「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫

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第7話:ひれ伏す王子様

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静寂が、体育館を重く支配していた。
スポットライトを浴びて立つ私の姿に、誰一人として声を出すことができない。かつて「地味ブス」と嘲笑っていた生徒たちの目は、今や驚愕と、抗いがたい美しさへの畏怖に染まっていた。

「……澪、なのか?」
ハルトが、うわごとのように呟く。その目は、エマを見ていた時とは比べ物にならないほど、強烈な執着と欲望にぎらついていた。
「なんだ、その姿は……。そんなに綺麗だったのか……。それならそうと、早く言えば良かったじゃないか!」

彼はふらふらと私に歩み寄り、その手を取ろうとする。
「わかった、全部わかったよ、澪。俺が悪かった! そのエマっていう女に、俺も騙されてたんだ。君という婚約者(パートナー)がいながら、魔が差したんだよ。……さあ、その手を貸してくれ。俺たちは、学園で最高の、本物のカップルになれる……!」

あまりの厚顔無恥さに、隣に立っていたレンが低く笑った。
私は、ハルトが伸ばしてきた手を、汚らわしいものを見るように冷たく一蹴した。

「触らないで。……あなたのその安い愛(ごっこ)には、もう吐き気がするわ」
「なっ……! 俺に向かって何を言う! 俺の家は、この地域の不動産を牛耳る如月グループなんだぞ! 俺を敵に回して、この国で生きていけると思って――」

「如月グループ? ああ、あの『自転車操業』の会社のことかしら」
私は、ステージの端に控えていたレンから、一通の書類を受け取った。それをハルトの足元に、ひらりと投げ捨てる。

「何だこれは……融資、打ち切り通知……?」
「あなたの父親が、私の父に泣きついて借りていたお金よ。……でも残念。佐藤グループの会長である私の父は、娘を『ゴミ』扱いするような男の家に、これ以上投資する価値はないと判断したわ。今日、この瞬間をもって、あなたの家の資産はすべて凍結される」

ハルトの顔から、一気に血の気が引いた。唇が紫に変色し、ガチガチと歯が鳴る。
「さ、佐藤グループ……。まさか、お前……いや、澪様は、あの、財界の……?」

「気づくのが遅いわね」
私は一歩、彼に歩み寄る。かつての私が、彼を見上げていたのとは正反対に、今は彼が地べたに這いつくばるようにして私を見上げている。

「お前みたいな地味女、引き立て役にもならない。……そう言ったのは、あなたよね? ハルト」
「あ、ああ、あれは、冗談で……!」
「なら、私も冗談で返してあげる。……あなたみたいな無能な男、私の人生の『引き立て役』にすらならないわ。さようなら、元・王子様」

ハルトは力なくその場に崩れ落ちた。もはや、彼に反論する気力すら残っていない。

それを見ていたエマが、狂ったように叫びながらステージの端へ逃げようとする。
「私は関係ないわ! 全部この男がやったことよ! 私はただ、愛されたかっただけで……!」
「逃がさないよ、エマさん」
レンが冷たく道を塞ぐ。
「君の以前の学校での余罪、そして今回の部費横領の共謀罪。外に警察が来ている。……君の言う『悲劇のヒロイン』の役は、これから檻の中でじっくり演じるといい」

エマの絶叫が体育館に響き渡る中、私は一度だけ観客席を振り返った。
私をいじめていた取り巻きたちが、青ざめた顔でガタガタと震えている。

私は、誰よりも優雅に、誰よりも冷酷に微笑んでみせた。
復讐は、まだ終わらない。
これから、彼らが失っていく「すべて」を特等席で眺めるという、最高に楽しい時間が待っているのだから。
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