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第5話:処刑台への登壇
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文化祭当日。学園内は色とりどりの装飾に彩られ、模擬店の活気と音楽で溢れかえっていた。しかし、体育館に足を一歩踏み入れれば、そこには異様な熱気が渦巻いている。
「いよいよだな、ベストカップルコンテスト」
「例の地味ブス、本当にステージ上がるのかな。公開処刑じゃん」
ステージ裏の暗がりで、私はボロボロの眼鏡を指で押し上げた。周囲では、着飾った出場者たちが談笑している。その中心にいるのは、純白のドレスに身を包んだエマと、タキシード姿で胸を張るハルトだ。
「あら、澪さん。本当に来たのね。……その格好、少しはマシなものにならなかったの?」
エマがクスクスと笑いながら近づいてくる。私の衣装は、使い古された制服のままだ。
「……約束だもの。逃げるわけにはいかないわ」
「ふん、殊勝なことだ。しっかりエマの引き立て役をこなせよ」
ハルトは私をゴミを見るような一瞥で切り捨て、エマの腰を抱き寄せてステージへと向かっていった。
二人が去った後、背後の暗闇からレンが音もなく現れた。
「準備はいいか。スクリーンの制御は完全に奪った。エマの協力者たちも、客席の最前列に陣取っている。準備万端だな」
「ええ。彼らが『一番盛り上がった瞬間』に、すべてを終わらせて」
私はレンにドレスの入ったバッグを預け、ステージ袖のモニターを見つめる。
コンテストが始まった。
司会者の軽快な声と共に、次々とカップルが登場する。そして、最後から二番目。ハルトとエマが登場した瞬間、体育館のボルテージは最高潮に達した。
「見てください、この美しい二人! まさに学園の理想です!」
スポットライトを浴びて、ハルトは爽やかに手を振り、エマは守ってあげたくなるような儚い笑みを浮かべる。客席からは割れんばかりの拍手と歓声が上がる。
その光景を、私は舞台袖から冷たく見届けていた。
ハルトがマイクを握り、芝居がかったトーンで語り始める。
「……ですが、僕たちの幸せの陰には、心ない嫌がらせに苦しんだ日々もありました。今日は、その誤解を解き、ある人物に反省を促すために、この場を借りたいと思います」
司会者が神妙な顔で頷く。
「そうですね。……では、特別ゲストをお呼びしましょう。佐藤澪さん、ステージへ!」
冷ややかな視線、嘲笑、そしてエマの協力者たちが放つ、野次という名の罵声。
私はゆっくりと、俯きながらステージの中央へ歩み出た。
「ほら、謝れよ」「エマ様に土下座しろ!」「特待生失格!」
罵声の嵐が私を包む。エマはハルトの陰に隠れながら、唇の端を吊り上げて私を見下ろしている。
ハルトが勝ち誇ったように言った。
「さあ、澪。全校生徒の前で、自分の犯した罪を告白し、エマに謝罪しろ。そうすれば――」
私は、ゆっくりと顔を上げた。
眼鏡の奥で、私の瞳がハルトを射抜く。
「……罪を告白するのは、私じゃないわ。ハルト、あなたたちの方よ」
「……あ?」
ハルトの顔から余裕が消える。
その瞬間、背後の巨大なスクリーンが、鮮やかなノイズと共に切り替わった。
映し出されたのは、コンテストの演出画像ではない。
ハルトとエマが、薄暗い部室で「澪をどうやって退学に追い込むか」を笑いながら話し合う、鮮明な盗撮映像だった。
会場の喧騒が、嘘のように凍りついた。
「いよいよだな、ベストカップルコンテスト」
「例の地味ブス、本当にステージ上がるのかな。公開処刑じゃん」
ステージ裏の暗がりで、私はボロボロの眼鏡を指で押し上げた。周囲では、着飾った出場者たちが談笑している。その中心にいるのは、純白のドレスに身を包んだエマと、タキシード姿で胸を張るハルトだ。
「あら、澪さん。本当に来たのね。……その格好、少しはマシなものにならなかったの?」
エマがクスクスと笑いながら近づいてくる。私の衣装は、使い古された制服のままだ。
「……約束だもの。逃げるわけにはいかないわ」
「ふん、殊勝なことだ。しっかりエマの引き立て役をこなせよ」
ハルトは私をゴミを見るような一瞥で切り捨て、エマの腰を抱き寄せてステージへと向かっていった。
二人が去った後、背後の暗闇からレンが音もなく現れた。
「準備はいいか。スクリーンの制御は完全に奪った。エマの協力者たちも、客席の最前列に陣取っている。準備万端だな」
「ええ。彼らが『一番盛り上がった瞬間』に、すべてを終わらせて」
私はレンにドレスの入ったバッグを預け、ステージ袖のモニターを見つめる。
コンテストが始まった。
司会者の軽快な声と共に、次々とカップルが登場する。そして、最後から二番目。ハルトとエマが登場した瞬間、体育館のボルテージは最高潮に達した。
「見てください、この美しい二人! まさに学園の理想です!」
スポットライトを浴びて、ハルトは爽やかに手を振り、エマは守ってあげたくなるような儚い笑みを浮かべる。客席からは割れんばかりの拍手と歓声が上がる。
その光景を、私は舞台袖から冷たく見届けていた。
ハルトがマイクを握り、芝居がかったトーンで語り始める。
「……ですが、僕たちの幸せの陰には、心ない嫌がらせに苦しんだ日々もありました。今日は、その誤解を解き、ある人物に反省を促すために、この場を借りたいと思います」
司会者が神妙な顔で頷く。
「そうですね。……では、特別ゲストをお呼びしましょう。佐藤澪さん、ステージへ!」
冷ややかな視線、嘲笑、そしてエマの協力者たちが放つ、野次という名の罵声。
私はゆっくりと、俯きながらステージの中央へ歩み出た。
「ほら、謝れよ」「エマ様に土下座しろ!」「特待生失格!」
罵声の嵐が私を包む。エマはハルトの陰に隠れながら、唇の端を吊り上げて私を見下ろしている。
ハルトが勝ち誇ったように言った。
「さあ、澪。全校生徒の前で、自分の犯した罪を告白し、エマに謝罪しろ。そうすれば――」
私は、ゆっくりと顔を上げた。
眼鏡の奥で、私の瞳がハルトを射抜く。
「……罪を告白するのは、私じゃないわ。ハルト、あなたたちの方よ」
「……あ?」
ハルトの顔から余裕が消える。
その瞬間、背後の巨大なスクリーンが、鮮やかなノイズと共に切り替わった。
映し出されたのは、コンテストの演出画像ではない。
ハルトとエマが、薄暗い部室で「澪をどうやって退学に追い込むか」を笑いながら話し合う、鮮明な盗撮映像だった。
会場の喧騒が、嘘のように凍りついた。
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