってナギは外に出た。そこは城壁の中断で、階段を降りたらすぐに街へ出ることができる。
眼下の街には、すでにたくさんの人々で賑わっていた。
目を凝らすと見慣れた顔がいくつも見える。ブルーは故郷の村から幼馴染を呼び寄せているし、サップは市場で知り合った女の子と交際中だ。
クチバに腕を預けたカーネリアの赤い服は一際目立つ。
さて、レーゼを迎えに行かなくちゃ。
「ナーギ!」
扉を閉めた時、上の方から澄んだ声が落ちてきた。
驚いたナギが振り返ると、レーゼが城門の上の階段から下りてくる。青いスカートが翻り、白藍の髪が空に透けた。
「レーゼ! 迎えにいくと言っただろう? 階段を走ったら危ない!」
「だって早く会いたかったんだもの。だから上で待ってたのよ!」
最後の数段を残して、レーゼはナギに向かって飛んだ。その腰を難なく受け止めて、ナギはレーゼを見上げる。
もう女の子でも少女でもない、一人の異性となって、彼を魅了してやまない女性を。
青年はしばし言葉を失う。こんなに綺麗なものが、世界には存在するのだなんて。
「服、ありがとう。どう? 似合う」
「うん。びっくりするほど」
「よかった! とても気に入ってるの。髪はカーネリアが結ってくれたのよ」
両耳の上から編み上げた三つ編みがヘアバンドのように巻きつき、長い後ろ髪はそのまま背中に流している。
レーゼの装飾もたった一つ。髪に巻いたリボンに結えた青い石だけだ。
二つで一つの双晶。
「レーゼ、もう一度上に登ってもいいか?」
「いいわよ。でもどうして?」
ナギはレーゼを横抱きにしたまま、どんどん上に登っていく。
城門の上まで来ると、当直の兵士達が驚いていたが、それにも構わずにナギはさらに上まで登った。
そこには鐘楼がある。かつて警鐘を鳴らすために使われた鐘だ。上空にギセラが舞っている。カールだろう。
そこまで登って、ナギはレーゼをそっと下ろした。
「怖くない?」
「怖くないわよ。だって私は塔で育って、塔で戦ったんだから」
「そうだな」
ここは街の北だから、真正面の南にはかつての王宮がある。そこにはいずれ市庁舎が入る予定だが、まだ再建の目処は立っていない。
しかし、下から立ち上ってくる人々の声は明るかった。
「レーゼ、頼みがある」
「なぁに?」
「その……よかったらなんだけど、もしレーゼが嫌でなければ」
珍しくナギの歯切れが悪い。
「嫌だったら断ってくれて、構わないから」
「うん? ナギのお願いで嫌だったことなんかないよ。言ってみて?」
「わかった」
レーゼの言葉にナギは勇気を得たように、小さな両手をとった。
「結婚してほしい」
1
あなたにおすすめの小説
理想の男性(ヒト)は、お祖父さま
たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。
そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室?
王太子はまったく好みじゃない。
彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。
彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。
そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった!
彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。
そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。
恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。
この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?
◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。
本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。
R-Kingdom_1
他サイトでも掲載しています。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
目覚めたら魔法の国で、令嬢の中の人でした
エス
恋愛
転生JK×イケメン公爵様の異世界スローラブ
女子高生・高野みつきは、ある日突然、異世界のお嬢様シャルロットになっていた。
過保護すぎる伯爵パパに泣かれ、無愛想なイケメン公爵レオンといきなりお見合いさせられ……あれよあれよとレオンの婚約者に。
公爵家のクセ強ファミリーに囲まれて、能天気王太子リオに振り回されながらも、みつきは少しずつ異世界での居場所を見つけていく。
けれど心の奥では、「本当にシャルロットとして生きていいのか」と悩む日々。そんな彼女の夢に現れた“本物のシャルロット”が、みつきに大切なメッセージを託す──。
これは、異世界でシャルロットとして生きることを託された1人の少女の、葛藤と成長の物語。
イケメン公爵様とのラブも……気づけばちゃんと育ってます(たぶん)
※他サイトに投稿していたものを、改稿しています。
※他サイトにも投稿しています。
ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく
犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。
「絶対駄目ーー」
と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。
何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。
募集 婿入り希望者
対象外は、嫡男、後継者、王族
目指せハッピーエンド(?)!!
全23話で完結です。
この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる